第2話『動き出す日常』(脚本)
〇学校の廊下
三好優弥「ようやく放課後か」
三好優弥「腹減ったな 部室行く前に食堂行くか」
〇おしゃれな食堂
三好優弥「とりあえず、カツ丼、キツネうどん、唐揚げの盛り合わせ、三種のチーズカレー、山盛り千切りキャベツとかにしとくか」
宇喜多羽彩「やあ!」
三好優弥「沖田さん」
宇喜多羽彩「宇喜多さんだよ」
宇喜多羽彩「ていうか、食いすぎじゃね?」
三好優弥「これから部活だからな」
宇喜多羽彩「ミス研って確か文化部だよね そんなにカロリー摂取する必要ある?」
三好優弥「頭使うからな」
三好優弥「それで、宇喜多さん何で食堂にいるんだ?」
宇喜多羽彩「放課後、料理部で使わせてもらって 料理を提供してるの」
三好優弥「え、知らんかった」
宇喜多羽彩「ここで何度も会ったことあるんだけどなぁ」
三好水葉「宇喜多先輩!」
三好水葉「お兄ちゃんに人の顔を 覚えさせようとしてもダメですよ」
三好優弥「どうした、双葉」
三好水葉「水葉だよ」
宇喜多羽彩「適当すぎる」
三好水葉「家でもこんな感じです 絶対に社会に出せない人です」
三好優弥「ということは、双葉も料理部で ここにいるのか」
三好水葉「そそ」
三好水葉「ちなみに食堂でのエンカウント率 驚異の80%なのに覚えてない さすオニ」
三好優弥「家だとエンカウント率100%だからな 気にしてられないだろ」
宇喜多羽彩「会話が会話になってないけど まあいいか」
三好優弥「とりあえず、カツ丼、きつねうどん、唐揚げの盛り合わせ、三種のチーズカレーの大盛り、山盛り千切りキャベツを頼んだ」
宇喜多羽彩「さり気なくカレーが大盛りになってる」
三好水葉「はーい! 少々お待ちを!」
宇喜多羽彩「仲いいんだね」
三好優弥「普通じゃね?」
三好双葉「・・・・・・」
宇喜多羽彩「双葉!おつかれ! 水葉もう来てるよ!」
三好双葉「ども」
宇喜多羽彩「あれ?双葉行っちゃった いつもだったらもっと喋るのに」
三好優弥「多分、俺がいたからな」
宇喜多羽彩「仲悪いの?」
三好優弥「悪くはないけど 必要最低限の会話しかしないな」
宇喜多羽彩「水葉とは対照的だね」
三好優弥「俺の前だとテンションが低い」
宇喜多羽彩「三好君もいろいろと大変だね」
三好優弥「他人にはそう見えるか 新鮮だな」
三好水葉「はーい! お待たせしました!」
テーブルの上に
注文した料理がどんどん並べられていく
三好優弥「待ってました!」
宇喜多羽彩「ちなみにそれって夕飯だよね?」
三好優弥「おやつだ」
三好水葉「おやつですよ」
宇喜多羽彩「・・・・・・マジか」
〇合宿所の稽古場
三好優弥「今年の学園祭の出し物を決めようと思う」
蒼村優「わあぁ」
蒼村優「まともな活動をしようと思えば 出来るんですね」
三好優弥「呪物展示、いわくつき物件展示場、こっくりさん恋愛占い、街中インタビュー百物語大会、10人一斉ひとりかくれんぼ」
蒼村優「私がバカでした この一か月何を見てきたのか もっと考えるべきでした」
三好優弥「ホント、そむらはバカだな」
蒼村優「むきいいいい」
蒼村優「そういえば上杉先輩はいないのに 進めていいんですか?」
三好優弥「上杉は遅れてくるはずだ それまでに出し物の候補 出しておこうと思ってな」
蒼村優「じゃあ、メイドカフェやりましょ! 凄い平和です」
蒼村優「アニメやマンガみたいです ザ・青春☆です」
三好優弥「冥途カフェか」
三好優弥「いいな!」
蒼村優「うわぁ、絶対勘違いしてる」
宇喜多羽彩「私も参加したい!」
蒼村優「宇喜多先輩!」
宇喜多羽彩「そむらちゃん 元気そうでよかった この前はごめんね」
蒼村優「いえいえ こちらこそ、ご迷惑をおかけして すみませんでした」
三好優弥「そうだぞ、そむら 人に迷惑かけたんだ しっかりと謝っておけよ」
蒼村優「元はと言えば 誰のせいだと思ってるですか!」
三好優弥「宇喜多」
蒼村優「あんただ!あんた! 三好優弥だ!」
宇喜多羽彩「やっぱり、この部活面白いねえ」
蒼村優「狂ってるだけです」
三好優弥「宇喜多さんは何しに来たんだ? 出前なんて頼んだっけ」
宇喜多羽彩「ミス研に入ろうと思って来たの 部活の掛け持ち大丈夫だからね」
宇喜多羽彩「ということで、入部させて!」
三好優弥「りょ」
宇喜多羽彩「ありがとう!」
蒼村優「なーんだ、そうだったんですね」
蒼村優「さすが先輩、何も考えず即答してる!」
蒼村優「・・・・・・」
蒼村優「ん?」
蒼村優「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
蒼村優「あ、あの、、、宇喜多先輩」
蒼村優「三好先輩に弱みでも握られたんですか?」
蒼村優「警察についていきますよ 脅迫罪で被害届出しましょう こいつならやりかねん」
宇喜多羽彩「違うよ」
宇喜多羽彩「楽しそうだから入りたいなって思ってさ」
三好優弥「楽しそうだってよ 地道に活動すれば報われるんだな」
蒼村優「肝試し、ホラー映画観賞会、こっくりさん、百物語、ホラーゲーム実況とかしかやってませんよ」
蒼村優「どちらかというと報いを受けそうですけど」
宇喜多羽彩「やっぱ楽しそう」
宇喜多羽彩「これからよろしくね」
三好優弥「よろしく」
蒼村優「よろしくお願いします!」
蒼村優「ん?」
三好水葉「ちーす」
宇喜多羽彩「あれ、水葉どうしたの?」
三好水葉「宇喜多先輩がミス研に入るって 聞いたから来ました!」
三好優弥「お、来たな幽霊部員」
三好優弥「幽霊になるとは ミス研の部員として感心だ」
三好水葉「照れるぜ」
宇喜多羽彩「え?水葉もミス研だったの?」
三好水葉「そうですよ!」
三好水葉「言ってませんでしたっけ? ていうか言ってないや!」
三好水葉「忘れてた!」
三好優弥「最初の方は顔出ししてたけど 途中から他の部活に集中してたな」
三好水葉「いやあ、料理が楽しくて!」
蒼村優「裏切者ぉぉ 一緒に入ったじゃーん」
三好水葉「ごめんごめん!」
三好水葉「そうだ 今日はもう一人連れてきたんだ」
「双葉!」
三好双葉「・・・・・・どうも」
三好優弥「双葉がここに来るなんて 初めてじゃないか?」
三好双葉「・・・・・・・そうですね 三好先輩」
三好水葉「双葉もミス研に入りたいんだって」
三好優弥「いいぞ」
三好双葉「・・・・・・」
三好水葉「双葉言うことあるよね 快く入れてもらったんだから」
三好双葉「・・・・・・」
三好双葉「・・・・・・あ、ありがとう」
三好優弥「おう」
蒼村優「こ、これで、肝試しで 三好先輩と回らなくて済むぅ」
三好水葉「散々苦労してきた顔だ」
蒼村優「今度から先輩を止めてね」
三好水葉「それは無理だ 愚兄は誰にも止められない」
宇喜多羽彩「それでどうして 双葉はミス研に入ろうと思ったの?」
三好双葉「・・・・・・」
宇喜多羽彩「言いたくないならいいよ ごめんね」
上杉遼羽「何か騒がしいと思ったら 人多いな!」
宇喜多羽彩「上杉君、この前ぶり!」
上杉遼羽「この前ぶり!」
三好水葉「上杉パイセン! ちーす!」
上杉遼羽「水葉ちーす! 双葉もちーす!」
三好双葉「ちーすです」
三好優弥「宇喜多さんと双葉が部員になったぞ」
上杉遼羽「部員が増えるのは大歓迎だ これから賑やかになるな!」
〇学校脇の道
宇喜多羽彩「水葉の言った通り あっさり受け入れてくれて 良かった」
三好水葉「でしょ? お兄ちゃん、優しいんですよ 元ヤンだけど」
宇喜多羽彩「それが笑える あんなに温厚なのに」
宇喜多羽彩「でも今回予想外だったのは 双葉も一緒に入ったことだったかな」
宇喜多羽彩「前から水葉には 三好君の話をよく聞いたことあったけど」
宇喜多羽彩「双葉からは まったく聞いた記憶がなかったからね」
三好水葉「ですよね あの子、学校だとお兄ちゃんに 自分から絶対関わろうとしないから」
三好水葉「お兄ちゃんのことも 『先輩』呼ばわりで他人行儀なんですよ」
三好水葉「宇喜多先輩からミス研に入りたいって 相談されたことを双葉に話したら」
三好水葉「あの子、私も入るとか言い出したから 驚いちゃった」
宇喜多羽彩「双子ですら驚くレベルなんだ」
宇喜多羽彩「どうして、三好君と双葉は ぎくしゃくしてるの?」
三好水葉「んー、どちらかというと 双葉が距離を置いてる感じですね」
宇喜多羽彩「良かったら どうしてか教えてもらえる?」
三好水葉「・・・・・・ごめんなさい」
三好水葉「それはお兄ちゃんと双葉から 許してもらえないと 私の口からは言えません」
宇喜多羽彩「そっか!ごめんね! 踏み込みすぎちゃった」
三好水葉「いえ 誰だって二人の様子を見たら 気になりますよ」
三好双葉「すみません!お待たせしました!」
宇喜多羽彩「待ってたぞ双葉! 厨房の鍵の返却お疲れ様!」
三好双葉「当番ですから当然です 二人で何を話していたんですか?」
三好水葉「今度の合宿は闇鍋にするか相談」
三好双葉「そんなの絶対悲惨じゃん」
宇喜多羽彩「でも、暑くなる前に一度は 鍋はしときたいね」
宇喜多羽彩「すき焼き、豆乳、水炊き、おでん 色々種類あるからきっと楽しいよ」
三好双葉「絶対やりましょうね!」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
〇明るいリビング
三好水葉「ああ、どうして一人になるかな」
三好優弥「この状況で絶対に一人になりたくないよな」
三好水葉「みんなで行動しておけばいいのに」
三好優弥「ああ、やっぱり、ご臨終」
三好水葉「お約束だね」
二人の映画観賞はしばらく続いた
三好優弥「意外と面白かったな」
三好水葉「サメの中から現れたエイリアンが 怨霊とバトルになって 最後ゾンビになった主人公に退治された 謎展開はなかなか斬新だった」
三好優弥「よく企画通ったよな」
三好水葉「世の中は広いよね」
三好水葉「そういえばお兄ちゃん」
三好優弥「ん?」
三好水葉「宇喜多先輩と いつの間に仲良くなったの?」
三好優弥「この前の合宿で少し喋った」
三好水葉「ふーん」
三好優弥「どうしたんだ?」
三好水葉「宇喜多先輩って噂によると 男の人が得意じゃないらしいんだよね」
三好優弥「そうなのか? 上杉とも仲良さげだったぞ」
三好水葉「一応、料理部にも男子はいるから あからさまに避けるとかはないんだけど」
三好水葉「それでも自分から話すって 珍しいんだよね」
三好優弥「それが何か関係あるのか?」
三好水葉「だから、あの宇喜多先輩が お兄ちゃんに積極的に 話しかけるのが珍しいってこと」
三好優弥「ふーん」
三好水葉「やっぱり興味なさそう」
三好水葉「多分その興味なさそうな感じが 宇喜多先輩に気に入られたんじゃないかな」
三好優弥「まあ、旧校舎に一人でいたり 変な奴だなとは思ってたけど やっぱり変な奴だったか」
三好水葉「あの宇喜多先輩を 変わった奴呼ばわりできるのは 学園でもお兄ちゃんだけだよ」
三好水葉「でも、お兄ちゃんの言う通り 宇喜多先輩、たまにふらーと どこかにいなくなっちゃうんだよね」
三好優弥「やっぱり変わったやつだな」
三好水葉「宇喜多先輩もお兄ちゃんには 言われたくないと思うよ!」
三好水葉「でも、これからは同じ部活なんだから 仲良くしてよね」
三好優弥「分かってる」
三好優弥「そろそろ寝るか」
三好水葉「そうだね」
三好双葉「・・・・・・」