エピソード2(脚本)
〇謁見の間
——謁見の場にて
重々しい雰囲気の中、勇者は国王と王女に激しく詰め寄っていた。
勇者「何故、シスリーの言い分も聞かずに投獄したのですか! 彼女はやっていません! 濡れ衣です!」
国王は答えた。
王「ならば、マリアが虚偽の報告をしたと申すのか! 生死を彷徨いかけたのだぞ!・・・あり得ぬ!」
王「マリアに毒を盛るなど、言語道断! お主の申し出がなければ、即刻死罪にしておる所だ!」
王女は答えた。
王女「勇者様には命を狙われた私の気持ちが分からないのですか・・・?深く傷つけられた私の気持ちが・・・」
王女「私には彼女を許す気にはなれません・・・」
頑なに拒む二人。
説得に失敗したと悟った勇者は、失意の目で2人を見つめ—
勇者「・・・シスリーは私にとって唯一無二の存在です。彼女の解放を認めないというならば、私にも考えがあります・・・」
王「・・・・・・?」
勇者「私は魔物討伐を放棄します」
王「なんと・・・!?」
驚く王
だが勇者はそれだけを言い残し、城を出た
〇謁見の間
王(何という事だ・・・。まさか国王である私を脅すとは・・・)
勇者が城を出た後、王女は勇者の脅しに動揺する国王に囁いた。
王女「私の命を狙った女を庇うなんて・・・。もしや勇者様も・・・。いやそんな事・・・」
王「・・・なんじゃ申してみよ」
王女「・・・反逆の恐れがあるのではないでしょうか?」
王女「今回は私でしたが・・・次に命を狙われるのはお父様かもしれません・・・。勇者様のあの態度・・・」
王「・・・むぅ」
王女「相手は魔物をも蹴散らす勇者様です・・・。味方の時は心強いですが、敵に回ったとなると・・・・・・・・・」
王女「大変申し上げにくいのですが・・・民からの信頼も今や、お父様以上ともいえる勇者様」
王女「次の王に名乗りあげても何も不思議ではありませんわ」
王「・・・うむ」
解毒してからまだ日は浅く、まだ体力が万全に回復していない状態。
青白い顔で、怯えた声で胸に顔をうずめて泣きついてくる娘に、王は決心した。
王(やられる前に・・・やらねばいかんか・・・)
しかし、意は決したものの、その手段が浮かばない。
国外追放にすれば、民から糾弾されるだろうし、隣国が勇者を放っておくはずがない。
シスリー同様に勇者を牢に入れても、同様。
何より、勇者が黙って捕まる保証などない。
民から非難を浴びず、かつ勇者をこれまで同様に魔物討伐に向かわせる方法などあるのだろうか?
国王が何を考えているのか、見通しているのか。
王女「お父様・・・私に考えがあるのですが・・・」
王「なんじゃ、申してみよ」
王女は恐ろしいことを提案した。