勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

第7話 嵐の予感(脚本)

勇者と王子のダブルステッチ

星月 光

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〇渋谷のスクランブル交差点
勇者マリー「日本に・・・ 戻ってきちゃった・・・」
第二王子クレール「勇者殿?」
勇者マリー「・・・あっ!」
勇者マリー(財布はないけど スマホはあった!)
勇者マリー(舞花に電話しなきゃ)
勇者マリー「出ない・・・」
第二王子クレール「まさかここは・・・!」
第二王子クレール「勇者殿! ここは貴殿の世界なのか!?」
勇者マリー「ちょ、ちょっと」
勇者マリー「とりあえず、移動しましょう!」
第二王子クレール「あ、ああ・・・」

〇研究所の中
宮廷魔導師ユーグ「あわわわわ」
宮廷魔導師ユーグ(まずいことになったぞ・・・!)
宮廷魔導師ユーグ(召喚石はもう手元にない!)
宮廷魔導師ユーグ(それに・・・もし 殿下だけを連れ戻せたとしても)
宮廷魔導師ユーグ(勇者のことで謗りを受けるのは免れない)
宮廷魔導師ユーグ(宮廷魔導師の地位を追われ・・・)
宮廷魔導師ユーグ(・・・いや それだけで済めばまだマシだ)
宮廷魔導師ユーグ(あのフィロメナの魔導師のように リュテスを追放されたら・・・)
宮廷魔導師ユーグ「・・・こうなったら・・・」

〇貴族の応接間
第一王子ミシェル「・・・よし、できた!」
宮廷魔導師リゼット「オモニエールみたいな形だな」
第一王子ミシェル「この中に双生神のメダルを入れるんだ」
宮廷魔導師リゼット「なるほどな」
第一王子ミシェル「これを持っていれば、戦場でも・・・」
第一王子ミシェル「リゼットの魔力と母上のハンカチが マリー様を守ってくれるだろう」
宮廷魔導師リゼット「ミシェルの刺繍も、な」
宮廷魔導師リゼット「じゃあ、渡しに行こうか」
第一王子ミシェル「う、うん・・・」

〇電車の中
第二王子クレール「勇者殿・・・ 我々はどこへ向かっているのだ?」
勇者マリー「勇者殿はやめてください」
勇者マリー「こっちじゃ勇者ってのは 物語の中の存在なんですよ」
第二王子クレール「いや、しかし・・・」
勇者マリー「郷に入っては郷に従えって言うでしょ」
第二王子クレール「・・・ではなんとお呼びすれば?」
勇者マリー「名前でいいですよ」
第二王子クレール「・・・マリー殿?」
勇者マリー「いや・・・ 呼び捨てでお願いします」
勇者マリー「オタクのオフ会みたいになっちゃうし」
勇者マリー「とりあえず、うちに向かってます」
第二王子クレール「マリー・・・の自宅か?」
勇者マリー「はい」
勇者マリー(舞花・・・ たまたま電話に出なかっただけだよね)
勇者マリー(なんか、嫌な予感がする・・・)

〇城の廊下
第一王子ミシェル「マリー様 書庫にいらっしゃらなかったな」
第一王子ミシェル「ユーグもいなかったし・・・」
宮廷魔導師リゼット「どこかへ移動したんだろうか?」
宮廷魔導師リゼット「でもどこへ・・・」
宮廷魔導師ユーグ「あ・・・」

〇一戸建て

〇綺麗なリビング
第二王子クレール「勇・・・マリー この奇妙な服はいったい?」
勇者マリー「舞花!」
第二王子クレール「マリー!?」

〇城の廊下
第一王子ミシェル「ユーグ マリー様は一緒ではないのですか」
宮廷魔導師ユーグ「・・・ええ」
第一王子ミシェル「どこにいらっしゃるか知っていますか?」
宮廷魔導師ユーグ「いえ・・・ 先ほど書庫で別れましたので」
第一王子ミシェル「・・・そうですか」
宮廷魔導師ユーグ「では、用がありますので・・・」
宮廷魔導師リゼット「・・・・・・」
第一王子ミシェル「どこかで出撃準備をしているのかも」
第一王子ミシェル「邪魔してしまったら悪いし 無理に渡さなくても・・・」
宮廷魔導師リゼット「・・・いや」
宮廷魔導師リゼット「訓練場や食堂にいるかもしれない 行ってみよう」
第一王子ミシェル「けど・・・」
宮廷魔導師リゼット「今日会わなければ しばらく会えなくなるぞ」
宮廷魔導師リゼット「無事を祈って縫ったんだろう?」
宮廷魔導師リゼット「いくら心で相手を思っても 言葉にしなければ伝わらないこともある」
第一王子ミシェル「う、うん・・・ そうだな・・・」
宮廷魔導師リゼット「それに・・・」
宮廷魔導師リゼット「・・・いや なんでもない」
宮廷魔導師リゼット(さっきのユーグ殿の態度 なんだか違和感があった)
宮廷魔導師リゼット(わたしの気のせいならいいが・・・)

〇シンプルな玄関
第二王子クレール「待て、マリー! いったいどうした!?」
勇者マリー「舞花を・・・ 妹を探さなきゃ!」
勇者マリー「スマホを置いてどこかに行くなんて いつもの舞花ならありえない」
勇者マリー「なにかあったんじゃ・・・!」
第二王子クレール「いいから落ち着け!」
勇者マリー「ご・・・ごめん」
勇者マリー「でも・・・ ほんとに、どこに行っちゃったのかな」
第二王子クレール「心当たりはないのか?」
勇者マリー「あたしを探しに行ったのかな・・・」
勇者マリー「・・・もしかして! 伊達のところ・・・!?」

〇武術の訓練場
第一王子ミシェル「マリー様 どこにいらっしゃるんだろう」
宮廷魔導師リゼット「・・・・・・」
第一王子ミシェル「食堂にもいなかったし あとはここぐらいしか・・・」
宮廷魔導師リゼット「ユーグ殿に話を聞きに行こう」
第一王子ミシェル「けど、ユーグは知らないって・・・」
宮廷魔導師リゼット「彼はなにかを知ったうえで隠している」
宮廷魔導師リゼット「そんな気がするんだ」
第一王子ミシェル「リゼットがそう言うなら 一度城の中に戻って・・・」
騎士団長ヴァレリー「ミシェル様! リゼット殿!」
第一王子ミシェル「あ、ヴァレリー ちょうどよかった」
第一王子ミシェル「マリー様を見かけ・・・」
騎士団長ヴァレリー「殿下が! クレール殿下がいらっしゃいません!」
「えっ・・・!?」

〇綺麗なリビング
勇者マリー「伊達の奴、出ないな」
勇者マリー「・・・殴り込みに行くしかないか」
第二王子クレール「・・・・・・」
勇者マリー「ん? どうかしましたか?」
第二王子クレール「いや・・・」
第二王子クレール「ミシェル殿は貴方のことを 平和な国から来たと言っていたが」
勇者マリー「別にほんとに殺すわけじゃないですよ」
勇者マリー「殺したい気持ちは めちゃくちゃありますけど」
第二王子クレール「・・・ミシェル殿は貴方に対して いささか過保護なようだな」
勇者マリー「それは・・・ほら」
勇者マリー「ミシェル様は優しいから!」
勇者マリー「別にあたしが相手じゃなくたって 同じことしたと思いますよ!」
第二王子クレール「ずいぶん焦っているようだな?」
勇者マリー「それは・・・ えーっとですね・・・」
第二王子クレール「まあ、今はそれはいい」
第二王子クレール「リュテスに戻る手立てを探さねば」
勇者マリー「そうですね」
勇者マリー「あ、けど 妹の無事を確認してからでもいいですか?」
第二王子クレール「それは・・・かまわないが」
勇者マリー「じゃ、ひとまず外に行きましょうか!」
第二王子クレール「・・・マリー」
第二王子クレール「貴方はこの世界に残ったらどうだ」
勇者マリー「・・・えっ?」

〇武術の訓練場
宮廷魔導師リゼット「どういうことですか!?」
第一王子ミシェル「今朝はいらっしゃったはず それがどうして・・・」
騎士団長ヴァレリー「し、しかし どこにもいらっしゃらないのです!」
騎士団長ヴァレリー「兵士と侍女によると 勇者殿とユーグ殿を探しておられたとか」
騎士団長ヴァレリー「それから行方が知れないのです」
第一王子ミシェル「マリー様もいらっしゃらないんです」
騎士団長ヴァレリー「まさか・・・ お2人の身になにか?」
騎士団長ヴァレリー「もしやとは思いますが 帝国にかどわかされたとか」
宮廷魔導師リゼット「その可能性もありますが」
宮廷魔導師リゼット「どちらにしろ ユーグ殿がなにか知っているはずです」
宮廷魔導師リゼット「ユーグ殿と会ったのを最後に マリー様は姿を消した」
宮廷魔導師リゼット「クレール殿下はお2人を探して 行方がわからなくなった」
宮廷魔導師リゼット「これは偶然でしょうか?」
第一王子ミシェル「ユーグのところへ行こう!」
騎士団長ヴァレリー「わ・・・ わたしも参ります!」

〇綺麗なリビング
第二王子クレール「貴方はこの世界の人間だ」
第二王子クレール「リュテスに召喚されたのは偶然だった」
第二王子クレール「戻ってこられたのも事故のようなものだが」
第二王子クレール「再びリュテスへ行く必要はないだろう」
勇者マリー「けど・・・」
第二王子クレール「はっきり申し上げよう」
第二王子クレール「貴方は求心力はあるが 特別な力を持っているわけではない」
第二王子クレール「その求心力も 召喚された勇者としてのものだ」
第二王子クレール「決して貴方自身のものではない」
勇者マリー「それは・・・そうですね」
第二王子クレール「マリー このままここに残るがいい」
第二王子クレール「貴方が安全な場所にいると知れば きっとミシェル殿も安心するだろう」
勇者マリー「・・・そう・・・ですね」
勇者マリー「・・・けど 王子は戻らなきゃでしょ?」
勇者マリー「なら、とりあえず 戻る方法を探しましょう」
勇者マリー「あたしがどうするかは・・・ そのとき決めます」
第二王子クレール「・・・そうか では行こうか」
勇者マリー「はい・・・」
勇者マリー(・・・そうだ あたしはここに帰って来たかった)
勇者マリー(けど、今・・・ うれしいかって聞かれたら、それは違う)
勇者マリー(ミシェル様、リゼットさん 2人との約束を守れなくなるから?)
勇者マリー(それとも 舞花がここにいないから?)
勇者マリー(もちろん、それもある)
勇者マリー(けど・・・ ほんとにそれだけなのかな・・・)

〇空

〇川に架かる橋
第二王子クレール「しかし、情報収集といっても どうすればいいのか・・・」
勇者マリー「駅のほうに図書館があるんで 行ってみましょうか」
勇者マリー「参考文献があるかも」
勇者マリー「あ、でも 図書館にラノベってあったっけ」
第二王子クレール「らのべ?」
勇者マリー「あとはそうですね 古本屋とか・・・」
勇者マリー「あ、すみませ・・・」
勇者マリー「おまえ・・・!」
第二王子クレール「あ・・・兄上!?」

〇城の廊下
第一王子ミシェル「どうだった?」
宮廷魔導師リゼット「研究所にあるユーグ殿の私物が すべて引き払われていました」
宮廷魔導師リゼット「魔導師長はなにも聞かされていないと」
第一王子ミシェル「では・・・今回のことは やはりユーグが関与しているのか?」
宮廷魔導師リゼット「その可能性が高いですね」
騎士団長ヴァレリー「僭越ながら このことは他言無用かと」
騎士団長ヴァレリー「殿下も勇者殿もいらっしゃらないとなると リュテス軍の士気に関わります」
第一王子ミシェル「・・・そうですね」
第一王子ミシェル「他の者たちには 帝国にかどわかされたと説明しましょう」
騎士団長ヴァレリー「それがよろしいかと」
騎士団長ヴァレリー「帝国への怒りで 士気も高まるでしょうし」
宮廷魔導師リゼット「ではわたしは秘密裏に調査を進めます」
騎士団長ヴァレリー「問題は防衛戦の指揮官ですな」
第一王子ミシェル「・・・わたしに考えがあります」
第一王子ミシェル「ヴァレリー 広間に兵士たちを集めてください」
騎士団長ヴァレリー「は・・・?」
第一王子ミシェル「頼みます」
騎士団長ヴァレリー「承知いたしました で、ですがなぜ・・・」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
宮廷魔導師リゼット「殿下・・・ なにをするおつもりですか?」
第一王子ミシェル「このたびのリュテス防衛戦・・・」
第一王子ミシェル「わたしが指揮を執ります!」

次のエピソード:第8話 太陽の影

コメント

  • ドキドキの展開、日本とリュテスでストーリーが同時進行なのですね!クレール王子のカジュアル服にちょっと笑ってしまいました。
    クレール王子の冷静さ、リゼットさんの機転、真理さんの焦燥感、そしてミシェルさまの決意、窮地での4者4様の姿、見入ってしまいますね。

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