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#3 半色(はしたいろ)の憂鬱(脚本)

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〇教室
水瀬真一「学級委員!? 僕が!?」
教師「なんだ、聞いてなかったのか?」
教師「昨日の話し合いで、 男子の学級委員は水瀬に決まったんだ」
水瀬真一「そんな、勝手に・・・!」
教師「じゃ、あとは学級委員で進めてくれ」
村上「わかりました」
村上「では、まず連絡事項から」
水瀬真一「は? ちょっと、僕はまだ──」
村上「今日の放課後に、球技大会の 応援旗のデザインを決めたいと思います」
村上「私と水瀬くんが、中心になって 話し合いを進めるので」
水瀬真一「え」
村上「残れない人は、 どちらかに申し出てください」
村上「以上です」

〇大きな木のある校舎

〇教室
水瀬真一「・・・誰も残ってないじゃん」
村上「仕方ないから、2人で決めよう」
水瀬真一「・・・やってらんない」
水瀬真一「僕はなんでもいいから、 村上さんが勝手に決めて」
村上「ちょっと。帰るつもり?」
水瀬真一「そもそも、学級委員なんてやる気ないから」
水瀬真一「みんなが勝手に決めたことじゃん。 僕はそんなのやりたくないし」
村上「・・・サボって困るのは水瀬くんだと思うけど」
水瀬真一「はぁ?」
村上「いつも授業態度が悪いし」
村上「学級委員の仕事もやらないようなら、 親に連絡するって」
村上「先生が言ってたから」
水瀬真一「嘘でしょ・・・」
村上「嘘だと思うなら、先生に聞いてみれば?」
水瀬真一「・・・はぁ」
水瀬真一「じゃあ、さっさと決めて終わらせようよ」
村上「さっさとって・・・そんなの無理」
村上「ちゃんと話し合って決めなくちゃ」
村上「まずはデザインだけど──」
水瀬真一「そんなの適当でいいよ」
村上「え?」
水瀬真一「この感じだと、 みんな制作も手伝ってくれないだろうし」
水瀬真一「時間掛からず簡単にできそうな──」
村上「そんなのだめ!」
村上「適当なんて嫌」
村上「描くならちゃんとやりたい」
水瀬真一「いや、みんなの反応見たでしょ? 応援旗なんて、どうでもいいんだよ」
水瀬真一「そんなに頑張る必要ないって・・・」
村上「だからって、適当にやっていい理由にはならないよ」
村上「私は、良いものを作りたい」
水瀬真一「・・・村上さん1人で作ってくれるなら、別にそれでもいいけど」
村上「──少しは真面目に意見出してよ!」
水瀬真一「そっちこそ、自分の意見を押し付けないでよ」
村上「・・・・・・」
水瀬真一「・・・もう帰っていい?」
村上「だめに決まってるでしょ」
水瀬真一「お互い家でデザイン考えてくればいいじゃん」
村上「・・・帰るなら、連絡先教えて」
村上「業務連絡とか必要でしょ。 嫌なら残って話し合い続けて」
水瀬真一「・・・はい、これ」
水瀬真一「コード読み取って」
村上「・・・もう帰っていいよ」
村上「さよなら」

〇まっすぐの廊下
水瀬真一「ほんと、最悪・・・」

〇渋谷駅前

〇個室のトイレ
水瀬(よし、できた)
水瀬(やっぱり、ピンクのリップが1番好きだな)
  個室を出ようと、ドアノブに手を掛ける。
男性A「うわ、個室空いてないじゃん!」
  ──ドンドン!
水瀬「──!」
  ドアノブを握った手に、思わず力が入る。
男性A「早く出ろよー、つーか無視すんなよ!」
男性B「おい、あんま荒っぽいことするなって・・・」
  ドンドン!
水瀬(どうしよう・・・)
水瀬(でも、今出ていったら・・・)
男性A「おいー、さっさと出てこいよ!」
  ドンドン、ドンドン!
水瀬「・・・う」
水瀬「──うるせぇな!」
  なるべく『男らしく』出したその声は
  思っていたよりも、太くて低い声だった。
男性A「やべっ、逃げろ!」
男性「ったく、だから止めたのに・・・!」
水瀬「・・・・・・」
  足音が遠ざかっていく。

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コメント

  • トイレのシーン、どうなるのかとひやひやしていたのですが。水瀬くんの対応に切なくなりました…!
    心理描写が丁寧で感情移入しながら見てます😢✨

  • イロハさんから連絡ですか!?続きが気になります!!

    感情の変化が細やかで惹き込まれますね✨😊

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