あじさいという場所

下假 貴子

読切(脚本)

あじさいという場所

下假 貴子

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〇田舎の病院
  ここは東串良町老人ホーム施設。あじさい・・・。
  今日も何やら事件の匂いがしてきたー
  そこに何やら色々企む一人のおばちゃんが・・・。

〇おしゃれなリビングダイニング
下假貴子「はやくたべてくださあい。 味噌汁ですよ・・・」
有上ゆうこ「あーん。 おいしくなあい」
下假貴子「ぴきっ・・・。 え〜い。ふんぬ~」
有上ゆうこ「美味しい。 ぎりぎり・・・かみかみ」
下假貴子「ふぅ。 これでいい」
下假貴子「──」
有上ゆうこ「美味しかった」
有上ゆうこ「でも何するの〜。 まずいごはんだあ〜。昔はそう食べてましたあ」
瀬戸口さん「いい事思い付いた」

〇田舎の病院の病室
下假貴子「おむつ交換おわり」
有上ゆうこ「ありがとうございます。あなたはいいひとです」
下假貴子「またね。おやすみなさい」

〇おしゃれなリビングダイニング
瀬戸口さん「ありがとう。ゴミ出したら帰っていいよ」
下假貴子「はい。お疲れ様です・・・」
下假貴子(今日は夜勤頑張って下さいって言わないほうがいいよね)

〇清潔な浴室
下假貴子「疲れたよ〜。 明日は何話そうかな。 うふふ・・・」

〇田舎の病院
瀬戸口さん「みんな、起きないでよ~」
中野ゆい「ふう」
中野ゆい「貴方はいい人ですか?」
瀬戸口さん「私は悪い人ですよ」
瀬戸口さん「にこっ」
中野ゆい「あの子が可哀想・・・。 他の子は・・・、あの子に罰与えたい。 何故そんな事するのかしら」
瀬戸口さん「時はきたりですね。 これからあの子のする事・・・あの子達がする事見てみましょう」
中野ゆい「ふう」
中野ゆい「はい、せんべい」
瀬戸口さん「ありがとう」

〇おしゃれなリビングダイニング
有留さん「おはようございますムスッ」
有留さん「ぐふっ」
前神さん「おはよう。 今日もよろしく。今日はなにするかな。遊んでな。そしてお風呂もな。それからな・・・なんだろな」
有留さん「早く席にすわらんかあ」
前神さん「ぎりぎり・・・」
瀬戸口さん「ふむふむ」
瀬戸口さん「そうね・・・」
有留さん「おはようございます。にこっ。 何すればいいですか?」
瀬戸口さん「じゃあ、窓開けて」
有留さん「はい」
前神さん「ぎりぎり・・・」
瀬戸口さん「前神さんは座る」
前神さん「覚えとけぇ」
瀬戸口さん「忘れるのはそっちなくせに」
前神さん「仕返ししとくから見とけぇ。おばあちゃんを舐めるんじゃないよ」
有留さん「たわけがあ」
前神さん「はっはっはっ。 たわけたことだ。 はははは。 今にお前らにバチ当たるみとけ。 はは」
有留さん「当たりませんよね」
瀬戸口さん「あたらないわよ」

〇おしゃれなリビングダイニング
只今タエ子「・・・」
平山さん「なにしてるんですかあ。それでもちゃんとしてるんですかあ」
只今タエ子「あ、あっ・・・」
平山さん「あーもう。 こうでしょう」
只今タエ子「そんなあ」
  ルービックキューブ触る
  カチャカチャ
只今タエ子「がんばる、頑張る」
平山さん「何してんだか」

〇田舎の病院の病室
平山さん「よいしょ。よいしょ。これでよし」
瀬戸口さん「ありがとうあんたは偉いね。ありがとう」
平山さん「まあいいわよ」

〇おしゃれなリビングダイニング
野原さん「どうにもならない世の中だね。 みんないいこなのにどうしてここにくるかね」
畠中さん「おはようございます。 野原サン」
鶴田さん「お早うございます。 野原さん」
野原さん「オマエラとは話ししたくないよ。まだあのクソババアと話した方がいい」
畠中さん「そんなあ」
鶴田さん「気を付けます。ありがとう野原さん」
野原さん「あの子は休みだね。 ボスは夜勤かい」
野原さん「今日はなんかあるのかい、そうぞうしいよ」
只今タエ子「──」
鶴田さん「今日は只今さんの誕生日です」
畠中さん「お祝いしましょう」
只今タエ子「ふゎん」

〇白いバスルーム
平山さん「よしっ。 あと一人」
只今タエ子「ううッ」
平山さん「早くしてよ」
平山さん「さらさらさら。 サーッサーッ」
只今タエ子「頑張る頑張る」
平山さん「もう」

〇おしゃれなリビングダイニング
有留さん「では今日は只今さんの誕生日祝いします。 ケーキを作りましょう」
野原さん「卵わろうかね」
有留さん「楽しいね」
中野ゆい「はあ」
前神さん「私も手伝うよ」
平山さん「じゃあ私はダンスします」
前神さん「いい見せ物だね。 いや、いい観物だね。 危ない危ない」

〇おしゃれなリビングダイニング
平山さん「僕達だって動物こーゆーのって好物♪」
平山さん「では、今は有留さんが只今さんの担当なんでお願いします」
只今タエ子「担当って何ですかぁ」
平山さん「いいから早くしてよ」
有留さん「じゃあ誕生日プレゼントです。はい、」
只今タエ子「ぬいぐるみ。みえません」
平山さん「ありがとうでしょう」
只今タエ子「ふんぬ」
只今タエ子「花が欲しい」
平山さん「何言ってるの?」

〇女性の部屋
下假貴子「・・・落ちちゃった」

〇おしゃれなリビングダイニング
田中さん「こんにちわ」
平山さん「もうきた11時だよ」
有留さん「4時からなのに」
田中さん「大丈夫大丈夫」

〇おしゃれなリビングダイニング
田中さん「よしよし」

〇おしゃれなリビングダイニング
  別な日
平山さん「少し休むかな」
田中さん「お早う」
平山さん「もうきたのまだ夜の8時だよ。7時からでしょ」
平山さん「──!!」

〇女性の部屋
下假貴子「次はどうしようかな」
下假貴子「そろそろダイエットかな」

〇田舎の病院の病室
只今タエ子「ガチガチャ。 宝トミーさん。頑張りますからお願いします」
平山さん「何ですかぁ早く寝て」
只今タエ子「待ってください」
只今タエ子「負けない負けない」

〇おしゃれなリビングダイニング
下假貴子「お早うございます」
平山さん「お早う」

〇田舎の病院の病室
下假貴子「宝トミーさんに早くいわなきゃ。 頑張りましょ。私もべっぴんになって宝トミーさん口説いて花を作ってもらいますから」
只今タエ子「あなたがですか? 面白い」
下假貴子「むっ」
只今タエ子「私も頑張ります」
下假貴子「もう知らない」
只今タエ子「じゃあ私も知りません。 今からあなたには負けませんから」
家族①「おばあちゃん元気ですか?」
只今タエ子「私はタエ子ですよ」
家族①「──」

〇おしゃれなリビングダイニング
  それからー
下假貴子「タエ子さん、お花ができるかもしれません」
只今タエ子「本当ですか?お花が?」
下假貴子「最低二人分まで咲き返しますからね?」
只今タエ子「早く目が見えるようになりたいです」

〇おしゃれなリビングダイニング
平山さん「じゃあ今日は私が歌をうたいます。 ありがとうって伝えたくて♪」
有上ゆうこ「ありがとうって伝えたいです」
平山さん「さあ、元気になるには気も大事ですよ」

〇女性の部屋
下假貴子「疲れたね。 う〜ん。これかな」

〇おしゃれなリビングダイニング
有留さん「そこうるさいよ」
有留さん「はい、姿勢を正してください。 そこ、姿勢を正して(# ゚Д゚)」
平山さん「──」
下假貴子「動けない」

〇田舎の病院の病室
只今タエ子「お花が」
只今タエ子「見えない目がみえるようになりました」

〇田舎の病院
平山さん「何これ・・・」
平山さん「はっ・・・」
只今タエ子「貴方は私にとって恩人だからあげたのにもういいです」
下假貴子「最初会った時に他の利用者さんからの攻撃守ったじゃないですか?かっこよかったです」
只今タエ子「そうです。でも最近は職員が利用者さんに暴力を・・・」
家族①「どういう事ですか」
瀬戸口さん「違います。昨今、全国どころか近辺だけ全てにおいてホントの噂でDVがあるとわかりました。私達は鬼になって」
瀬戸口さん「その人らしさをだし少し乱暴な介護するとあら不思議、皆反抗的になってワガママにそこに釘をうち」
瀬戸口さん「話を聞くのです。落ちたらまず我儘にさせそれからその人らしさをいい方向にもっていき只今さんが一番大変でした」
家族①「そう」
只今タエ子「花」
家族①「まあありがとう」
只今タエ子「願いを言ってください」
家族①「長生きしますように」
只今タエ子「貴方は?」
平山さん「私はもうスタイルいいけどスタイルよくなるように」
只今タエ子「じゃあ、これは貴方に返します。もう必要ありませんから。他に何をくれますか?」
下假貴子「今度は歩けるようにかな。車椅子なくすぞ〜」
只今タエ子「そんな事ができますか?」
下假貴子「みんなを見返してね」
白河さん「ワタシハマケナイ・・・ ふふふ」
  フィン

コメント

  • ご老人の介護に携わっておられる方には、大変なご苦労があるんだろうなあとよりリアルに伝わってきました。会話が成り立っているようでそうでない、そんなほのぼの感もあり、ただただ悲惨な感じがしないのがいいです。

  • 外国語を翻訳機にかけて直訳したような不思議な会話が続きましたが、お年寄りと職員の脈略のない関係性や摩訶不思議な展開がかえってリアルに感じられて、少し切なくなりました。現実の老人ホームというのは決して予定調和のほのぼの空間ではないんだよな、と考えさせられました。

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