エピソード14(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
?「それにしても、急な話ですね ボクと決闘したいだなんて」
?「最近少し多くないですか?」
貴族「い、いやそれは キミが何度も決闘を受けて勝ち続け」
貴族「何より── ”相手を殺さずにいるからだろう”」
貴族「死なないと安心して挑めて かつ勝てば名誉が得られる」
貴族「だから挑み続ける人が減らないんだよ」
?「でも、賭けの胴元の貴方は儲かるでしょう」
貴族「まぁね」
かませ犬「おい! まちな! そこの男!!」
かませ犬「ここを通す訳にはいかねぇな」
?「あぁ、この前決闘した人たちだね ボクに何の用かな」
ナナシ(いや、何の用ってそりゃ)
かませ犬「報復に決まってるだろマヌケが!」
かませ犬「テメーら、囲め!」
?「──へぇ」
雑魚B「悪いな兄ちゃん」
雑魚A「呪うなら俺たちを殺さなかった 自分を恨むんだな」
?「”恨む”? とんでもないね」
ナナシ(何だあの人? 囲まれているのに逃げようともしない)
かませ犬「殺せぇ!」
余裕を見せる男に四方八方
十二の銃口が向けられる
?「うん──」
ナナシ「え?────えぇぇ!?」
かませ犬「はあぁぁぁぁ!!?」
ナナシ「よ、避けてる? のか? 全然動いてないように見えるのに」
雑魚A「あ、当たらねぇ!?」
雑魚A「ちゃんと狙っているのに」
雑魚B「グアっ!?」
かませ犬「おい! 何をやっている!?」
?「いやいや、この距離で囲んで銃撃してりゃ そりゃ同士討ちしちゃうよ」
かませ犬「ならば! なぜ! お前は生きている!?」
?「ボクが見ているのは、 君たちの『弾道』だよ」
?「ボクには君たちの銃弾がどこを通るか 色がついたように見える」
かませ犬「ふざけるな! そんな馬鹿なこと──」
雑魚A「ギャアァァァ!? 俺の足が!!」
?「そして当然、ボクの銃の『弾道』も、 はっきりと分かる」
ナナシ「凄い、正確に足だけを撃ち抜いている」
ナナシ「それに──あの人の銃」
ナナシ「改造のショットガン? 単発式の銃を一回一回装填し直している」
ナナシ「弾丸の雨の中で、あくまで優雅に」
?「さて、残るは貴方だけのようですが」
かませ犬「ヒッ! 助けてくれ! 命だけは!」
男は静かに、銃を下げる
かませ犬「馬鹿め──」
ナナシ「あの男!! 銃を隠し持って──」
かませ犬「ガァ!!」
?「しまった、利き手を撃ってしまった」
ナナシ「銃口を下に向けた状態から── 手首を返して一気に銃撃を」
貴族「騙し撃ち(フェイク・ショット) 相変わらず見事な腕前ですね」
?「ははは、あんた今どこに隠れてたんだよ」
?「まぁ、こいつらにちょっと 時間を使わされたから」
?「急いで闘技場に戻らないとね」
ナナシ「闘技場、まだ続くのか──」
ナナシ(なんとなくだけど、 わかってきた、この世界について)