エピソード16(脚本)
〇競馬場の座席
さあ早くも、
第4コーナーをカーブした
先頭は、先頭はダイノキャッスル!!!
そして2番手には!ユキガフルです!!
ヘイジ「いけっダイノキヤッスル!!! そのまま!そのまま!!!」
わーー
わーーーー
わーーーーーー
ヘイジ「やったぜ!!! ダイノキヤッスル!!!」
〇奇妙な屋台
ヘイジ「こんばんわ~~」
「いらっしゃいませー」
店主「アラ随分とご機嫌じゃな〜い」
ヘイジ「今日は競馬で勝ったからな! 店主、一番高いラーメン頂戴!!」
店主「はーい、どうぞ」
トン
ヘイジ「おーうこれこれ!!! 待ってましたーーー!!!」
ズズー
ズルズルー
ヘイジ「あーうめえ!!!」
ヘイジ「ここのラーメン、凄い美味いんだよなぁ。いままで食べた中で一番だよ! あー美味かった。またくるぜ!」
店主「あの親父さん、競馬で勝ったときだけ やってきてラーメン食べていくのよ」
謎マッチョ「また来ますかね?」
店主「どうでしょう〜ねぇ」
〇競馬場の座席
ヘイジ「・・・」
〇奇妙な屋台
ヘイジ「・・・」
店主「あら、こんにちは。 今日は勝ったの?」
ヘイジ「いや、また負けた・・・ ここんとこ負け続きで。 もう何も食べるカネがなくて、 いい匂いにつられて来ちまった」
店主「じゃあ、ラーメン食べていきなさいよ。 今日は私のおごりよ、出世払いでいいわ。」
ヘイジ「ありがてえ・・・いただくよ」
店主「今日はお酒もつけちゃうワ」
ヘイジ「あぁ、あったけえ」
ヘイジ「うめえ、うめえなぁ・・・」
店主「アナタは、どうしてそんなに ギャンブルがお好きなのです?」
ヘイジ「ギャンブルを始めたのは、まだ若い頃でさ。仕事場の人と仲良くて一緒に競馬場に連れて行ってもらったのよ」
ヘイジ「そしたら最初に大勝ちしてさ、一年分の給料くらい、当たってさ。 そしたら働くのがバカらしくて、やめられなくなっちまったの」
ヘイジ「それが忘れられなくてさ・・・ 俺ずっと応援してる馬がいてさ。 「ダイノキヤッスル」って いうんだけどさ」
ヘイジ「そいつが俺に勝利をもたらしてくれたんだ。 だから、ずっとそいつの馬券を買ってる。」
ヘイジ「でも最近さ、あまり勝てなくて、少し前から、どうやら調子が悪いみたいなんだ。」
ヘイジ「俺、他にやることが特にないし、今まで負けた分を取り戻すまでは、やめられなくて」
店主「そうよねぇ、負けたままだと辞められない気持ちわかるわぁ、悔しいもんね」
ヘイジ「俺が、こんなんだから、嫁も息子も、愛想尽かしていなくなっちゃってさ・・・ グーグーグー」
店主「アラ寝ちゃったわ」
謎マッチョ「いい寝顔ですね、お腹もいっぱいになったようだし、 当たった夢でも見てるんでしょうか」
謎占い師「じゃあワタシは、明日のレースでも占ってみましょうか。 程々に当たる占いでね」
謎占い師「ダイノキヤッスル・・・」
謎占い師「柵に脚をぶつける・・・ 騎手が落馬・・・ 予後不良・・・」
謎マッチョ「予後不良って馬刺しにされるっていう、アレですよね?」
店主「馬は故障し「予後不良」と そのまま治そうとしても、四本脚で立とうとして足が腐敗壊死し、かえって酷い状態になり苦しむので」
店主「安楽にさせる。 そうするしかないらしいのです」
謎マッチョ「馬は、自分の体重を、常に4本の足で支えないと、生きていけないのですよね」
謎占い師「可哀想です、 仕方のないことなのでしょうが」
店主「そうですねぇ」
ヘイジ「なに!ダイノキヤッスルが 予後不良だと!!!」
ヘイジ「そりゃダメだ!!!」
ヘイジ「ごっそさん!!!」
ダダダダダダダダダ
店主「アラ、行っちゃった・・・」
〇競馬場の座席
ヘイジ「ダイノキヤッスル・・・」
ヘイジ「ちくしょう、どうすりゃいいんだ。 ダメ元で、行ってみるか!」
〇体育館の裏
ヘイジ「お願いだ!アンタ、厩舎関係者だろ!!! ダイノキヤッスルが! 馬が危ないんだ! 伝えないといけないんだ! 通してくれよ!」
厩舎関係者「そうは言うけどよ、 もう馬なら馬体検査で 装鞍所に行っちまったよ。 しょうがなえから、 オレもついてってやんべよ」
ヘイジ「ありがてえ!」
〇殺風景な部屋
ヘイジ「ハァハァ、装鞍所についたぞ」
厩舎関係者「装鞍所にきたが、もういねえな。 鞍つけて、 もうパドックに出ちまったか?」
ヘイジ「いくぜ!」
〇パドック
ヘイジ「ハァハァハァハァ もうここしかない!!! ここで止めないと・・・」
ヘイジ「いた!!! おーいダイノキヤッスル!!!」
厩舎関係者「あっ駄目だぁ〜」
何やってるんだ!
「俺を止めないでくれ!!
ダイノキヤッスルが危ないんだ!!」
何言ってるんだ!
アイツを止めろー
厩舎関係者「あーあ・・・」
ヘイジ「ダイノキヤッスルを出走させるなー 脚が、脚が折れるー」
警備「はい、わかったわかった」
ヘイジ「とめろーーーー」
アナウンサー
「前代未聞の事件です。
パドックに何者かが乱入した模様で、中断されております。しばらくお待ち下さい。」
厩舎関係者「まったく、なんなんだあれは!!!」
厩舎関係者「ダイノキヤッスルの脚をよく見てみろ。 ラチ(柵)にぶつけた跡が見えるぞ」
厩舎関係者「あっ、あれを知らせに・・・」
厩舎関係者「出たら脚が折れるって、散々言っとった。 危ないとこだったぞ」
厩舎関係者「行ってきます!」
ただいま、ダイノキヤッスルは怪我のため、出走停止となりました。
払い戻しは・・・
〇警察署の入口
ヘイジ「ごめんよ、引き取り家族がいないから、アンタを呼び出したりして・・・」
店主「連絡先がないから、直接お巡りさんが来たワ。 さ、戻ってラーメンでも食べまショ」
厩舎関係者「おい」
ヘイジ「あ、アナタは。 先程はすまなかった」
厩舎関係者「お前のお陰で、馬が助かった。 良かったら、オレのところで働かねえか?」
ヘイジ「オレ・・・でいいんですか?」
厩舎関係者「アンタの馬にかける情熱は本物とみた。 アンタなら役に立つと思うぜ」
ヘイジ「あ、ありがてえ・・・ 本当にいいのか?」
厩舎関係者「馬券は買えなくなるが、ええか? 競馬法第29条で厩舎関係者は買えない決まりが、決められてるんだっぺ」
ヘイジ「オレ・・・真面目に働く・・・ もうギャンブルやめるわ・・・」
ヘイジ「俺は競馬が嫌いなわけじゃねえ、むしろ好きだし馬も大好きだ。 でも俺ギャンブルやめる。 もっと馬の「ためになる」ことをする」
厩舎関係者「んだ、えがったなぁ」
店主「あら〜頑張って〜」
〇奇妙な屋台
店主「〜というわけなの〜」
謎占い師「程々に当たりましたよね? ワタシの占い」
謎マッチョ「結果的にギャンブルをやめられたから、 良かったんじゃないか?」
店主「今は、厩舎で働いてるけど 蹄鉄を作ったり 馬が立っていても体が支えられる馬用の「車椅子」を作ってあげるのが夢だって」
店主「叶うといいわねぇ〜」
店主「ね♡」
ヘイジさんの一本気で熱い思い、胸にグッときますね!その一方で、いつも通りの店主さんのお店、いつも通りの濃ゆい面々ですねww
とてもいいお話でした^^
安楽死させられる馬、可哀想ですよね
馬用の車椅子は素敵なアイデアだと思います
展開が素敵で、好きな話です。
最後に落ち着いた場所、とてもグッと来ました!