姫島祥子襲撃事件とブ厚い友情の物語

大杉嵐雪

姫島祥子襲撃事件とブ厚い友情(脚本)

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大杉嵐雪

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〇川に架かる橋
  俺は日刊紙の記者をやっている。
  今日は編集長の命令でアポ無し取材に行く所だった。
  この道の先に取材現場がある。

〇学校の校舎
  ここは紀勢高校と言う名前の普通の高校だ。
  でもここには有名人がたくさん通っている。
  アイドル、探偵、スーパーヒーロー、大富豪の娘、天才発明家・・・
  誰でもいい。誰か1人に取材をしたかった。
  しかし校門の前には・・・
笹島剛柔「おい、なんかようか?」
  噂には聞いていたが本当にいた。
  紀勢高校の校門の前には番長がいると先輩記者から聞いていた。
関口羽男「ちょっと生徒に取材をしに・・・」
笹島剛柔「帰れ」
関口羽男「え?」
笹島剛柔「殴られてえのか?」
関口羽男「いえいえそんな!」
関口羽男「あっ!君は!」
  蒼い髪に灰色の瞳。間違いない!この人は!
関口羽男「探偵の桜堂愛奈さん?」
関口羽男「先月、あなたが解決した篠原金造殺人事件で黄金の遺産を相続したとか、してないとか?」
桜堂愛奈「ノーコメントで」
関口羽男「大金を手に入れて、この前天然の鰻を購入しましたよね?」
笹島剛柔「おいコラ・・・」
関口羽男「桜堂さんの隣にいるあなたは!!」
関口羽男「姫島祥子!」
関口羽男「今人気アイドルグループ「サスティナブルズ」の姫島祥子!」
関口羽男「ドーム公演に向けて意気込みを・・・」
姫島祥子「頑張りまーす!」
笹島剛柔「いい加減にしろ!」
関口羽男「ほげ!」
関口羽男「イテテ!殴ったな!」
神戸ナオキ「大人を殴るのは良くないなァ」
  高級学生服を着た不良軍団がバイクや車に乗ってやってきた。
笹島剛柔「神戸ナオキ・・・」
関口羽男「ナオキ?君は隣町のルークス学園の神戸ナオキ?」
笹島剛柔「そうだ。この辺りをうろついてる不良グループのリーダーだ」
神戸ナオキ「その通り。学園生活は退屈でね」
神戸ナオキ「我が想い人。姫島祥子ちゃんを頂きに来たのだよ」
笹島剛柔「何!?」
姫島祥子「お兄ちゃん!助けて!」
  祥子は不良軍団の車に無理やり押し込まれた。
笹島剛柔「祥子!」
神戸ナオキ「フフフ。たっぷりと楽しめそうだ」
神戸ナオキ「野郎ども!ズラかるぞ!」
  不良軍団は大音量の排気音と共にあっと言う間に走り去っていた。
笹島剛柔「祥子おおぉお!!」
桜堂愛奈「行っちゃった・・・」
笹島剛柔「・・・」
笹島剛柔「あいつら許さん!」
笹島剛柔「追いかけるぞ!」
笹島剛柔「愛奈!お前も来い!」
桜堂愛奈「まさか走って行くつもり?」
笹島剛柔「当たり前だ!」
笹島剛柔「おっさんも行くぞ!」
関口羽男「僕も?」
笹島剛柔「ウォオオ!!祥子ォオオ!」
  3人は不良グループが走り去った方向へ向かって全速力で駆け走って行った。
日立日向「・・・」

〇西洋の市場
  3人は通行人に不良のグループが通ったかを聞きながらその行方を追っていた。
  肉屋の親父の話を聞き終えた所で桜堂のスマホが鳴った。
桜堂愛奈「剛柔、祥子ちゃんから電話来てる・・・」
笹島剛柔「よし、出るぞ」
  愛奈はスピーカーにして電話に応答した。
笹島剛柔「祥子大丈夫か?」
姫島祥子「ぐすん、大丈夫・・・」
笹島剛柔「祥子!今どこにいる?」
姫島祥子「私は・・・」
神戸ナオキ「おっと〜居場所を教えるわけにはいかないなァ〜」
笹島剛柔「ナオキ!」
神戸ナオキ「フフフ、これから祥子ちゃんを楽しむんだ。お前に居場所を知られるわけにはいかない」
神戸ナオキ「それじゃ!」
  ツーツーツー
笹島剛柔「クソ野郎が!!」
  剛柔は怒りのあまり瞳から光が消えていた。
  そして八つ当たりに豚肉の塊に一発殴りつける。
桜堂愛奈「でも場所はわかった」
関口羽男「本当か?」
桜堂愛奈「ええ」
桜堂愛奈「波の音がした。そして微かに踏切の音も聞こえた」
桜堂愛奈「この町で海沿いに踏切があるのは3箇所」
桜堂愛奈「踏切が鳴ると言う事は電車が通る・・・」
桜堂愛奈「この時間帯に電車が通る踏切は紀勢駅から出発し、3分後に通過する紀勢港の北側の踏切」
桜堂愛奈「紀勢港倉庫がある所よ」
桜堂愛奈「その近くに祥子ちゃんはいる」
笹島剛柔「祥子ォオオ!!」
  桜堂が喋り終わった瞬間に剛柔は全力で走り出した。

〇港の倉庫
  桜堂の推測は見事的中した。
  港の倉庫の前にはバイクや車が大量に停まっていた。
笹島剛柔「祥子!!」
  剛柔は倉庫のシャッタを勢いよく開けた。

〇廃ビルのフロア
姫島祥子「みんな〜ありがとう〜」
  祥子はコンテナのステージの上で手を振っていた。その周りには不良たちが歓声を上げていた。
神戸ナオキ「いぇーい!」
姫島祥子「お兄ちゃん?」
笹島剛柔「何やってるんだ・・・?」
神戸ナオキ「剛柔!?!?なんでここに??」
神戸ナオキ「そういえばあの場に探偵も居たっけ・・・」
笹島剛柔「ナオキ!何やってるんだ!」
神戸ナオキ「見ての通り。俺たちだけのステージだ!」
姫島祥子「この人たち、私のファンなんだって!」
笹島剛柔「ファンでもやって良い事と悪い事があるだろ!」
笹島剛柔「ナオキ・・・表に出ろ・・・」
神戸ナオキ「嫌だ!」
神戸ナオキ「祥子ちゃんは俺たちの物だ!」
笹島剛柔「いいから表に来い!」

〇港の倉庫
笹島剛柔「今からお前をボコる!」
神戸ナオキ「お?俺とやるのか?」
神戸ナオキ「いいだろう。でも条件がある」
神戸ナオキ「俺が勝ったら祥子ちゃんは俺たちだけのアイドルだ」
笹島剛柔「いいだろう。俺は喧嘩無敗王だ。喧嘩は負けない」
  剛柔達に遅れてスカイラーが空から飛んできた。
スカイラー「助太刀しようか?無敗王」
笹島剛柔「余計だ」
スカイラー「タイマンってやつか。いいだろう」
スカイラー「祥子ちゃんは僕に任せてくれ」
笹島剛柔「行くぞ!ナオキ!」
神戸ナオキ「フフフ」
  ナオキはポケットからナイフを取り出し、腹部を狙って刺しに来た。
  剛柔は間一髪で避け、その勢いに乗せて顔面に一発重いパンチを放つ。
神戸ナオキ「グァアア!顔が!目が!!」
神戸ナオキ「痛いよゥ!」
神戸ナオキ「ママぁあ〜」
  ナオキは倉庫の中に走り去ってしまった。
笹島剛柔「なんだ。大した事なかったな」
笹島剛柔「祥子!」

〇廃ビルのフロア
スカイラー「スマン、 無敗王・・・」
笹島剛柔「スカイラー!祥子は?」
神戸ナオキ「よくやったぞ我が友人たちよ」
スカイラー「集団では敵わなかった」
スカイラー「あっと言う間にまた祥子ちゃんが捕まってしまった」
神戸ナオキ「もうどうでもいい」
神戸ナオキ「金だ」
神戸ナオキ「金を用意しろ!」
笹島剛柔「金?」
  剛柔は急いで財布を開けたが、中は小銭しか入ってなかった。
  スカイラーはカード派で現金は持ち合わせていない
笹島剛柔「おっさん、いくら持ってる?ジャンプしてみろ」
  ジャンプすると小銭の音が鳴った。しかし手持ちは缶コーヒーがギリ買えるくらいしか持っていない。
神戸ナオキ「お?金がないのか?じゃあ祥子ちゃんは俺たちの物だ!」
神戸ナオキ「ほらさっさと帰れ!じゃないと・・・」
  ナオキは祥子の首にナイフを近づく。
神戸ナオキ「俺もこんな綺麗な身体を傷物にしたくない・・・」
桜堂愛奈「金ならある!」
神戸ナオキ「おっ、探偵!」
  愛奈は鞄から1枚の古紙を取り出しナオキに渡した。
神戸ナオキ「ケツ拭いた紙みたいなもの出すんじゃねえ!」
桜堂愛奈「篠原家の遺産の在り方の地図。黄金の財宝が眠ってるはずよ」
桜堂愛奈「祥子ちゃんを渡すだけで黄金の財宝はあなたの物。こんな美味しい話はないでしょ?」
神戸ナオキ「ニュースで見たあの事件の財宝か!」
神戸ナオキ「約束通り祥子は返そう」
神戸ナオキ「野郎ども!財宝を頂きに行くぞ!」
  ナオキとその軍団はまた大きな排気音と共に走り去って行った。
姫島祥子「ありがとうお兄ちゃん!愛奈ちゃん!」
姫島祥子「スカイラーもありがとう♡」
スカイラー「いえいえ、全然平気!」
  スカイラーは全身打撲の猛烈な痛みを堪えながら言った。
関口羽男「僕は何もできなかった」
笹島剛柔「まったくだ。大人なのに」
笹島剛柔「でもいいのか?財宝はお前の物だったんだろ?」
桜堂愛奈「うん、いいの」
桜堂愛奈「だって友達はお金に変えられないもの」
姫島祥子「ありがとう!」
笹島剛柔「ありがとう愛奈!」
笹島剛柔「今何時だ?」
桜堂愛奈「えーっと、8時45分・・・」
笹島剛柔「ヤバい遅刻する!お前ら全員走れ!」
  3人は全力で学校へ向かって走っていった。
  スカイラーはジェットパックで空の彼方へ去っていった。
関口羽男「アイドル姫島祥子襲撃事件とブ厚い友情」
関口羽男「いい記事が出来る気がする!」
  関口はぶつぶつ言いながら編集部に戻っていった。

〇森の中の小屋
黄瀬ユウガ「この中に財宝が!」
神戸ナオキ「俺たちは億万長者だ!!」
  山小屋を開けると一つの壺が入っていた。
神戸ナオキ「財宝がない!?黄金も紙幣もない!騙された!!」
  壺とその横には一冊の本が無造作に置かれていた。
  ナオキは恐る恐る壺の中を見る。そこには黒い液体が入っている。
  本の表紙には「篠原家直伝 鰻のタレ製造レシピ」と書かれていた。
  ナオキは壺の中にある液体を指に付けて、ペロリと舐めた。
  好きな祥子ちゃんの事。探偵に騙された事。剛柔に喧嘩に負けた事。
  全て忘れてしまうほど、とある感情が心の奥底から湧き出てくる。
  そして深い感動と共にナオキは呟いた。
神戸ナオキ「美味しい!」
黄瀬ユウガ「確かに美味しい話だったな・・・」

コメント

  • 大きな出来事っぽかったので、1日掛かりだったのかなあと思いきや、学校が始まる前の出来事だったのでびっくりしました😂
    そして羽男さん、生徒たちのこと熟知しまくっててさすが記者さん、下調べは完璧だなあと感心しました😂

  • どこから突っ込んでいいか分からない話にワタワタしていたら、最後にびっくり。この乱痴気騒ぎが8時45分より前の出来事だったなんて。いや〜若い人やバカい人たちは朝から元気なんだな〜。何はともあれ祥子ちゃんが無事で良かったです。

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