エピソード1(脚本)
〇おしゃれな教室
春日崎零斗「・・・ココはドコ?」
蒼井真名「君は誰なの?」
吉永千花「近寄らないで!私、私はっ!」
吉永千花「私っ、吉永千花は死んでいるはず!!」
吉永千花は僕と同じくらいの年の女の子だ。
だが、死んでいるとは?
蒼井真名「そ、それを言うなら私も!!!! 私、蒼井真名も死んでいます!!!!」
真名は恐る恐る僕に近づき、左手の袖をまくった。
左手首には無数のリストカットの跡がある。
真名と千花を交互に確認。表情は怯えているが、死んでいるような感じはしない。
ココはドコだ?
キレイな高等学園で、普段、僕の通う学校とは格段に違う。
だけど、僕もすでに死んだはず。
死ぬ間際のことを思い出そうとした。
〇テーブル席
ココには僕と千花と真名しか居ない。
3人で学園を探索した。
春日崎零斗「カフェに着いた。お腹は空かないな」
3人は同じテーブルを囲んで座る。個々に分かれる選択肢はないようだ。
吉永千花「ココは知らない場所だし、君達とは初対面。本当に私、死んでいないの? 何かのドッキリ?」
ドッキリにしては誰も居ない。2人を安心させるために、暗い身の上話をした。
僕も死にたいということを話してみた。
吉永千花「で、でも君はジャニーズ系だよ? イケメンなのに、 なんでイジメに? 酷すぎるよ!!」
春日崎零斗「い、いや、千花さんこそ、可愛い、ドストライク美少女ですよ!! あ、真名さんも、もちろん可愛い!!」
ゴホッ、滅多に褒められない、褒めたことのない僕は、咳き込む。
吉永千花「私ブサイクなの。いつも美人な姉と比べられて。出来る姉と落ちこぼれの私、両親は私に無関心で、それで」
蒼井真名「皆、訳有りなのですね。 私も、家、学校が嫌で。 今はおばあちゃん家に住んでいる」
蒼井真名「あの人達・・・両親にとって私は、要らない子なのかな? どうして私を産んだのかな? 苦しい」
春日崎零斗「それな!! あいつら、僕を何故産んだ? 殴る、蹴る、挙げ句無関心。僕はあいつらの道具じゃない!!」
吉永千花「比べられるのも、自分の存在がないように感じるのも嫌!!」
吉永千花「贅沢は言わない。親とか、周囲の人とか、誰か1人でも私を愛してくれたら。 ちゃんと見つめてくれる人が居たら・・・私は」
今まで僕は、僕1人が苦しいと思い込んでいた。
この2人も同じように苦しい。
子供は親を選べないから辛い。
生きている方が死ぬよりも苦しいけど、
僕は!!!!
春日崎零斗「生きる!」
蒼井真名「!?」
吉永千花「!?」
春日崎零斗「僕は生きる!生きて君たちを探す!だから君たちも!!」
2人とも僕が大切にする。
・・・還ろう!!!!
・・・その時、誰かの声が聴こえた。
〇カラフルな宇宙空間
僕は死にたかった。
毒親、イジメる複数の同級生達。
悩むことも、拒否することも煩わしくなり、死にたいと願う日々。
問題は死ぬ方法だ。
包丁、ナイフ、分厚い縄を準備。
その後、具体的に死ぬ方法を考えながら町中を歩いていた。
川沿いを通ったが、
そこから死に至るまでの記憶が抜けている。
天国についての記憶はある。
天国は思っていたものとは違うかった。
天国は赤、青、黄、そして、緑。
闇と輝く色彩。
無数の色に取り囲まれる僕。
色と僕は同化し始めた。
僕、そして、見知らぬ誰かが重なり合い、僕と誰かの区別がつかなくなる。
そして、無へ。
混ざり合う瞬間。
その時、激しく拒否した。
僕は僕。
他の誰でもない。
抗う。
嫌いだ。
自分が。女みたいな顔、低めの身長、何一つ言い返せない弱い性格。暴力を受けて傷だらけの価値のない僕。
自分なんて大嫌いだ。
あの色達。
あの色達に混じれば!!
死ぬ間際に僕は生まれて初めて抗って、気付いたらココに居たんだ。
〇大きな木のある校舎
「おい、春日崎っっ!! 金出せよ!! ちょっと表彰されたからってイキってるんじゃねぇよ!!」
DAISOで買った財布を遠くに投げ捨てた。
お金など入っていない。
人間のカスになど構う暇はなかった。
そして、ある場所へと向かった。
〇病院の診察室
春日崎零斗「センセー! 千花さんと、真名さんは、どうしている?」
奈村善彦「まだ目覚めていないよ。 施設では、ちゃんと生活出来ている?」
春日崎零斗「大丈夫!!僕が死ぬ寸前、いや、心肺停止になったけどセンセーが蘇生してくれたから。それに何度も呼び掛けてくれたし」
奈村善彦「川に飛び込んで自殺しようとした千花さんを、君が飛び込んで助けたから」
奈村善彦「良い子を死なすわけにはいかないよ」
千花さんは仮死状態。真名さんも、例のリストカットから色々あり仮死状態になっている。
同じ病院に3人が仮死状態で居た。
何故かシンクロして同じ空間に居たんだ。
学園に。
2人の病室に行く。2人は同じ部屋だ。身体に色んなチューブをつけられている。
春日崎零斗「千花さんー! 真名さんー! 起きて!!」
1時間、2時間、声をかけただろうか?
川に流されて千花を救出しようとしたとき、他の方も見ていて、救急と警察を呼んでくれた。
警察は事件性を調べ、僕がイジメに遭っていることを知り虐待にも気付いた。イジメは厳重注意、両親は堀の中。
僕は生きて、千花さんも、真名さんも守れる男になる。
幾千回も2人の名前を呼んだとき、2人は目覚めた。
死ぬほど辛くても、生きることを選んだ彼の気持ちを考えると、なんだか温かな気持ちになれました。
他の二人のこともちゃんと救ってたんですね。
素敵なハッピーエンドだと思います。
彼も死にたくなるほど辛かったけれど、彼女たちをたすけたことですべての歯車がよいほうに回りだしたんですね。3人とも苦しんだ分新たなスタートをきって幸せになってほしい。世の中は優しい心を持つ人たちが幸せになるべきだと思う。きっと彼女たちもすぐ目覚めるでしょう。
彼が『生きる』という選択をしたおかげで、二人の蘇生がはじまったのですね。なにか時空を超えた強い友情を感じ、この3人を応援したくなりました。