待ちに待ったあの日(脚本)
〇児童養護施設
???「ここが第23支部か・・・」
私の名前は贈理 最乃(おくり もの)。
全国の子どもたちに、クリスマスプレゼントを届けるサンタ協会本部に所属している。
今日はこの第23支部にいる新人サンタを監督する為にここまでやって来ていた。
贈理 最乃(それにしても、眠いな・・・)
徹夜で何日も、全国の子どもたちへのプレゼントの仕分けを行っていたせいか、疲れが酷い・・・
だが、そんな作業も先ほど終わり、全国に順次送られていたプレゼントの最後の出荷が終わった。
贈理 最乃(全国の子どもたちに喜んで貰う為とはいえ、今日が何曜日か、日にちすらも曖昧になっている現状はまずいな)
サンタは各支部に一人ずつ配属されている。
最後に問題がないと確認がとれれば、後は当日にプレゼントを配るだけだ。
贈理 最乃「さて、肝心のサンタは・・・」
???「あのー、もしかして協会本部の方ですか?」
贈理 最乃「あっ、はい サンタ協会本部から来た指導員の贈理最乃です」
???「初めまして! 僕がこの支部のサンタ、山田玄素(さんた くろす)です」
贈理 最乃「・・・・・・」
贈理 最乃「殺し屋じゃねーか!!」
山田 玄素「・・・?」
贈理 最乃「何でそこで心底不思議そうな反応なんだよ!」
贈理 最乃「こんな殺し屋みたいなサンタ見たことないわ!」
山田 玄素「何を馬鹿な。 この姿こそ全国の子どもたちが夢にまで見る サンタの姿そのものじゃないですか」
贈理 最乃「どんな邪教に伝わってるサンタ!?」
贈理 最乃「夢は夢でも、その姿のサンタが出てくるのは間違いなく悪夢なんだよ!」
山田 玄素「ははーん。 さては最乃さん、僕の完璧なサンタ姿に見惚れてますね?」
贈理 最乃「両まぶた、溶接でもしたんか?」
贈理 最乃「見惚れるどころか、我が目を疑ってる所だよ」
山田 玄素「我が目を疑うほど完璧だと? いやー照れるな・・・」
贈理 最乃「君の見た目は私の知ってる完璧なサンタとは 北極と南極くらいの差があるんだよ」
山田 玄素「えへへ ありがとうございます」
贈理 最乃「褒めてないわ!」
贈理 最乃「君はどれだけポジティブなんだ・・・」
山田 玄素「あっ、最乃さんそんな事より 直ぐに出発の準備をしないと・・・」
贈理 最乃「は? 何で?」
山田 玄素「だって今日クリスマスですし」
贈理 最乃「え!? 嘘だろ?」
スマホで日にちを確認しようとするが、連日の徹夜で充電してなかったスマホは反応しない。
贈理 最乃(まぁ、担当サンタが言ってるんだ 間違いないだろう)
贈理 最乃(まずは指導員としての仕事をしないとな)
私はそれから
サンタとしての行動や
注意点など最後の確認を行った。
結果、彼はサンタとして完璧だった。
この姿だけを除いて
〇児童養護施設
腕時計を確認すると
夜の11時を回っていた。
贈理 最乃「まずい! 急がないと!」
贈理 最乃「プレゼントは?」
山田 玄素「ソリにつんでます」
贈理 最乃「次!」
贈理 最乃「服装は?」
山田 玄素「問題なしです!」
贈理 最乃「あるんだよ!」
贈理 最乃「問題なしの意味を辞書で調べて ひたすら書き写して欲しいくらいだが」
贈理 最乃「時間もないし今回は仕方ない」
贈理 最乃「トナカイは?」
山田 玄素「ここです」
贈理 最乃「・・・・・・」
贈理 最乃「化け物じゃねーか!」
贈理 最乃「これの何処がトナカイなんだよ!」
山田 玄素「いやそれが トナカイが今日になっても来なくて」
山田 玄素「急遽知り合いに頼みました」
贈理 最乃「知り合いなの!?」
贈理 最乃「何処の山奥に出掛けたら こいつと知り合えるんだよ」
徒菜 海斗「どうも」
徒菜 海斗「トナカイ役をやる事になった 徒菜海斗(とな かいと)です」
贈理 最乃「あなた喋れるの!?」
贈理 最乃「失礼な事言っちゃって すみませんでした!」
贈理 最乃「私贈理最乃です」
徒菜 海斗「いえ、自分、そういうのには慣れてるんで 気にしないで下さい」
徒菜 海斗「子どもたちの笑顔の為 一緒に頑張りましょう」
贈理 最乃「無茶苦茶良い人! 本当にすみません」
贈理 最乃(本来なら当日までに トナカイが配属されるんだけど おかしいな)
山田 玄素「海斗さん凄いんですよ」
山田 玄素「こうすると・・・」
贈理 最乃「・・・・・・」
贈理 最乃「やっぱり怪物じゃねーか!」
贈理 最乃「何でトナカイにもない 謎の発光機能がついてんだよ!」
徒菜 海斗「自分子どもたちの為に 頑張って覚えてきました!」
贈理 最乃「やっぱ良い人じゃねーか! すみません!」
山田 玄素「最乃さん早くしないと! 子どもたちが待ってますよ」
山田 玄素「僕最後のプレゼントをとってきます」
贈理 最乃「分かった」
徒菜 海斗「あの贈理さん」
贈理 最乃「はい? どうしました?」
徒菜 海斗「いや 今日ってク・・・」
山田 玄素「お待たせしました」
贈理 最乃「殺る気満々じゃねーか!」
贈理 最乃「何でプレゼント取りに行って 殺意が強くなってんだよ!」
贈理 最乃「もうプレゼントじゃなくて キルを贈る死のサンタなんだよ!」
山田 玄素「これプレゼントです」
贈理 最乃「それプレゼントだったの!?」
贈理 最乃「バリバリ処刑に使われそうな斧だけど」
山田 玄素「さぁ早く行きましょう!」
山田 玄素「子どもたちが心待ちにしていますよ」
贈理 最乃「いや今の私たちが もし子どもの目にでも入ったら」
贈理 最乃「毎年のクリスマスが恐怖の一日になるから 慎重にね?」
〇アパートの玄関前
山田 玄素「ここが最初の子がいる場所か」
贈理 最乃「アパートね」
山田 玄素「えーっと リストには」
山田 玄素「青山一くん」
贈理 最乃「はじめくんね」
山田 玄素「年齢は32歳」
贈理 最乃「うん?」
山田 玄素「欲しいものは・・・」
山田 玄素「斧・・・っと」
贈理 最乃「めちゃくちゃヤベぇ奴じゃねーか!」
贈理 最乃「何でそんな人がリストに入ってんだよ!」
山田 玄素「欲しい理由が」
山田 玄素「足の悪くなったお母さんに」
山田 玄素「手作りのクリスマスツリーを 見せてあげたいから」
贈理 最乃「とんでもなくいい息子じゃねーか!」
贈理 最乃「よし! 早速プレゼントを・・・」
徒菜 海斗「あのー?」
贈理 最乃「どうされました?」
徒菜 海斗「大変言いにくいんですが」
贈理 最乃「はい」
徒菜 海斗「今日クリスマスじゃないです」
贈理 最乃「は?」
山田 玄素「えっ?」
徒菜 海斗「今日23日です」
贈理 最乃「じゃあ今日って」
山田 玄素「クリスマスの前日の」
贈理 最乃「前日ってこと?」
贈理 最乃「・・・・・・」
贈理 最乃「おい玄素どういうことだ?」
山田 玄素「いや実は仮面のせいで 前がよく見えてなくて」
贈理 最乃「やっぱり見えてねぇじゃねーか!」
クリスマス当日がどうなったかは・・・
山田 玄素「メリークリスマス!」
贈理 最乃「うるせぇ!」
おしまい
すごいサンタさんにめちゃ笑いました!
会話がすごくおもしろかったです!
彼女のツッコミがすごく的確で、たしかに言うとおりだなぁとは思うんですが、サンタさんもトナカイも言ってることは間違ってないんですよね。
ただ、姿がアレなだけで。笑
ボケ?とツッコミの兼ね合いがとても面白かったです!
まぁ…サンタさんは誰にも見られないのが最優先…!
つまり格好はなんでも…なんでも…問題…なし?笑
ツッコミどころ満載でした!笑
心温まるストーリーで、サンタとトナカイの見た目はどうであれ、子供たちを思う気持ちが伝わってきて、クスッと笑える素敵な作品でした。