〇テレビスタジオ
　　都内某空きスタジオにて──────

〇テレビスタジオ
藤野　翔(フジノ　ショウ)「えー、、、この度はわたくし スターアルファ社所属の藤野翔と」
「株式会社研女所属の鷹匠美咲さんとの 不倫疑惑の報道でお騒がせ致しまして 申し訳ございません」
「本日皆様にお集まりいただいたのは、自分の口から話すべきだと感じたからです」
「まず、、、」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「はぁー、」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「これいる？」
　　パンッと目の前の女に頭を叩かれる。
藤野　翔(フジノ　ショウ)「いってぇ、、」
田中　実(タナカ　ミノリ)「いる？ じゃあないわよ！」
田中　実(タナカ　ミノリ)「だあれのせいでこうなったと思ってるの!!」
田中　実(タナカ　ミノリ)「ほらっ、 会見明日なんだから早く台詞いれてよね」
　　こう話す目の前の女は、
　　３年前からずっと俺のマネージャーをしている御年30歳の”田中実”だ。
　　ちなみに胸はA、、、
　　あ、ないな。
田中　実(タナカ　ミノリ)「おい、聞いとんか」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「はいはい、聞いてるよー実ちゃん」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「で？なんでこうなってんのよ。 俺、不倫した覚えないよ？」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「鷹匠とは、まぁー会ったけど、、」
田中　実(タナカ　ミノリ)「はぁー、あんた自分の立場とかキャラ、 わかってる？」
田中　実(タナカ　ミノリ)「今や女子高生・大学生・ご婦人に 爽やかイケメン俳優ー!!キラキラキラキラ」
田中　実(タナカ　ミノリ)「って拝められてんのよ」
田中　実(タナカ　ミノリ)「そんなあんたが不倫したなんて報道がでるだけで、嘘かホントかに関わらずクリーンなイメージが地に堕ちるんだから！」
藤野　翔(フジノ　ショウ)（あれ、どっかできいたセリフだな）
田中　実(タナカ　ミノリ)「今回はそれを払拭！ あわよくば、より誠実さで好感度アップを狙っての会見なんだからしっかり頼むわよ」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「そのキャラってどっから拾ってきたんだよ これだからキャラ付けって嫌なんだよなー」
田中　実(タナカ　ミノリ)「あん？」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「イエ、ナンデモナイデス」
　　そもそもこうなったのは奴のせいである。

〇中規模マンション
　　──１週間前早朝──
　　ピンポーン
　　自宅マンションで寝ていた時、インターホンが鳴り、眠い目を擦りながら画面を見ると
　　あちらからもこちらを覗く赤髪の男がいた。

〇高級マンションの一室
　　俳優仲間の呉野光輝である。
　　ガチャッ（扉をあける）
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「よっ」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「なんだよ、こんな朝早くから、、 昨日夜中まで撮影で、疲れてんだけど」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「まぁまぁまぁー、わかってんのよ？ わかってんだけど、ちょーっと俺の話をきいてほしく、、、」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「ってああ!!! なんでそこで耳を塞ぐ!?」
　　俺の肩をユサユサする呉野。
藤野　翔(フジノ　ショウ)「大抵、お前の話はくだらねーんだよ」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「いやぁ、そこをちょっと聞いてって〜」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「鷹匠美咲って知ってる？」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「知ってるも何も、最近若くして結婚して なりたい顔ランキング１位〜、の子だろ？」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「おぅ、俺たちを差し置いて結婚しちまったな、、、」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「って、そうじゃなくて その鷹匠が昔からお前のファンだったみたいでよー」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「お前と友達だっつったら 会いたいって聞かなくてさぁ」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「ほら、俺の事務所の後輩で俺は先輩だから 話通さないと、、、」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「なっ？」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「なぁにが『なっ？』なんだよ 既婚者と会ったなんて知れたら、事実はどうであれ、週刊誌の格好の餌食だ」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「お前、俺の立場分かってる？」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「わぁかってるー、わかってる!! 大丈夫!! 人目に絶対つかないようにするから！」
呉野　光輝(クレノ　コウキ)「な！あいつの為なんだよ〜」

〇マンションの共用廊下
　　で、その後すぐに俺のマンションに
　　鷹匠を連れてきた。
　　って、なんでやねん！
　　あいつは馬鹿か！
　　と、いうか俺もなんで入れちゃったかなー
　　宅配ですっていうから開けたら
　　そのまま入られて、、、、ああ、後悔。

〇テレビスタジオ
　　で、こうなっているワケである。
田中　実(タナカ　ミノリ)「はい。じゃあ、もう一度台本通り 最初からやり直し！」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「ハァー、、（呉野め、呪ってやる）」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「こうなってしまったのは、私の俳優としてのプロ意識が欠如していたことからです」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「毎日応援してくださっていた皆様の信頼を揺るがす事態になってしまい誠に申し訳ございませんでした」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「今後は、より立場をわきまえた行動を心掛けていく所存です。重ねてにはなりますが」
藤野　翔(フジノ　ショウ)「この度はお騒がせ致しまして、 大変申し訳ございませんでした」

〇撮影スタジオ
　　おじぎをすると、頭上がパッと明るくなり
スタッフ「いやー！お疲れ様でしたー!!!」
　　テッテレーという音楽と
　　ドッキリという文字の看板が
　　目の前にはあった