ナナとアタシの家族愛(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
妹、前田アカリは、最近、姉の前田ナナの落ち着きがないことには気づいていた
ナナ「アカリちゃん・・・ちょっといいかな?」
アカリ「ん?どうしたの?」
ナナ「最近、ナナ、人にみられてるような気がするんだよね」
アカリ「え、なにそれ!?ストーカーってこと!?」
ナナ「それは・・・わからないんだけど、この家にはアカリちゃんもいるし、伝えておいた方がいいかな、って・・・思って」
アカリ「お姉ちゃん・・・」
アカリ「こんなときまでアタシの心配しなくていいんだよ・・・!!」
ナナ「でも、お姉ちゃんはいつも、アカリちゃんのこと心配だから・・・」
アカリ「お姉ちゃん・・・!ありがとう・・・!アタシもそのストーカーについて、何かわかったことがあったらすぐ知らせるね・・・!!!」
ナナ「私こそありがとう・・・アカリちゃんは昔から本当に頼りになるね」
アカリ「そんなの、妹として当たり前だよ!」
姉の不安はすぐに妹へ打ち明けられた
しかし、この日からナナの不安は増すばかりだった・・・
〇おしゃれなリビングダイニング
アカリ「ねぇ、お姉ちゃん・・・最近・・・その・・・大丈夫・・・?何かあった・・・?」
ナナ「あっ・・・」
ナナ「んーん・・・なんでもないの・・・なんでも」
アカリ「そう・・・?」
ナナ「うん、大丈夫だから、アカリちゃんは心配しないで?」
アカリ「お姉ちゃんがそう言うなら・・・」
ナナ「ちょっと・・・お買い物、行ってくるね」
アカリ「なら、アタシついていくよ!」
ナナ「あっ・・・うん、でも、一人で大丈夫よ。ありがとう、アカリちゃん」
アカリ「わかった・・・」
ナナ「うん、じゃあ行ってくるね」
アカリ「いってらっしゃい・・・・・・・・・」
姉の出す、何とも言えない違和感
妹である私を気遣って悩みを打ち明けられないことは明白であった
アカリ「待っててね・・・ナナ・・・」
〇女の子の一人部屋
アカリ「・・・・・・・・・・・・」
ダメだとわかっていて、姉の部屋に入った
ガサゴソ──
アカリ「あった・・・」
姉の新品の体操服だ
アカリ「こっちも・・・」
ペンケースが新しくなっている
視線を巡らせると、下げてあるカバンにも、いつもとは別のキーホルダーがぶら下がっている
アカリ「・・・・・・・・・・・・」
ということは、今の買い出しも、取られたものを買い直しに行ったのだろう
アカリ「だから連れていってくれなかったんだね・・・」
ガサゴソ──
ゴミ箱には隠し撮り写真をいれた封筒・・・
アカリ「お姉ちゃん・・・」
写真を持って、アカリはそっと部屋を後にした────
〇シックな玄関
アカリ「おねーちゃーん!一緒に学校行こ?」
ナナ「あっ、え、でも、アカリちゃん・・・!?」
アカリ「いーから、いーから!」
姉の腕を半ば強引にとり、アカリはそと外へ出た
〇開けた交差点
ナナ「今日はどうしたの?アカリちゃん・・・」
アカリ「たまにはお姉ちゃんと、こうやって登校するのも良いでしょ?」
ナナ「う、うん・・・そう・・・かな・・・??」
アカリ「あれー?おねーちゃんはアタシと一緒に登校したくないの??」
ナナ「えっ!?違うよ!?そうじゃないんだけど・・・私、最近委員会で早めに出てるから・・・」
アカリ「ならアタシも早くでる!だったらいいよね!」
ナナ「でも、それはアカリちゃんが大変でしょ・・・??」
アカリ「問題ナッシ!だから・・・」
アカリ「おねーちゃんは、アタシが守ってあげるからね?」
ナナ「アカリちゃん・・・ありがとう・・・」
アカリ「どういたしまして!だからさ、帰りも一緒に帰ろ?」
ナナ「あっ・・・でも、帰りは・・・」
アカリ「ダメって言われてもついていくから!」
ナナ「わ、分かったわ、アカリちゃん。一緒に帰りましょ・・・?」
アカリ「うん!」
〇開けた交差点
放課後────
アカリ「お姉ちゃん・・・例の視線、感じる・・・?」
ナナ「・・・・・・・・・うん・・・」
アカリ「そっか・・・」
ダッ────!!!
アカリ「あんたね!最近アタシたちを狙ってるストーカーっていうのは!!」
ストーカー「ひぃぃ!!!」
アカリ「今までずっと泳がせておいたけど、ちょっと調子に乗りすぎたみたいね」
アカリ「警察につき出されたくなかったら、二度と私たちに付きまとうのをやめなさい!」
ストーカー「すみません、すみません!!許してください!!」
アカリ「二度と現れんなっつってんの!!」
ストーカー「はい!!もう二度と前田さんの前には現れませんー!!!」
ナナ「今の・・・って・・・」
アカリ「そう、あいつがお姉ちゃんをつけ回してたストーカーだったみたい」
ナナ「す、凄いよアカリちゃん・・・!いったいどうやって見つけ出したの!?」
アカリ「ストーカーなんて、自分が「見られてる自覚」はないから、誰かを見ている人間を探せば特定は容易だったわ」
アカリ「これで、安心してまた暮らせるからね」
ナナ「うん・・・うん・・・!ありがとうアカリちゃん・・・!!」
〇女性の部屋
アカリ「良かった・・・丸くおさまって」
ストーカーの名前は田村くん
最近アタシがひっかけて、ストーカーに「なるよう」にした
ナナはお義父さんの連れ子で
私が7歳の時に知り合った
大切なお姉ちゃん──────
あの時、私はいつも無理をしていたお母さんのために家族が上手く行くよう、必死で出来ることを伺ってた
元々家族じゃない私たちが家族になる方法、それはひたすら仲良くすることだと思った
お義父さんに懐いて、ナナと仲良くなるために、ナナのことは何だって調べた
ナナはいつでも優しくて、調べなくても私は大好きになって・・・でも、調べるのをやめられないくらい・・・
大好き──────
になっちゃった・・・
最初は好きな趣味、趣向、その日何をして、何を食べて、同じものをつけて、同じものを食べて、お姉ちゃんから日々の感想を聞く
それくらいで良かった
けど、どんどんエスカレートしていって、お姉ちゃんのものが欲しくなって、ずぅっと何してるのか気になって・・・
ちょっと・・・やりすぎちゃった☆
流石に写真は我慢すべきだったよね、捨てられてたし
ずぅっと見てるよって、分かって欲しくて、お姉ちゃんは誰より可愛いねって思って送っちゃったけど・・・
ま、写真は勿体ないから回収したし、最終的には田村くん(アタシのストーカー)が上手く動いてくれたからいっか
これからはもっとバレないようにしなきゃ・・・だね?
だぁいすきだよ、ナナ──────
アカリは明日、姉と同じペンケースとキーホルダーを購入するのだった・・・
物語の最後の最後で明かされる衝撃の真実にゾッとしました。前半のアカリちゃんの行動は全て伏線だったんだ。最後まで読み終わるとタイトルの「ナナと私の家族愛」も全く違うホラーな印象になりますね。起承転結の醍醐味を堪能させていただきました。
ナナちゃんとアカリちゃんの微笑ましい家族愛の物語かと思っていたら、想像以上に深くこじらせたモノで衝撃です!でも、これはこれでアリかもですねw