〇古いアパートの部屋
　　ワタシはひとり。
　　テーブルで爪を噛む。
　　
　　爪を噛む癖は
　　幼少期から、
　　あった。
ヒナコ「また、 帰ってこない」
ヒナコ「スープも冷めちゃってるし。 もう待ってるのも、疲れちゃった」
　　彼と同棲を始めて半年。
　　最初の頃はいつも一緒で
　　
　　最近は
　　帰ってこない。
ヒナコ「彼の為に、 洗濯も掃除も、 全部ワタシやってるのに」
　　噛みたくないけど、止まらない。
　　ム・イ・シ・キ。
ヒナコ「着信もないし 既読もついてない。 どこ行っちゃったんだろ・・・」
ヒナコ「彼のSNSも毎日見てるけど 特に何も変わってないんだよね・・・ ご飯食べたよ以外は・・・ 友達とご飯食べたっぽいのが」
ヒナコ「仕事が忙しいのかも しれないから 邪魔しないようにしてるけど・・・」
　　「お使いの電話は電波の届かない地域や
　　　電源が入ってない・・・」
　　
　　プツッ
ヒナコ「ダメだわ・・・」
ヒナコ「痛っ」
ヒナコ「噛みすぎちゃったところが 少し悪化してるぽい。 腫れてるみたい。 痛たた・・・」
ヒナコ「でも 薬箱を取りに行くのも 面倒くさいな・・・」
ヒナコ「ベッドまで行くのも おっくうだし」
ヒナコ「昨日から・・・ 動くのも面倒で・・・ 家事もしていない」
　　なんか文字を打つのに
　　集中できないし
　　冷や汗も出てきた。
　　怖くなったのかな・・・
　　寒気がする。
　　指も痛くなってきた。
ヒナコ「一昨日から・・・ ご飯もそのままで・・・」
ヒナコ「なんだか寒くなってきたから・・・ そのまま寝ちゃおう・・・ 伝言だけ残しておくわ・・・」
ヒナコ「愛してる・・・」
　　まさかその後
　　もう二度と
　　アナタに会えないなんて
　　
　　
　　ね
　　爪を噛んでいたら
　　注意してくださいね