P4・契約を結びましょう!(脚本)
〇洋館の廊下
クロエ「主従関係・・・?」
ストラスール「このスライムを、あなたが 使い魔として使役するということです」
クロエ「アシスタントみたいなものかしら」
ストラスール「まぁ、スライムですから 話し相手くらいにしかならないでしょう」
スライム「話し相手くらイにナルよ!」
クロエ「もしあなたがよかったら、 私に名前をつけさせてもらえる?」
スライム「いいヨー」
ストラスール「問題は、ホムンクルスのあなたに 魔力があるのか・・・ですね」
クロエ「魔力ですか?」
ストラスール「魔界に住まう者は、 多かれ少なかれ必ず魔力を保有しています」
ストラスール「魔力が強ければ強いほど 様々な権利が与えられ」
ストラスール「安定的かつ文化的な生活を 営むことができるのです」
クロエ「それじゃあ、魔王であるレイさんは 魔界一の魔力の持ち主なのね」
ストラスール「今はスライム以下ですけどね」
クロエ「ふふ・・・」
ストラスール「人造人間であるホムンクルスは、わずかな魔力しか持たないと言われています」
クロエ「魔力が少ないと 主従関係を結べないのかしら」
ストラスール「その通りです。自分より強い魔力の 持ち主とは契約することができません」
クロエ「なるほど・・・」
ストラスール「しかし、あなたの身体は リディアの造った特別なものです」
ストラスール「スライムくらいなら契約できるかと」
クロエ「リアは優秀なのねぇ」
ストラスール「私の娘ですから」
クロエ「うふふ、そうですね」
ストラスール「・・・コホンッ」
ストラスール「では、スライムに手をかざして 私の言葉をなぞってください」
ストラスール「汝、運命の星海に漂う光── 我、其の運命を・・・」
クロエ「汝、運命の星海に漂う光── 我、其の運命を両手で掬う匙」
ストラスール「ここに定めるは運命の契り・・・」
クロエ「こっ、ここに定めるは運命の契り」
クロエ「契約の証明にて其を命名せん──」
ストラスール「さあ、スライムに名前を!」
クロエ「えっ!? いきなりですか!?」
クロエ「えっと、ええと・・・」
クロエ(紫色のものといえば・・・ナス?)
クロエ(いやナスはダメよね。 紫芋、葡萄、菫、藤・・・)
クロエ(──決めた!)
クロエ「『ゆかりちゃん』!!」
クロエ「我の新たな力と成れ──!」
クロエ「・・・うまくいったのかしら、 『ストラ』さ──」
「えっ・・・?」
ユカリチャン「ケーヤク、うまくいっタね!」
「えええぇぇーっ!?」
〇貴族の部屋
レイヴィダス「さて・・・」
レイヴィダス「転生魔法は成功したが、 先生を説得するにはどうしたら──」
レイヴィダス「こんな夜更けに誰だ──」
「レイヴィダス様っ!! / レイさんっ!!」
レイヴィダス「キャーーーーッ!!」
クロエ「あらあら。ごめんなさい、 お着替え中でしたのね」
ストラスール「いえ、レイヴィダス様は 就寝時は全裸でございます」
レイヴィダス「余計なことを言うな!!」
レイヴィダス「そんなに慌てて、どうした?」
ストラスール「それが・・・」
クロエ「私たち、主従契約を 結んでしまったようなんです」
レイヴィダス「何っ・・・!?」
レイヴィダス「ストラスール!」
レイヴィダス「いくらマンガの続きが読みたいからって、先生を支配下に置くなど──」
ストラスール「違います」
レイヴィダス「え?」
クロエ「私がストラさんを 服従させてしまったんです」
ストラスール「その言い方、何とかなりませんかね」
レイヴィダス「ふくじゅぅ・・・」
レイヴィダス「ええええぇぇぇーっ!?」
レイヴィダス「なんっ・・・は? えっ?」
レイヴィダス「・・・・・・・・・」
レイヴィダス「さすがです、先生!!」
ストラスール「問題を先送りしないでください」
レイヴィダス「いや、だって・・・」
レイヴィダス「ホムンクルスである先生が、 何故お前ほどの魔族を──」
レイヴィダス「そもそも、どうしてそのような状況に?」
クロエ「私がスライムさんに 名前をつけたいとお願いしたんです」
ストラスール「魔法をお教えし、実際にスライムとの 契約を成功させたのですが・・・」
ストラスール「その後、魔力を解放状態のまま 私に呼び掛けたのが原因ではないかと」
レイヴィダス「先生にそれほどの魔力が・・・?」
ストラスール「これは私の推測ですが」
ストラスール「クロエ様の魔力は、転生時にレイヴィダス様より引き継がれたものなのでは、と──」
レイヴィダス「転生魔法が使えるのは 当代の魔王くらいのもの」
レイヴィダス「かの魔法が禁忌とされているのは、術者の魔力を転生者に継承させてしまうからか」
ストラスール「自身の魂を転生させ続ければ、 永遠に魔王でいられますからね」
レイヴィダス「しかしそれでは、魔界は 質の高い発展を遂げられない」
クロエ(よく分からないけれど・・・)
クロエ(私がレイさんの魔力をごっそり 頂戴してしまったということよね)
クロエ(それって──)
クロエ「今の私は、魔王様に匹敵する魔力を 持っているということ?」
レイヴィダス「──というより、魔王そのものです」
クロエ「魔王、そのもの・・・」
ストラスール「この件、いかがなさるおつもりですか」
レイヴィダス「私の力が先生に渡ったと知れれば、 魔王の地位を狙う者が必ず現れる」
レイヴィダス「そうなっては、魔界にも魔法にも 慣れていない先生の御身が危ない」
レイヴィダス「私の魔力が回復するまで このことは伏せておき」
レイヴィダス「魔王として魔力の行使が必要になった時にのみ、先生にご助力いただくというのはどうだ」
ストラスール「一時的な魔王代理ということですか」
レイヴィダス「魔界を混乱させないためには それが最良かと思うが──」
クロエ「魔力の回復はどうやってなさるの?」
ストラスール「時間の経過とともに自然回復いたします」
ストラスール「通常でしたらそれほど時間は かかりませんが・・・」
ストラスール「魔力を丸ごと譲り渡してしまった 状態となると・・・」
ストラスール「回復にはおそらく 多くの歳月がかかるでしょう」
クロエ「魔力を充填できるようなお薬などは?」
ストラスール「ありません」
クロエ「そうなのね・・・」
ストラスール「いっそ代理などではなく、クロエ様が 真に魔王となられてはいかがです?」
ストラスール「クロエ様に楯突く輩は この私が排除いたします」
レイヴィダス「ストラスール、お前・・・」
ストラスール「スライム以下の魔力の人に捧げる 忠誠は持ち合わせておりませんので」
レイヴィダス「ぐぅっ・・・」
ストラスール「まぁ、ひとまずは魔王代理作戦で 様子を見て対策を講じましょう」
ストラスール「よろしいでしょうか、クロエ様」
クロエ「ええ・・・」
レイヴィダス「ご面倒をおかけします、先生」
レイヴィダス「何とかして魔力をすぐに回復させる手立てを探します。少しの間、ご辛抱ください」
クロエ(私が、魔王代理・・・)
クロエ(なんだか大変なことになってしまったわ)
いやー、呪文いいすねー。気合い入りすぎてて一瞬コメディタッチの世界観からガチファンタジーの景色が垣間見えました。呪文得意な人とかいるんですね。驚きでした。
先生がストラを配下におくのは予想外でした。おばあちゃんが代理魔王。何をしてくれるのか楽しみです。
「ホムンクルスへの転生者」「大御所漫画家」「ロリババア」に加えて、魔王代理の肩書までも追加ですか……クロエ先生、何と豪華な肩書w
好きでこそあれ、自分は呪文使って生活してないですからね!訓練された厨二の賜物なだけですから!🤤
というか呪文の効果範囲が万能過ぎて、もう軍隊作れそうな域っすね……今のうちに全裸魔王を手中に納めればあんな辱めやこんな辱めを……ちょっと詠唱してきます。