777デイズ

でんぷん

今日は七夕、プリン日和(脚本)

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〇宇宙空間
  とある7月7日
織姫「彦星さん」
織姫「これで、会えるのも最後になりそうですね」
彦星「ああ」
彦星「だが心配することはない」
彦星「子は強く育ち、こうして一緒にいる時間も増えた」
織姫「でも心配です」
織姫「本当に子供たちは平穏に過ごせるでしょうか」
彦星「ならば最後に、願い事をしてみよう」
織姫「願い事?」
彦星「ああ」
彦星「子孫達が、幸せでありますように」
織姫「子孫達が、幸せでありますように」
「願わくば、ささやかな幸運がありますように」
  ちゅん

〇線路沿いの道
  遥か未来。これまた7月7日

〇明るいリビング
七夕 叶「お母さん!プリン食べたい!」
七夕 望「あらあら、もうないの?」
七夕 望「じゃあ我慢しなさい」
七夕 叶「嫌だ!」
七夕 望「なら短冊に書いて、織姫様と彦星様に叶えてもらえば?」
七夕 叶「私もう小学生だよ?」
七夕 叶「そんなの作り話に決まってんじゃん!」
七夕 望「まあまあ」
七夕 望「やってみなさいって」
七夕 叶「だから作り話って言ってるでしょ!」
七夕 叶「むー」
七夕 叶「もういい!」
七夕 望「あんまり遅くならないでね~」

〇シックな玄関
七夕 叶「ぷんすか!」

〇公園のベンチ
七夕 叶「何であんなこと言うの?」
七夕 叶「プリン食べたいだけなのに・・・」
七瀬 梨花「あ!叶ちゃん!」
七夕 叶「梨花ちゃん」
七夕 叶「こんにちは。何してるの?」
七瀬 梨花「みんなで短冊に願い事書いてるの」
七夕 叶「ふーん」
七夕 叶「私も書いていいかな?」
七瀬 梨花「もちろん!」
七瀬 梨花「はい、これ短冊」
七瀬 梨花「ペンはベンチにあるから」
七夕 叶「にへへへ」
七夕 叶「プリンプリンプリンプリンプリン」
七夕 叶「プリンプリン」
七夕 叶「・・・」
七夕 叶「はっ!」
七瀬 梨花「え、えーっと」
七夕 叶「べ、ベンチにあるんだ。アリガトウ」
七瀬 梨花「う、うん」
七瀬 梨花「そ、それじゃ!」
七夕 叶「・・・」
七夕 叶(もうもうもうもう!)
七夕 叶(何にもいいことないじゃん! おうち帰る!)
  あれ?願い事書かないの?
七夕 叶「書かない!」
七夕 叶「もう帰る!」
  なんで?
  折角叶えてあげようと思ったのに
七夕 叶「さっきからなんなの!?」
七夕 叶「あれ?誰もいない」
七夕 叶「どこにいるの?」
七夕 叶「おーい」
ちゅんすけ「ここだよ」
七夕 叶「どこ?」
ちゅんすけ「ここだよ!」
七夕 叶「・・・」
七夕 叶「と、鳥がしゃべったぁ!?」
ちゅんすけ「正確にはカササギだけどね」
ちゅんすけ「それで、願い事は?」
七夕 叶「なんでもいいの?」
ちゅんすけ「もちろん」
七夕 叶「でも、急に言われてもなぁ」
七夕 叶「ちょっと待ってて!」
ちゅんすけ(ふう)
ちゅんすけ(この子が最後だな)
ちゅんすけ(帰ったら何しようかな)
七夕 叶「書けた!はい、これ」
ちゅんすけ「えーっとどれどれ、、」
  一日一回、願い事が叶いますように
ちゅんすけ「・・・は?」
ちゅんすけ「つまりこれから、一生こいつのそばで願い事を叶え続けなきゃ行けないってこと?」
ちゅんすけ「そんなの認めない!俺はこんなの認めない!」
ちゅんすけ「てか普通七夕の願い事って一回切りだろ!」
ちゅんすけ「こんなのおかしい!せめてプリン1個でがm」
七夕 叶「なんでもいいっていったよね」
ちゅんすけ「ヒッ」
七夕 叶「それとも一日千個ずつにする?」
ちゅんすけ「一日一回、今日から頑張ります」
七夕 叶「じゃあ、これからよろしくね!」
ちゅんすけ「ちゅん」

〇シックな玄関
七夕 叶「ただいまー」

〇明るいリビング
七夕 実「おかえり!」
七夕 望「おかえりなさい」
七夕 望「プリン買っておいたから食べていいわよ」
  バサバサッ
七夕 叶「しーっ!」
ちゅんすけ「すまんすまん」
七夕 望「どうかした?」
七夕 叶「ううん!なんでもない」
七夕 叶「それよりさ、プリンありがとう!」
七夕 望「あらあら、どういたしまして」
七夕 望「冷蔵庫にいれといたから」
七夕 叶「わかった!食べる!」
  もぐもぐ
ちゅんすけ「食べながら聞いてほしいんだが」
ちゅんすけ「叶えられる願い事は、短冊にしっかりペンで書いたことだけだから」
ちゅんすけ「注意しといてくれ」
七夕 叶「へー」
七夕 叶「意外と面倒なんだね」
ちゅんすけ「普通は毎日やることじゃないからな」
七夕 叶「はえ~」
ちゅんすけ「それよりさ」
七夕 叶「?」
ちゅんすけ「そのプリンちょっとくれよ」
七夕 叶「いやでーす」
ちゅんすけ「おーねーがーいー!」
七夕 叶「しょうがないなぁ」
七夕 叶「短冊持ってる?」
ちゅんすけ「はいよ」
七夕 叶「ありがと。えーっと」
  プリンがもう一つ増えますように
七夕 叶「書けた!」
ちゅんすけ「じゃあ、それを夜空に掲げてくれ」
七夕 叶「わかった。行ってくるね!」

〇シックな玄関
七夕 叶「プリンプリン~」
七夕 実「お姉ちゃん」
七夕 叶「どうした?実」
七夕 実「そのプリンちょうだい」
七夕 叶「冷蔵庫に余ってないの?」
ちゅんすけ「テーブルよく見てみろ」

〇明るいリビング
「プリンのカップが3つ」

〇シックな玄関
七夕 叶「お母さーん」
七夕 叶「プリンって何個買ってきたー?」
  3個よー
  独り占めしないで、実にもあげなさいよー
七夕 叶「やばいどうしよう」
ちゅんすけ「さっき書いたやつ使えばいいだろ」
七夕 叶「これじゃあ実の分しかないよ!」
ちゅんすけ「なんか悪いのか?」
七夕 叶「私の分がない!」
ちゅんすけ「どんだけプリン食うんだよ!」
七夕 叶「このままじゃ独り占めしたのばれる!」
ちゅんすけ「(呆れ)」
七夕 実「う、うぇ」
七夕 実「うぇーん!」
七夕 叶「まずいまずい」
七夕 実「うぇーん!」
七夕 叶「まずいまずいまずい」
七夕 実「うぇーん!」
七夕 叶「まままずずずず」
七夕 叶「はっ!」
ちゅんすけ「もうペンで書いちゃったんだからあきらめろよ」
「・・・」
七夕 叶「書けた!」
七夕 叶「空に掲げればいいんだよね?」
ちゅんすけ「おう」

〇宇宙空間
  織姫さま彦星さま、私のお願い叶えてー!
七夕 叶「うぉ!?」
七夕 叶「ほんとに叶った!」
  あら?実泣いてるじゃない
  何かあったの?
七夕 叶「やべ、早く戻らなきゃ!」

〇シックな玄関
七夕 望「テーブルに空のプラスチックカップが3つ」
七夕 望「まさか!」
七夕 叶「はいこれ実の分」
七夕 叶「さっきぶつけたところ大丈夫?」
七夕 実「プリンー!」
七夕 望「あら実、怪我したの?」
七夕 実「プリンプリンー!」
七夕 望「大丈夫・・・なのかしら?」
七夕 望「ならよかった」
七夕 望「もうすぐご飯だから、ほどほどにしておきなさいね」
七夕 叶「はーい!」
七夕 実「プリンおいしい!」

〇明るいリビング
ちゅんすけ「なあなあ」
七夕 叶「ん?」
ちゅんすけ「どうして三つもプリンがあったんだ?」
七夕 叶「そんなの簡単だよ」

〇シックな玄関
七夕 叶「はっ!」
七夕 叶(一に線を二つ足せば)
七夕 叶(三になるのでは!?)

〇明るいリビング
ちゅんすけ「おお、やるな!」
七夕 叶「でしょでしょ!?」
ちゅんすけ「てか、まだ二つも食うのかよ」
ちゅんすけ「ご飯食えんのか?」
七夕 叶「それは大丈夫」
七夕 叶「だって私の分のプリンは一つだけだもん」
ちゅんすけ(じゃあ、残りの一つってまさか・・・)
ちゅんすけ(お、俺のために!?)
  ピンポーン
七夕 叶「あ、お父さん帰ってきた!」
ちゅんすけ(なーんだ)
ちゅんすけ(とんでもない奴かと思ったけど、思いやりのあるいい奴じゃないか)
ちゅんすけ(それじゃ、お言葉に甘えて)
ちゅんすけ「いただきまー」
  お父さん早く!
  一緒にプリン食べよ!
ちゅんすけ「え?」
七夕 叶「あれ?何やってんの、ちゅんすけ」
ちゅんすけ「いや、このプリン俺のために残してくれたのかなって・・・」
七夕 叶「・・・?」
ちゅんすけ「本当に不思議そうな顔するなよ!マジで傷つくから!」
七夕 叶「あ!やっときた!」
七夕 進「お、実も叶も俺のために我慢してくれたのか」
七夕 進「俺のために!」
七夕 進「えらいえらい」
七夕 進「それじゃあ、ありがたくいただこうかな」

〇明るいリビング
ちゅんすけ(お、俺の分のプリンが・・・)
七夕 叶「ちゅんすけ」
七夕 叶「今日はありがとう!また明日もよろしくね!」
ちゅんすけ「あの、プリンは・・・」
ちゅんすけ「・・・」
ちゅんすけ「もう叶のことなんて」
ちゅんすけ「”しらんプリン”しちゃうもんね! (知らんぷりしちゃうもんね!)」
七夕 実「うわぁ」
七夕 叶「今のはないわー」
  そうして
  ちゅんすけと叶の
  ちょっぴり特別な(過酷な?)生活が
  始まるのであった!

コメント

  • 七夕伝説では、彦星と織姫が天の川を渡るときにカササギが橋渡しするんですよね。このお話では願い事の使者の役割も担っていて、ちゅんすけ大活躍ですね。ちゅんすけ自身が短冊に願い事を書くことはできないのかな。叶ちゃん、もっと優しくしてあげてほしいなあ。

  • 叶ちゃんが、その年頃特有の素直さ、ワガママさ、優しさ、ずる賢さなどが全て詰まっていて魅力的です。七夕の時期にもう一度読みたいですね。

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