〇菜の花畑
のどか「何でこうなっちゃったの？」
のどか「みんな聞いてよ～！」
のどか「うちのママったらあ、遠足で張り切りすぎて」
のどか「いつもお弁当のオカズを作り過ぎるんだよね！」
のどか「少し食べるのを手伝ってくれない？」
かずや「くれくれ！ウマソー」
ななこ「オカズが沢山！ 豪華だね！」
「いただきま～す」
ななこ「あれ」
ななこ「このおにぎり、固いね」
のどか「えっ、ヤダア」
のどか「まさかママったら手を抜いたのかなー!?」
かずや「確かにウマいけど、オカズもコンビニの惣菜みたいだな！」
のどか「かずやまでヒドーイ！」
のどか「ママは料理上手だから、コンビニ弁当より美味しいよ〜！」
かずや「ま、いいや。 ごちそうさま！」
ななこ「あっちの遊具で遊ぼう！」
のどか「私、あとから行くね！」
のどか「ママ・・・どうして」
先生「のどかさん」
先生「お弁当、食べないの？」
のどか「先生」
のどか「うちのママはね、お料理教室の先生なんだ」
先生「そうね」
のどか「だから私、遠足のお弁当を開くのが楽しみだったの」
のどか「でも今日はお弁当箱を開けたら、急に食べたくなくなっちゃった・・・」
先生「すごくキレイなお弁当よ」
のどか「こんなの！」
のどか「コンビニ弁当を詰め替えただけだもん！」
のどか「こんなの・・・キレイじゃないよ」
先生「もしかしたら、今日のお弁当はのどかさんが詰めたの？」
のどか「うん・・・」
のどか「パパはお仕事で忙しいから、買い物はしてくれるけど」
のどか「お弁当までは頼めなくて」
先生（偉いわね）
先生（先週、お母さんが亡くなったばかりなのに）
先生「先生のママも小さい頃に病気で亡くなっているの」
のどか「・・・」
先生「遠足の時は、同居していたおばあちゃんがお弁当を作ってくれたけど」
先生「オカズが全部茶色い上に、大嫌いな梅干しが必ず乗っていてね」
先生「それが嫌で、お小遣いで買ったコンビニのお惣菜とすり替えて持って行ってたわ」
先生「だからかな」
先生「今日、のどかさんのお弁当が懐かしく思えたの」
のどか「そうだったんだ・・・」
先生「のどかさん」
先生「先生もお弁当作ってきたの！」
先生「ジャーン！」
のどか「うわあ～ハート弁当だあ！」
のどか「カワイイねッ!!」
先生「私もオカズを作り過ぎちゃったから、」
先生「良かったら一緒に食べてくれない？」
のどか「う」
のどか「うん！ いただきます!!」
のどか「私、味にはウルサイからね！」
のどか「先生、私の夢は」
のどか「料理教室の先生になりたいんだ！」
先生「素敵な夢ね」
先生「じゃあ先生の夢は、 のどかさんのお弁当を食べること！」
のどか「いいよ。約束ね!!」
のどか（ママ、私頑張るよ）