キレない女

ゆきち

ある日の出来事――(脚本)

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〇おしゃれな食堂
  ここは、とある大学のキャンパス──
  ”憩いの場”と呼ばれる、
  学生御用達の休憩スペースだ。
  その端っこ、
  窓際の席、必ずと言っていいくらい
  座っているのが、彼女。
  何をしても決して怒らない、
  通称・『キレない女』――サキ。
「なぁ、いつもそこで何してるんだよ?」
  悪ノリで、ちょっかいを出す男子も多い。
  
  ――けれど、彼女はいつも笑顔で・・・・・・
サキ「この窓から見える景色が好きなの。 空も、雲も、校舎の造形も、 すごく素敵だから」
「でも、そこの席を陣取るからには、 席料を払ってもらわないと・・・・・・なぁ?」
「あぁ、ちょっとズルいよな。 俺たちだって、座りたいし・・・・・・(笑)」
サキ「そっか・・・・・・そうだよね。 気づかなくて、ごめんなさい」
  サキは、静かに鞄から財布を取り出して、
  一万円札をそっと差し出した。
「ラッキー! サンキュ!!」
  悪びれもせず、
  楽しそうに立ち去って行く男子たち。
  続いて、遠巻きに見ていた女子たちが、
  やっかみを言い始める。
「なーんかさ。あの態度、むかつくよね」
「大人しくしてれば、 モテると思ってるんじゃない?」
  わざとサキの机にぶつかって、
  机の上の飲み物を倒す女子たち。
  謝ることなく、
  クスクスと笑って立ち去っていく。
サキ「あ~、こぼれちゃった。。」
サキ「私ったら、 ほんとうっかりしちゃってダメだな。 ははは・・・・・・」
  決して声を荒げることなく、
  静かに微笑むサキ。
  だが・・・・・・
  みんなが授業に入りいなくなっても、
  彼女は、ずっとそこに座っていた。
サキ「私は・・・・・・この学校の生徒ではない」
サキ「大好きな彼を追いかけて、 やっとのことでここへたどり着いた」
サキ「この窓からは、 彼が授業を受ける姿がよく見える・・・・・・」
サキ「そう―― 私は、『キレない女』なんかじゃない」
サキ「彼がどんなに逃げても、離れない。 ・・・・・・『切れない女』」
サキ「ふふふ・・・・・・」

コメント

  • 異質な存在に対する集団心理、集団行動の様子、すごいリアリティですね。そんな彼女の正体が気になって読んでいましたが、あー………

  • 紹介文で「あなたはきっと驚く」と言われて本当に驚いたのは久しぶりです。これはもはや「恋愛」のジャンルではなく「ホラー」ですね。短いストーリーながらも起承転結がしっかりしていて、人間の嫌な部分、怖い部分が余すところなく描かれていて感心しました。

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