エピソード8(脚本)
〇屋上の入口
ハコ「ここの扉の向こうが 『夕方のショッピングモール』だよー」
ナナシ(学校の屋上への扉がショッピングモール への入り口とは)
ナナシ(いまだにこのチグハグさにはなれないな)
ネコマ「さっさと入るのである」
〇ショッピングモールの一階
ナナシ「ここが──『夕方のショッピングモール』」
クロス「いらっしゃいませ。 本日はどのような御用でしょうか」
フラマ「ク、クロスちゃん!! 久しぶりー」
クロス「えぇ、お久しぶりですねフラマさん」
フラマ(お、覚えててくれた! 良かったー)
フラマ「あ、あのね、今日は、その・・・・・・」
ネコマ「新入りの登録に来たのである」
フラマ(ね、ネコマさんにセリフを取られた!)
フラマ(うぅ、私がクロスちゃんとお話ししたかったのに、悲しいわぁ)
クロス「そうでしたか、 ではご案内させていただきます」
クロス「我が主人、ハムラ様の元へ」
ハムラ「いやそんな、ハムラ様の元へ とか言われたところで 普通に私はここにいるんだけどね」
ハムラ「久しぶりだな、 ネコマ、ハコ、フラマ」
ハムラ「そして初めまして少年」
ハムラ「私はハムラ、このコミュニティのまとめ役 をやっているものだ」
クロス「まぁ、二人しかいませんけどね」
ナナシ「ふ、二人だけで 全てのツクモ神を管理しているんですか!?」
クロス「私は世話役ですので、 実際にはハムラ様が一人でやっております」
ハムラ「──────────」
ハムラ「あ? 今俺寝てた?」
ナナシ「誰かこの人ベットで寝かしたげて!!」
ネコマ「社畜の鏡であるな」
フラマ「悲しいわぁ」
ハムラ「いや、いつもは ここまで酷くないんだが・・・・・・」
ハムラ「さっきまで『音楽スタジオ』 の奴らが来ていてな」
ネコマ「あぁ、それはまた・・・・・・」
ナナシ「ハコちゃん、『音楽スタジオ』って 何のこと」
ハコ「楽器系ツクモ神のコミュニティなんだけど ちょっと騒がしい人が多いの」
ハコ「楽器だからかな?」
ハコ「特にスピーカーのツクモ神の”スカー” って言う人がいるんだけど、 ホントもう凄まじくて」
ハコ「悪い人たちじゃないよ、うん、私も お世話になったことあるし・・・・・・」
ハムラ「クソ、あいつら今度はマラカスのツクモ神 なんて連れてきやがった」
ハムラ「何が『新入り歓迎ライブ』だ 三時間も演奏を聴かせやがって」
ハムラ「────切り替えよう」
ハムラ「少年、君の名前と何のツクモ神であるか それと能力を教えて欲しい」
ハコ「それがねハムラさん」
ハコ「ナナシくんは自分の記憶を失ってしまって 自分が何のツクモ神かも覚えてないの」
ハムラ「何だと──それは本当か!?」
ナナシ「は、はい」
ハムラ「──────」
ハムラ「まさか──────」
ナナシ「あ、あの────」
ハムラ「いや、大丈夫だ では『ナナシ』と言う名前で 仮登録とさせてもらう」
ハムラ「思い出すことがあったら教えてくれ」
ナナシ「は、はい」
ネコマ「ふむ、では帰らせてもらうのである」
ネコマ「それと、ハムラはマジでちょっと 寝た方がいいのである」
ネコマ「基本的に睡眠を必要としないツクモ神が ”うたた寝”なんて ちょっとシャレになってないレベルである」
ハムラ「あぁ、そうさせてもらうよ ありがとうネコマ」
クロス「ご利用ありがとうございました 気をつけてお帰りください」
〇屋上の入口
フラマ「悲しいわぁ、クロスちゃんと あんまりお話し出来なかったわぁ」
ナナシ「フラマさん、泣きながら歩いてると」
フラマ「キャッ!?」
ナナシ「あっ」
涙でよく見えなかったのだろう
フラマさんは階段を踏み外し
階段の下まで転げ落ちた
フラマ「うぅ、痛いわぁ、悲しいわぁ」
ネコマ「足元見ないから、そうなるのである」
ナナシ「だ、大丈夫ですか!?」
フラマ「だ、大丈夫よー」
落ちたフラマさんに
駆け寄ろうとしたとき、フラマさんに
スッと手を差し伸べる人物がいた
?「大丈夫?」
フラマ「あ、ありがとうございます」
フラマさんはその手をとって
何とか起き上がる
?「気をつけてね」
その人はそのまま階段を登り
ぼくとすれ違う直前でピタリと
足を止めた
?「あら、貴方・・・・・・」
ナナシ「あの・・・・・・何か?」
?「いえ、ただ、息子によく似ていたから」
?「気にしないで」
そうしてその人は奥の扉──
『夕方のショッピングモール』
へ入っていった
ナナシ「あの人────」
ハコ「あの人がどうかしたの?」
ナナシ「いや、何でもないよ」
ナナシ(何となく、怒っているような気がした ・・・・・・なんて)
ナナシ(そんな失礼なこと言えないよなぁ)