オパール(脚本)
〇幻想空間
マリー「ねえ神様 下僕がほしい」
マリー「明日生まれる妖精は 僕にとびきり依存するように」
マリー「翼がなく、一人で動けなくて 肌が黒く、僕以外の妖精から 疎まれる子にしてよ」
神様「いいでしょう」
マリー「やった 神様大好き」
神様「マリー。 私もあなたが大好きですよ」
〇雲の上
2万6000年に一度、妖精が生まれる
妖精の国で一番背の高い花の蕾が開くとき、蕾の中から妖精が落ちてくる
妖精は翼を持っているから、一人で降りて来ることができる。
でも、明日の妖精は僕がお願いした通り、翼がない。
大丈夫、僕が華麗に受け止めてあげる。
明日の妖精が一番はじめに見るのはこの僕だ。
〇赤い花のある草原
朝だ。妖精宮殿の黄金の鐘が鳴る
妖精「どんな子が生まれるかな? 楽しみだね~」
花の下で妖精たちが歓迎会の準備をしている
妖精「マリー、どうしたの そんなにそわそわして なんだか、いつもより気合入ってるね」
マリー「僕はいつも気合充分の妖精最年長の妖精書記長だぞ!」
妖精「はいはーい♪」
マリー「むむむ・・・」
妖精「なかなか蕾から出てこないね 恥ずかしがりなのかな?」
マリー「・・・・・・」
ポンッ
花弁が開く音がした
蕾の中で丸まっていた妖精が投げ出される
マリー「!」
妖精「キャーッ 垂直落下してる!?」
僕は急いで飛び立つ
〇雲の上
マリー「大丈夫? 僕はマリー 君の名前は?」
オパール「・・・オパール」
マリー(吸い込まれるような瞳・・・ ぞっとする美しさだ)
オパール「どこまでも底なしに落ちていくのかと思ったわ・・・」
オパール「こわい・・・」
震えるオパールは僕の胸元に顔を埋める
マリー(ドキドキして、何を話したらいいか わからないよ)
〇赤い花のある草原
マリー(何も話さずに下に着いてしまった・・・)
妖精「あらまあ 素敵な肌の色だね!」
妖精「翼がないんだね 困ったときは誰にでも声をかけたらいいよ〜」
オパール「ありがとう」
マリー「・・・」
マリー(あの、・・・神様?)
???「ウフフフフフ」
ああ、妖精の群れにオパールが取られてしまう・・・・・・
???「マリー、愛とは与えることですよ」
愛などいらぬ 僕は下僕がほしいのです
???「妖精の国には妖精しかいません 下僕はいませんよ」
マリー「・・・」
???「ファイト!」
マリー(もういいや オパールなんて そこらの妖精と仲良くしていればいいんだ・・・・・・)
妖精「マリー! なにぼさっとしてるの 歓迎会するよ」
マリー「はーーい」
マリー(あーあ・・・・・・ 神様ぼくをだましたな・・・・・・)
オパール「あの、マリーさん 空の上まで 助けに来てくれてありがとう」
オパール「びっくりしてお礼を言いそびれてたの」
マリー「うん、 マリーでいいよ」
〇赤い花のある草原
妖精「オパールのバースデーソングを作らなきゃね」
マリー「オパール、蕾の中でどんな詩を聴いた?」
オパール「手毬・・・ まり・・・」
マリー「まり・・・?」
オパール「えっと・・・」
妖精「ゆっくりでいいからね」
オパール「うん」
オパール「思い出した」
オパール「手毬で遊ぶ黒い蝶 7つの輝き 星の瞳 転がる毬を見つめてる」
マリー「・・・?!」
???「彼女の方が上手だったみたいだね〜」
マリー「・・・」
妖精「わあ! オパールらしい詩だね」
妖精「会ったばっかりなのにらしさがわかるの?」
妖精「妖精の直感よ!」
妖精「さて、伴奏は私たち、先輩妖精に任せて、のびのび歌っちゃって〜!」
オパール「私が歌うの?」
妖精「そうだよ、これは妖精の伝統よ!」
マリー「・・・恥ずかしがらなくてもいい きれいな声をしているじゃないか」
オパール「ありがとう、マリー」
オパールの周りに、楽器を持った妖精たちが集まっている。
僕はハープ担当。
オパールが一呼吸置くのを聴いて、妖精楽団は1つになった。
オパール「手毬で遊ぶ黒い蝶」
オパール「7つの輝き」
オパール「星の瞳」
オパール「転がる毬を見つめてる」
詩の余韻に酔いしれる
人と違うことは欠点になることもあれば魅力になることもあるんですよね。オパールはもちろん後者ですね。マリーの邪悪な願い事を聞き入れたようなふりをした神様はもちろん全てお見通しで、マリーに大切な何かを気づかせようとしたのかな。妖精の世界って想像するだけで楽しいです。