キジがキビ団子を返しにきた夜に

たていしえりこ

読切(脚本)

キジがキビ団子を返しにきた夜に

たていしえりこ

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〇古風な和室(小物無し)
  昔むかし・・・
  桃太郎が鬼退治に行く前の晩のことでございます
桃太郎(うーむ!)
桃太郎(勝てる!)
桃太郎「よし! 鬼退治の準備も万端だな」
お婆さん「ほら桃太郎! 明日早いんだから、そろそろ寝なさい」
桃太郎「うん。そうするね」
お婆さん「あのな、桃太郎」
桃太郎「えっ、何? お婆さん」
お婆さん「・・・そのお」
桃太郎「何なのさ」
お婆さん「い、いや、お前、立派に育ったなあって思って」
桃太郎「うん。お爺さんとお婆さんのお陰だよ 俺、明日の鬼退治、頑張るから」
お婆さん「あ、あああ・・・そうだね。おやすみ」
桃太郎「なんか元気なかったよな。どしたんだろ?」
桃太郎「ま、いっか。よし!じゃあ寝よう」
  すると、バッサバッサと羽根の音が聞こえてきて
キジ「おお! 桃太郎」
桃太郎「えっ? キジ?」
桃太郎「どした? こんな時間に」
キジ「あのさ、桃太郎。オレ、キビ団子返しにきた」
桃太郎「え? 返すって、せっかくうちのお婆さんが作ったんだから、お前、食えよ。 どしたのさ」
キジ「俺、明日、鬼ヶ島に行っても、イヌやサルみたいに役に立ちそうにないし」
桃太郎「そんなことないって! お前、昔から大人びてるし、ヤンチャしてるし、第一空飛べるし、一足先に行って偵察して来いよ」
キジ「実はさ、俺・・・」
桃太郎「何だよ、怖くなった??」
キジ「それもあるけど、うちのオヤジ、リストラにあって、メシの配達の仕事始めたじゃん?」
桃太郎「ああ、空飛べるし、ドローンみたいだよね」
キジ「うん。そうなんだけど、鬼ヶ島方面、結構、配達多くてさ。あそこが壊滅すると大打撃らしくって」
桃太郎「そっか。実は俺も・・・」
キジ「メズコちゃんか??」
桃太郎「えっ! 知ってた??」
キジ「バカか! サルもイヌもみんな知ってるよ。 うちの高校で鬼ヶ島から来てたのメズコだけだったけど、一年下で超可愛かったもんな」

〇教室
メズコ(桃太郎せんぱ〜い! うふふ💕)
「【キジ】 ったく、お前、ウブで結局、卒業までに告れなかったんだろ?」

〇古風な和室(小物無し)
桃太郎「そうだけど」
キジ「まあ、さすがに鬼ヶ島に鬼退治はなあ」
桃太郎「だから、お前に先にメズコんとこ飛んでってもらって、彼女だけ逃そうと思ってたんだ」
キジ「それ、メズコ、絶対、親に言うって」
桃太郎「そうなんだよな〜 どーしよ〜」
キジ「うーーん」
キジ「あ、お爺さん! お邪魔してま〜〜す!」
お爺さん「キジか。相変わらず、ヤンチャしてんだな。 ・・・悪いが今夜は帰ってくれんか」
キジ「あ、そうっすね!遅くにすいませんでした。 じゃあ、桃太郎、そういうことで!!」
桃太郎「お、おい! キジ、待てって!」
お爺さん「桃太郎っ!」
桃太郎「えっ?」
お爺さん「いいから、そこに座れっ!」
桃太郎「えっ! 何さ??」
お爺さん「明日の鬼退治、やめとけ!!」
桃太郎「何言ってんの? お爺さんが最初に行けって言い出したんじゃない」
  すると、バタバタと廊下を走ってくる音がして、
お婆さん「桃太郎! いいから明日は予定どおり、鬼ヶ島攻めなさい!!!」
お爺さん「お前は黙ってろっ!!!」
  すると、お婆さんはしくしく泣き出したのでございます
桃太郎「ねえ、二人ともどうしたのさ!!」
お爺さん「あ、あのな、桃太郎」
桃太郎「うん。何??」
お爺さん「あのな・・・つまり、そのお〜」
桃太郎「いいから、早く言ってよ!」
お爺さん「お前は、桃から生まれたんじゃなかったんだ」
桃太郎「えええーーっ!!」
お爺さん「お前は、この婆さんが50の時に産んだ子供じゃ」
桃太郎「えっ! そうなの? 何で今まで教えてくれなかったのさ」
お爺さん「実はワシもさっき知ったんじゃ」
桃太郎「どゆこと??」
お婆さん「恥ずかしゅうて・・・」
桃太郎「へっ??」
お婆さん「この時代、50にもなって子供ができたなんて恥ずかしゅうて」
桃太郎「そんなこと・・・」
お婆さん「だから河原でお前を産んで、そのあと桃に仕込んで担いで帰ってきたんじゃ」
桃太郎「そうだったの? それはそれで大変だったんじゃ」
桃太郎「でも、それじゃ俺はお爺さんとお婆さんのホントの子供だったんだ!」
お爺さん「桃太郎、それは・・・」
桃太郎「うれしいよ! そりゃ、授業参観の時なんか、俺だけお婆さんが来るの恥ずかしかったけど」
桃太郎「俺、お爺さんとお婆さんのホントの子だったら、どんなにいいだろうってずっと思っててさ」
お爺さん「違うんだ、桃太郎」
桃太郎「えっ? 何が?」
お爺さん「お前はワシの子じゃない」
桃太郎「はああ?」
お爺さん「お前の父ちゃんはワシじゃねえ!」
桃太郎「じゃあ、俺の父ちゃんは誰なの?  ま、まさか・・・」
桃太郎「桃が父ちゃんっ!!?」
お婆さん「バカ! 桃が父ちゃんのわけなかろうが!」
桃太郎「じゃあ、誰が父ちゃんなのさ?」
お婆さん「お前は鬼ヶ島の鬼蔵の子なんじゃよ」
桃太郎「・・・」
お婆さん「昔、お爺さんが山に芝刈りに行ってる時、一度、嵐が来たことがあってのう」
お婆さん「あたしゃ、心細うて心細うて・・・」
桃太郎「くそっ! そんな時に鬼が家に押し入ってきたのかっ!!」
お婆さん「いいや、あたしが家に招き入れての」
桃太郎「ってことは、ってことは・・・」
お爺さん「そうだ。お前には半分、鬼の血が流れとる」
桃太郎「そ、そんな!!」
お爺さん「だから!」
桃太郎「ちょ、ちょっと待ってよ。 じゃあ、俺は・・・ 俺と鬼蔵んちのメズコは・・・」

〇教室
メズコ(桃太郎お兄ちゃ〜ん!! うふふ💕)
「【お爺さん】 そういうことじゃ」

〇古風な和室(小物無し)
桃太郎(・・・・・・)
桃太郎「兄妹・・・腹違いの」
桃太郎「ははははは・・・」
お爺さん「桃太郎、だから、ワシはお前にとって、赤の他人同然で、」
  しかし、桃太郎はお爺さんの両手を握りしめ、
桃太郎「違うよ! お爺さんは誰が何と言おうと、俺のただ一人の大事な父親だよ!!」
お爺さん「も、桃太郎・・・」
桃太郎「それに、それにさあ、」
桃太郎「あの超かわいいメズコが妹だったなんて最高じゃん!!」
桃太郎「俺、俺って、なんて幸せもんなんだろう。 あはははは・・・」
お婆さん「桃太郎・・・ごめんよ。 大事なお前の初恋をこんな形で終わらせてしもうて」

〇古風な和室(小物無し)
  そうして、お婆さんは泣きじゃくる桃太郎を抱きしめたのでございます
  おしまい!

コメント

  • 昔よく流行りの歌の替え歌ってあったけど、まさに変えおとぎ話って感じで楽しかったです。基本の物語から派生の仕方が半端ないですが、とても斬新で新鮮です!

  • まさかそんな過去があったとは。
    おばあさんすごくタフですね!
    子どもを産むだけでなく、モモに仕込んで帰ってくるとは。
    テンポ良く楽しく読めました!

  • (笑)おばさんのまさかの行動!!発想が好きです!楽しく最後まで読ませて頂きました。違うバージョンのお話しがあれば読んでみたいです。

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