第1話『ミス研』(脚本)
〇高い屋上
ある日の放課後
屋上に二人の生徒がいた
蒼村優「先輩、こんなところに 呼び出してどうしたんですか?」
三好優弥「そむら 急に呼びだして悪かったな」
蒼村優「い、いえ」
蒼村優「でも、こんなところに 二人きりで呼び出すなんて驚きました」
三好優弥「・・・・・・実はそむらに 言いたいことがあってな」
蒼村優「(ドキドキ)」
三好優弥「最近、刺激が足りない気がするんだ」
蒼村優「・・・・・・・・・・・・」
三好優弥「というわけで合宿するぞ!」
蒼村優「どうせ、そんなことだろうと思ってましたよ!」
蒼村優「屋上に呼び出されたから 期待した私がバカでした」
三好優弥「ん? なんか言ったか?」
蒼村優「いえ、こっちの話です 忘れてください」
蒼村優「ていうか、合宿っていうことは また肝試しをするんですよね!」
蒼村優「先週もやったじゃないですか! これで4週連続ですよ! 入部してからずっとです!」
三好優弥「ちなみに今回は旧校舎だ 前回は廃神社だったけどな」
蒼村優「旧校舎怖すぎるんですよ 新入部員歓迎会で入りましたけど!」
三好優弥「泣いて喜ぶなんて感心だな」
蒼村優「うわあぁ。ナチュラルってこわい」
そして、ミステリーオカルト研究会は
金曜日ということで恒例の合宿を行うことになる
〇合宿所の稽古場
三好優弥「合宿所は部室に限るな」
蒼村優「前から気になってたんですけど 何でうちの部室って武道館何ですか?」
蒼村優「うちって『ミステリーオカルト研究会』ですよね?」
三好優弥「そりゃあ、剣道部から奪い取ったからな」
蒼村優「・・・・・・」
上杉遼羽「お、やってるな」
三好優弥「上杉やっと来たか」
蒼村優「上杉先輩! 三好先輩を止めてくださいよ」
上杉遼羽「久しぶりの肝試し楽しみだな」
蒼村優「久しぶりって まだ1週間ですよ!」
蒼村優「先輩二人とも頭おかしいよ」
上杉遼羽「とりあえず、夕食買ってきたから 食べようぜ」
蒼村優「合宿じゃなくて パーリーでも始まるんですか?」
上杉遼羽「え、そむら食わないの?」
蒼村優「食べますけど、量おかしくないんですか!? カロリー、脂肪、糖分、塩分が 極悪すぎません?」
三好優弥「高校生一日の摂取カロリーだろ」
蒼村優「二人はオークかトロールですか?」
三好優弥「よし、食うぞ!」
三人は肝試しを前に
あっという間に夕食を平らげるのだった
上杉遼羽「いやあ、美味かったな」
三好優弥「あとは肝試しをするだけだ」
蒼村優「パーリーも終わったし 今日はこれでお開きにしましょう」
三好優弥「よし、旧校舎に行くぞ」
蒼村優「私の声聞こえてないのかな」
〇ボロい校舎
三好優弥「この空気がたまらんな」
上杉遼羽「まったくだ」
蒼村優「・・・・・・」
三好優弥「誰からいく?」
蒼村優「3人で行くっていう選択肢は 最初からないんですね」
上杉遼羽「じゃあ、俺から行くわあああああ!」
蒼村優「あれ肝試しのテンションじゃないですよね 陽キャラ過ぎて幽霊蒸発しますよ」
三好優弥「さすが副部長の上杉」
三好優弥「頼もしい野郎だぜ」
蒼村優「頼もしいレベル超えてますよ」
蒼村優「先輩、お願いがあるんですけど」
三好優弥「どうした? 旧校舎に1人で泊まりたいっていうなら 止めないぞ」
蒼村優「止めろよ!」
蒼村優「一緒に行きませんか?」
三好優弥「・・・・・・」
蒼村優「何ですか? その罪人でも見るような冷めた目は」
三好優弥「お前、正気か? こんなハッピータイムを スルーしちゃうのか?」
蒼村優「どっちが正気か SNSでアンケート取ってみます?」
三好優弥「面白さが半減するだろ」
蒼村優「アトラクション以外の肝試しに 面白さを求めてねえよ!」
蒼村優「お願いしますよ!」
三好優弥「安心しろ。そむら」
蒼村優「今のエフェクト何です?」
三好優弥「こんなこともあろうと 人形を用意しておいた」
蒼村優「知ってました 無視されるって」
蒼村優「それでこの人形は何ですか?」
三好優弥「一人じゃ寂しいだろうから 用意しておいた」
蒼村優「優しい。さすが先輩 これで怖くない!」
蒼村優「んなわけあるか!」
三好優弥「でも可愛いだろ? お前のために用意したんだ 受け取ってくれ」
蒼村優「でも、せっかくのプレゼントだから 大事にしますね!」
蒼村優「わーい! 先輩からプレゼント貰っちゃった!」
蒼村優「でも、これ お腹に変わった縫い目ありますね」
蒼村優「ところで、これどうしたんですか?」
三好優弥「拾った」
蒼村優「・・・・・・忘れてた」
蒼村優「・・・・・・アホなんだこの人」
蒼村優「拾ったものを可愛い後輩に渡すな!」
蒼村優「私のトキメキ返せ!」
三好優弥「人形を拾ったとき 腹の赤い縫い目が珍しくて 解いてみたら米粒出てきたんだよな」
三好優弥「だから、ちゃんと綺麗に縫合しといたぞ」
蒼村優「・・・・・・」
蒼村優「ひとりかくれんぼの道具じゃないですか!」
三好優弥「レアだろ?」
蒼村優「呪物をハードオフの掘り出し物 扱いしないでください」
蒼村優「とにかくこの人形は使いませんし お寺か神社に持って行ってください」
三好優弥「わがままなやつだな」
蒼村優「あれぇぇ、私が間違ってるのかな 普通の人だと話噛み合うのに」
蒼村優「とにかく、私を馬鹿にした罰として 一緒に肝試してもらいます」
三好優弥「・・・・・・」
蒼村優「露骨に嫌な顔をしないでください そむらもさすがに傷つきます」
三好優弥「分かったよ。仕方ねえな」
三好優弥「ていうか、いつものことじゃねえか 結局お前のわがままで二人で回ってる」
蒼村優「何か納得できないけど まあいいか」
上杉遼羽「ただいま!」
三好優弥「戻ったか!どうだった?」
上杉遼羽「いたわ!」
三好優弥「おお!楽しみだわ!」
蒼村優「行きたくないぃぃ」
〇明るい廊下
三好優弥「暗♡」
蒼村優「楽しそうで何よりです」
三好優弥「そむらも楽しそうだな!」
蒼村優「どこがだよ!」
三好優弥「とりあえず行くぞ」
蒼村優「はい」
〇教室
三好優弥「何もないな」
蒼村優「いいことです」
三好優弥「そういえば学園の七不思議って知ってるか?」
蒼村優「高校でも七不思議ってあるんですか 小学校までと思っていました」
蒼村優「あ、ちなみに話さなくていいですよ 怖いから」
三好優弥「そんなに聞きたいのか!」
蒼村優「もしかして先輩には私以外の誰かの声が 聞こえてたりします?」
三好優弥「彷徨う女」
蒼村優「やめてください!」
三好優弥「それは五十年以上前のことだ 一人の女性が暴漢に襲われ 学校に逃げこんだ」
三好優弥「だけど、不運なことに逃げる途中で 階段で足を滑らせて 頭から落ちてしまったらしい」
三好優弥「それ以来、夜中、学校では 女の幽霊が現れて 犯人を捜して彷徨っているらしい」
蒼村優「だから、どうしてそんな話をするんですか!」
三好優弥「だってこの話を 夜の学校で話したら 出てくるって噂だからな」
蒼村優「・・・・・・」
蒼村優「どうして、あなたはいつもいつも」
蒼村優「そうやって、後から 大事なことを言うんですか!」
三好優弥「楽しいからに決まってんだろ」
蒼村優「鬼ですか!?」
〇薄暗い廊下
???「・・・・・・」
蒼村優「今、誰かいませんでした!?」
三好優弥「そりゃあ、俺たちみたいに肝試しをしている連中かもしれないだろ」
蒼村優「そんなもの好きな生徒いませんよ!」
???「・・・・・・・・・・・・」
三好優弥「いたな」
蒼村優「でたああああああああああ」
蒼村優「・・・・・・きゃん」
三好優弥「気を失ったようだな」
???「え?うそ その子失神しちゃった?」
三好優弥「仕方ない 一回出るか」
???「私も手伝うよ」
三好優弥「すまないな」
気絶したそむらを
二人は部室まで運び出した
〇合宿所の稽古場
三好優弥「とりあえずソファーに寝かせたから 大丈夫だろう」
上杉遼羽「まさか気絶して戻ってくるなんて 思わなかったぞ」
宇喜多羽彩「ごめんなさい まさか、あんなに驚くとは思わなかったから」
三好優弥「気にすんなって 勝手に気絶したそむらが悪い」
上杉遼羽「そむらを運ぶの手伝ってくれて ありがとう!」
上杉遼羽「ていうか、君、宇喜多さんだよね? 旧校舎で何していたんだ?」
宇喜多羽彩「夜の散歩 部活の合宿だったけど 暇だったから夕食後の散歩してたの」
三好優弥「あんたもオカルト好きなのか!」
宇喜多羽彩「オカルト好きな方だけど 君たちみたいに肝試しはしてないかな」
宇喜多羽彩「というか、自己紹介まだだったよね 上杉君は私のこと知ってたみたいだけど」
宇喜多羽彩「私は宇喜多」
上杉遼羽「俺は上杉 知ってくれてたみたいだけど 話すのは初めてだだな」
三好優弥「俺は──」
宇喜多羽彩「知ってる 三好君でしょ?」
三好優弥「何で、知ってんだ?」
上杉遼羽「毎日奇行やってるから 目立つんだろ」
宇喜多羽彩「それも少しあるけど ちがうちがうw」
宇喜多羽彩「双葉と水葉のお兄さんでしょ?」
三好優弥「あいつらのこと知ってるのか」
宇喜多羽彩「もちろん可愛い部活の後輩だからね」
三好優弥「いつもダブル愚妹がお世話になっています」
宇喜多羽彩「いえいえ 二人ともとってもいい子だよ」
上杉遼羽「なんだ、間接的に知り合いだったわけか」
宇喜多羽彩「そうそう だから、二人のことも何となく知ってたよ」
宇喜多羽彩「三好君に認識されてなかったのは 少し悲しいけど」
宇喜多羽彩「ミステリーオカルト研究会は 毎週合宿して肝試しをする 変人部活だというのも知ってる」
上杉遼羽「否定できない」
三好優弥「せめてHENJINって言ってほしい」
宇喜多羽彩「そうじゃないだろ」
上杉遼羽「そういえば宇喜多さんって 何の部活だっけ?」
宇喜多羽彩「料理部だよ!」
上杉遼羽「料理部なのにこんな遅くまで 学校にいるのか」
宇喜多羽彩「そうだよ 料理部も夕飯とかバーベキューの研究で 合宿するんだ」
宇喜多羽彩「なんと、お風呂の後には 飯テロお夜食もありまーす そのあとは皆で恋バナ!」
三好優弥「そんな部活あったのか」
上杉遼羽「自分の妹が入っている部活なのに 興味ないのかよ」
宇喜多羽彩「しょうがないよね 料理関係だけで、お菓子研究会、おつまみ同好会、麺類同好会、小料理部、屋台研究会、二郎系行列同好会」
宇喜多羽彩「みそ汁の具材評議会、スナック菓子研究会、昆虫食愛好会、闇の鍋部、獲れたて鮮魚捌き隊etc」
宇喜多羽彩「うちの学園だけでもこれだけあるからね」
上杉遼羽「よく創部が認められたな 俺たちが言えた立場ではないけど」
宇喜多羽彩「この学園では認められれば何でもOK 申請もザル、許可もザル、経費もザル」
上杉遼羽「まあ、俺たちみたいな部活でも 部費は支給されるから 学園の財力どんだけあるんだ」
三好優弥「理事長すげえ金持ちだから 自腹切ってるらしいな」
宇喜多羽彩「何でそんなこと知ってるの?」
三好優弥「理事長から直接聞いた たまにネトゲーで会うし」
上杉遼羽「さすが、理事長 フレンドリーすぎんだろ」
宇喜多羽彩「君ら面白いね 話してて楽しいわ」
宇喜多羽彩「でも私そろそろ戻るね 部活のみんなが心配するから」
宇喜多羽彩「また遊びに来るね そむらちゃんによろしく!」
上杉遼羽「さすが、宇喜多様」
三好優弥「宇喜多様?」
上杉遼羽「学園でも有名な美少女だから 裏では様付けで呼ばれてる」
三好優弥「だから、名前知ってたのか」
上杉遼羽「まったく他人に興味なさすぎるだろ 他の生徒の名前ぐらい覚えろよ」
上杉遼羽「ちなみに、そむらも評判高いぞ 裏では結構告白されてるらしい」
三好優弥「え、あのそむらが?」
上杉遼羽「忠告しておくが 闇討ちには気を付けたほうがいいぞ」
上杉遼羽「ファンがどこにいるか分からないからな」
三好優弥「この学園、怖いな」
三好優弥「とりあえずさっさと風呂入って そむら起こしてからホラー映画垂れ流しの百物語の準備しようぜ」
三好と上杉は、そむらを起こしてから
学園敷地内にある大浴場へ向かった。
〇高い屋上
宇喜多羽彩「あれ?さっきぶり」
三好優弥「おお、さっきぶり」
三好優弥「俺でもわかるけど こんな夜に、旧校舎や屋上に 一人で来る女はヤバい奴だ」
宇喜多羽彩「HENJINに言われたら 相当だね私」
宇喜多羽彩「何でこんなところに来たの?」
三好優弥「風呂の後の休憩で涼みにきた 上杉とそむらは先に部室だ」
三好優弥「そっちは?」
宇喜多羽彩「私も同じ お夜食の前の散歩」
三好優弥「お互い趣味が合うってことだな」
宇喜多羽彩「そうだね」
三好優弥「うちの学校って凄いよな 昼ならまだしも 夜も屋上開放してるんだから」
宇喜多羽彩「そうだね それだけ生徒を信用してるんでしょうね」
宇喜多羽彩「ねえ、三好君に聞きたいんだけど」
三好優弥「何を聞きたいんだ?」
宇喜多羽彩「何でいつも肝試しとか いろいろやってるの?」
三好優弥「退屈だから」
三好優弥「科学が進化しすぎた世の中で 怪談やオカルトって現代に残された 唯一のファンタジーだろ?」
宇喜多羽彩「確かに! 言われてみたらファンタジーだ!」
宇喜多羽彩「ねえ、七不思議のひとつで 『死者に会える方法』って知ってる?」
宇喜多羽彩「ていうか、知ってるよね?」
三好優弥「まあな」
宇喜多羽彩「・・・・・・」
宇喜多羽彩「・・・・・・君は誰に会いたいの?」
宇喜多の問いの意味を
優弥は理解できなかった。
キャラ同士の掛け合いが面白いですね❗️
「獲れたて鮮魚捌き隊」というパワーワードが個人的にツボでした😆
私はホラー耐性ゼロなのですが、「ひとりかくれんぼ」の意味がわからなくてググったら怖すぎて思考停止しました...💦
わー!これは面白いですね!✨😊
これから彼や彼女たちがどうなっていくのかが気になりますね!!✨
今色々読んでるので、少しずつ、マイペースに続きを読ませていただきますね!!✨😊
夜の学校って不気味なだけでなく青春の切さなんかも感じさせる独特の雰囲気があって、物語の舞台にはぴったりなんですよね。三好はふざけているようで、実は肝試しの目的がちゃんとあったんですね。気になる。