最後の爆弾(脚本)
〇取調室
警察官「ねえ、そろそろ教えてくれない?」
女「教えるって、何をですか?」
警察官「最後の爆弾の場所」
女「はあ」
警察官「爆弾を仕掛けたのは私です、って自首をしてきたのは君じゃないか」
警察官「一つ目が遠見公園の男子トイレ」
警察官「二つ目が喫茶店ルーブルの裏口」
警察官「三つ目が竹内駅のホームのゴミ箱」
警察官「今、警察が証拠を集めてる」
警察官「君が逮捕されるのも時間の問題だよ」
女「どうして爆弾がまだあると?」
警察官「君の自宅のパソコンから、黒色火薬の購入履歴が確認されている」
警察官「それから今まで見つかった分を引くと、ちょうど爆弾一個分の火薬が余るんだ」
警察官「もう一個、作ってあるんでしょ?」
女「・・・誰か、爆発で怪我を?」
警察官「ううん、夜だったから、誰も」
警察官「確かに爆弾は小さな物だった」
警察官「でも、誰かが近くにいたら人を殺せるくらいの威力はあるよ」
警察官「どうせストレス解消のつもりでやったんでしょ?」
警察官「俺は君に、殺人犯になってほしくないわけ」
女「ありがとうございます」
女「でも、大丈夫です」
警察官「そんなこと言ったってねえ」
警察官「こっちが困るんだよ」
警察官「爆弾が見つかるまで寝れないんだから」
女「・・・今、何時ですか?」
警察官「11時57分」
警察官「あとちょっとで12時になっちゃうよ」
女「あ、そうですか」
女「じゃあ、そろそろ答え合わせを」
女「安藤ナオキさん」
警察官「・・・俺、下の名前言ったっけ?」
女「覚えてますよね、二年前のこと」
女「仕事帰りのOL、渡辺夏子が遠見公園内の男子トイレに連れ込まれ、」
女「強姦の被害を受けた事件を」
女「容疑者として捕まったのは、当時暴力団に所属していた後藤健一」
女「でも、目撃情報もあって、何より夏子自身が顔を見たと言っているのに」
女「証拠不十分で有罪にはならなかった」
女「警察が証拠を隠滅したんです」
女「事件の後、あなたが後藤と喫茶店ルーブルで話をしているのが目撃されています」
女「あなたは後藤に、未成年の女の子を紹介されていたんですよね」
警察官「き、君は一体」
女「下の名前、言ってませんでしたっけ」
女「春子です、渡辺春子」
女「強姦事件の被害者、渡辺夏子の姉です」
警察官「・・・・・・」
女「話を続けますね」
女「事件の三か月後、夏子は自殺した」
女「竹内駅で、電車に飛び込んで」
女「ねえ、ナオキさん」
女「あなたが当直のときに自首をしたのは、偶然だと思いますか?」
女「あなたが、事件のことを忘れないでいれば」
女「夏子が死んだ場所を、覚えていれば」
女「あなたは気付けたのかもしれない」
警察官「・・・最後の爆弾はどこだ!」
女「すぐ近くにありますよ」
警察官「どこなのかを言えと言ってるんだ!」
女「・・・爆弾は、できるだけ小さくて」
女「威力がでるものにしたはずなんですけど」
女「それでも、飲み込むのには苦労しました」
警察官「ま、まさか・・・」
女「あ、そろそろ12時になるんじゃないですか?」
女「・・・夏子、今いくからね」
警察官「た、助けてくれ!」
カチッ
短い中に彼女の恨みがこもっていてゾッとしました。この後きっと…😱😱😱
怖っ!!😱 春子さんの「夏子、今いくからね」が真に迫っていてゾッとしました 笑
爆弾を仕掛けた場所はただの推理クイズじゃなくて意味がありそうだなぁと思ってましたが、しっかり今に繋がる理由でしたね
女性が復讐に至る経緯も丁寧に(しかもクドくなく!)描かれており、濃密に感じました
ラストも派手な爆発のエフェクトに頼らず、「カチッ」で止める余韻が素晴らしい!😆
とても味わい深い一作でした✨
これは極上のサスペンスのワンシーン!緊張感がひしひし伝わってきます!
このラストの演出とヒキ、ドキドキでたまりませんね!