〇警察署の食堂
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「お願いします」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「ハァー」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)（毎日毎日変わり映えしない風景）
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)（安い給料で働かされて）
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)（新しい服なんて何年も買ってない）
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「ハハ、こりゃ人生”詰み”だわ」
？？？「聞き捨てならないわね」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「一五さん・・」
一五　一穢(いちご　いちえ)「あなた今何歳？」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「27だけど・・」
一五　一穢(いちご　いちえ)「全然若いじゃない!! 私なんてもう40よ」
一五　一穢(いちご　いちえ)「それに離婚歴もないんでしょ？」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「無いっすけど」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「一五さん結婚してたんすか？」
一五　一穢(いちご　いちえ)「私、実は５回結婚してたから」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「５回!?そりゃまた多いっすね」
一五　一穢(いちご　いちえ)「それに最後に失敗しちゃってねぇ」
一五　一穢(いちご　いちえ)「ほら、私の方が詰んでるでしょ？」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「まぁ、そっすね」
？？？「聞き捨てならないねぇ」
一五　一穢(いちご　いちえ)「末田婆!!」
末田　ケシ(まつだ　けし)「アンタらまだまだここでは新参だろ？」
末田　ケシ(まつだ　けし)「私はもう30年もいるんだよ」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「そ、そんなに!?」
末田　ケシ(まつだ　けし)「もうお迎えも近いだろうし・・」
一五　一穢(いちご　いちえ)「またそんなこと言って」
末田　ケシ(まつだ　けし)「でも人生詰んだなんて思っちゃいない」
末田　ケシ(まつだ　けし)「生きて飯が食えるだけでも儲けもんってもんだ」
末田　ケシ(まつだ　けし)「私ですらそう思って生きてんだ」
末田　ケシ(まつだ　けし)「アンタらまだまだ人生詰んでなんかいないよ」
末田　ケシ(まつだ　けし)「これからさ」
一五　一穢(いちご　いちえ)「末田婆・・」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「・・たしかにそっすね」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「私達は生きているっすもんね」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「全然詰んでなんか・・」
　　お前ら!!
刑務官「いつまでくっちゃべってんだ!!」
刑務官「もう昼食の時間は終わりだ!!」
刑務官「午後の刑務作業に取り掛かれ」
一五　一穢(いちご　いちえ)「えー、もう休憩終わりぃ？」
末田　ケシ(まつだ　けし)「せっかちな奴だねぇ」
摘取　跋扈(つみと　ばつこ)「めんどくさーい」
刑務官「懲罰房にぶち込むぞ!!」
「はーい」
刑務官「チッ」
刑務官「にしても何が詰んでないだ」
刑務官「窃盗の常習犯に」
刑務官「結婚詐欺師に」
刑務官「『自主規制』」
刑務官「なのに罪の意識もなければ反省もない」
刑務官「ここを出てもすぐ戻ってくるか出れないあいつらは」
刑務官「”詰み”な女だよ」