魔王と戦う前日に(脚本)
〇闇の闘技場
北の勇者「ようやくここまでたどり着いた」
北の勇者「魔王ギルギリス! おまえを倒して世界の滅びを止める!」
魔王「ククク・・・これまで何人の勇者が私に挑み死んでいったか」
魔王「もう数えることすら忘れてしまった」
魔王「おまえは私を楽しませてくれるかな?」
魔王ギルギリスが現れた!
北の勇者の攻撃!
北の勇者「氷刃剣 魔氷凍結斬!」
魔王「フフフ・・・」
魔王は不敵に笑っている
北の勇者「なにっ!?効いていないのか!」
魔王「なかなかの剣技・・・しかし」
魔王「その程度の攻撃では私を守る暗黒の加護を打ち破ることはできぬ」
魔王「では、私の番だ 人間供を千人殺して得たこの技・・・ その身で受けよ!」
魔王「魔剣 一撃千殺!」
北の勇者に9999のダメージ
北の勇者「うわぁぁぁ!」
北の勇者は死んでしまった
魔王「この程度か・・・つまらぬ」
魔軍師「魔王様、お見事です」
魔王「虫を潰すのに見事も何もないわ」
魔軍師「これは失礼を・・・ しかし、次の勇者が魔王城近くまで迫っております」
魔王「フン・・・私を楽しませてくれる者なのか?」
魔軍師「いえ、魔眼の鑑定によると 先程の勇者より劣るかと・・・」
魔王「そのようなつまらぬ知らせなどいらぬわ!」
魔軍師「ひいっ、申し訳ございません!」
魔軍師「ならば刺客を差し向け、処理する許可を・・・」
魔王「そのような弱者など捨てておけ!」
魔軍師「ぎょ、御意・・・」
〇けもの道
南の勇者「遅れてるぞ 大丈夫か?」
魔術師「この森、いつまで続くのよ? もう疲れたー!」
戦士「ここを抜けたら最後の街がある そこで休める」
南の勇者「その先はいよいよ魔王の城か・・・」
魔術師「気をつけて! 魔物の気配がするわ!」
魔物の群れが現れた!
南の勇者の攻撃!
南の勇者「火炎斬り!」
殺人鬼「ギャハハハ!」
魔剣士の連続斬り!
人斬り剣士「ヒヒヒ! 我が刃は血に飢えている!」
南の勇者「うわっ! こいつら強いぞ!」
魔術師「魔王の邪気で強くなってるのよ!」
南の勇者「くそっ!こんなところで苦戦するなんて・・・」
〇闇の要塞
南の勇者「はぁ・・・はぁ・・・ なんとかたどり着いた 魔王城に一番近い街、ゲヘナの城塞都市」
魔術師「もう魔力もほとんどないわ・・・」
戦士「全滅するところだったな・・・ 早く街に入ろう」
兵士「南の勇者様ですね 王様がお待ちです」
南の勇者「王様が・・・?」
〇謁見の間
王様「よく来た、南の勇者 竜の血を引くものよ」
南の勇者「大切な話があるとか?」
王様「そうだ 先日、魔王に挑んだ北の勇者が敗北した」
南の勇者「北の勇者が!?」
王様「そうだ これまで何人の勇者が魔王に敗れたか・・・」
王様「南の勇者よ そなたが魔王を討ち取ることを祈っておるぞ!」
南の勇者「は、はい、必ず・・・魔王を倒してみせます」
〇貴族の部屋
南の勇者「ふう・・・」
魔術師「どうだった?」
戦士「王様、なんかくれたか?」
南の勇者「まあな」
戦士「その割には浮かない顔だな」
南の勇者「北の勇者が魔王に負けた」
魔術師「えっ・・・ 北の勇者って確か」
戦士「勇者の中でも一番期待されてた勇者だろ?」
南の勇者「そうだ 俺よりレベルも高かった」
魔術師「じゃ、じゃあ! 私達が魔王に勝てるわけないじゃん!」
南の勇者「しかし、魔王に挑まないわけにはいかない」
戦士「勝てないとわかってて戦うのか? 無駄死にじゃねえか!」
魔術師「嫌よ! 私、死にたくない!」
南の勇者「もし、ここで逃げたら俺たちは犯罪者だ」
戦士「はぁ?なんでだよ!」
南の勇者「これまで『勇者』という肩書きで旅をしてきたんだ」
南の勇者「魔王に挑まず逃げたとなれば、これまでもらった金や装備品、全て騙し取ったことになる」
南の勇者「勇者の偽者がどうなるか知ってるよな?」
戦士「斬首か・・・」
魔術師「うう、ぐすっ 行っても逃げても死ぬなんて」
戦士「どうするつもりだ?」
南の勇者「レベル上げするにも、この辺の魔物は強すぎる」
南の勇者「昼間戦った魔物・・・恐ろしい強さだった」
魔術師「あれは、魔王の邪気で狂った元人間よ」
南の勇者「魔王の力は人間にまで影響するのか」
南の勇者「ん?待てよ・・・」
戦士「何かいい考えでも浮かんだか?」
南の勇者「いや・・・しかし、そんなことを・・・」
魔術師「何よ!助かる方法があるならはっきり言いなさいよ!」
南の勇者「ひとつだけ、生き残る方法があるかもしれない」
南の勇者「おまえ、変化魔法は使えたよな?」
魔術師「え?あ、うん」
〇戦場
ドゴォン!ゴオオオオ!
魔竜人「ガアアア!」
悪魔導師「ギギギギ!」
キングオーガ「ウゴオオオオ!」
町人「大変だー! ま、魔物が襲ってきたぞー!」
兵士「魔物だと!? いったい何処から入ってきたんだ!」
魔竜人の火竜の息!
町人「ぎゃあああ!」
兵士「お、王様に報告・・・!」
キングオーガの岩石砕き!
兵士「ガハッ!なんて力だ」
兵士「ここは逃げるしかない!」
悪魔導の闇の雷!
兵士「うわああああ!」
魔竜人「グルルル・・・」
〇闇の闘技場
魔軍師「ま、魔王様! 南の勇者が魔王城に侵入しました!」
魔王「ほう・・・腐っても勇者か だが、北の勇者以下のゴミに期待はできぬ」
魔軍師「そ、それが、その強さ尋常ではなく・・・」
ザシュ!!
魔軍師「ぐわあああ!」
魔王「!?」
南の勇者「ははは、意外と楽勝だったな」
魔術師「このまま、魔王もやっちゃおう!」
戦士「ガハハハ!粉々に叩き潰してやるぜ」
魔王「聞いていた話と違うな・・・」
魔王は魔眼の鑑定を使った!
勇者達のレベルが視えるようになった
魔王「レベル95、レベル90、レベル93だと!」
魔王「僅か一日でどうやって・・・?」
南の勇者「さぁ、早く戦おうぜ?魔王様」
魔王「・・・そうだな 強者と戦うことこそ、私の快楽」
魔王「いくぞ!勇者よ!」
魔王ギルギリスが現れた!
勇者達の攻撃!
南の勇者「魔剣 一撃千殺!」
魔王の暗黒の加護を打ち消した!
魔術師「暗黒魔法 闇の雷!」
戦士「岩石砕き!」
魔王「グハッ!暗黒の加護が消える! その技、なぜ勇者のおまえが・・・」
南の勇者「おまえの暗黒の加護も同じ暗黒の技なら切り裂ける!」
魔王「フフフ・・・ワハハハハ!面白い!」
魔王「これまで戦った勇者の中でお前たちが一番だ!」
魔王「私と戦うために何人殺した?」
南の勇者「うるさい!壊滅したゲヘナのためにも おまえは俺たちが必ず倒す!」
たしかに効率的に経験値を稼げますね。でも魔王がいなくなっても、高レベルな殺戮者が3人生まれてしまったので…どうなるんでしょう。ホラーです。怪物と戦う者はその過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ…。
RPGの面白さが詰まっていて、テンポよく楽しく読めました!読めたんですが、まさかこんな展開が待っているとは…。これではどちらが魔王か分かりませんね。勢いを保ったままホラーで終わるのでインパクトがすごかったです。最後まで楽しませていただきました。
正統派ファンタジーっぽいけどジャンルがホラー?と読む前は思いましたが、しっかりゾッとしました(笑)
正義を遂行するための手段として悪の道に…本末転倒?どっちが魔王なのかわかりませんね😨