僕の家族には秘密があって、色々見てみないふりをしてきたけど、そろそろ限界みたいです。

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僕の家族には秘密がある(脚本)

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〇玄関の外
須田 亜希(アキ)「あ!」
須田 亜希(アキ)「虹彩さん!」
内藤 虹彩(アイリス)「こんばんわ、アキちゃん」
内藤 虹彩(アイリス)「今日もかわいいわね」
須田 亜希(アキ)「えー、そんなあ」
内藤 虹彩(アイリス)「一、来てないよね?」
須田 亜希(アキ)「教室で別れたきりですけど」
須田 亜希(アキ)「帰ってないんですか?」
内藤 虹彩(アイリス)「もうすぐ夕ご飯なのにね」
須田 亜希(アキ)「スマホは?」
内藤 虹彩(アイリス)「既読もつかないの」
内藤 虹彩(アイリス)「学校で、なにかあった?」
須田 亜希(アキ)「え」
須田 亜希(アキ)「ちょっと」
須田 亜希(アキ)「わからないです」
内藤 虹彩(アイリス)「そう」
内藤 虹彩(アイリス)「なにか事件に 巻き込まれでもしてたら」
内藤 虹彩(アイリス)「どうしましょう・・・」
内藤 虹彩(アイリス)「あんまり遅くなると 夕ご飯冷めちゃうし」
内藤 虹彩(アイリス)「あら」
内藤 虹彩(アイリス)「ごめんなさい」
内藤 虹彩(アイリス)「お邪魔しちゃった」
内藤 虹彩(アイリス)「もう帰ってるかもしれないから 一度戻るわね」
内藤 虹彩(アイリス)「お父さんにもよろしくね」
須田 亜希(アキ)「虹彩さん!」
内藤 虹彩(アイリス)「?」
須田 亜希(アキ)「わたしも なにか心当たりがないか ちょっと友達に聞いてみます」
内藤 虹彩(アイリス)「アキちゃんみたいな かわいくて素敵な お隣さんがいてくれて」
内藤 虹彩(アイリス)「一は本当に幸せ者だわ」
内藤 虹彩(アイリス)「いつまでも仲良くしてあげてね」
須田 亜希(アキ)「はい」
須田 亜希(アキ)「お任せください」
須田 亜希(アキ)「まったく」
須田 亜希(アキ)「世話が焼けるんだから」

〇学校のプール
内藤 一(はじめ)「ううう」
内藤 一(はじめ)「ううう」
須田 亜希(アキ)「見っけ♪」
内藤 一(はじめ)「スダーキー!」
内藤 一(はじめ)「なんで ここに?」
須田 亜希(アキ)「これで 何回目?」
須田 亜希(アキ)「毎回 夜のプールでいじけるの やめてくんない?」
須田 亜希(アキ)「学校に侵入すんの けっこう面倒くさいんだから」
  あの怪しい用務員さんにつかまって
  わたしがわからされちゃったら
  どうすんのよ?
内藤 一(はじめ)「わからされる?」
内藤 一(はじめ)「何を?」
須田 亜希(アキ)「じょ、冗談よ」
内藤 一(はじめ)「?」
須田 亜希(アキ)「そ、そんなことより」
須田 亜希(アキ)「一」
内藤 一(はじめ)「なんだよ?」
須田 亜希(アキ)「小5にもなって現実逃避で 家出とか恥ずかしくない?」
内藤 一(はじめ)「ふん」
内藤 一(はじめ)「スダーキーに何がわかるんだよ」
須田 亜希(アキ)「一が廊下であいつらに ボコボコにされた挙句」
須田 亜希(アキ)「泣きながら先生に 職員室に連れていかれるとこ わりとちゃんと見てましたけど」
内藤 一(はじめ)「半べそだよ!」
須田 亜希(アキ)「あ、 うん」
内藤 一(はじめ)「だいたい、 誰も探しに来てくれなんて──」
須田 亜希(アキ)「虹彩さんがうちに来たの」
内藤 一(はじめ)「マ―― 母さんが?」
須田 亜希(アキ)「マザコン」
内藤 一(はじめ)「マザコンじゃない!」
須田 亜希(アキ)「小5で母親に心配かけるなよ」
須田 亜希(アキ)「毎回 同じことで喧嘩するの なんなの?」
須田 亜希(アキ)「くそデカため息出ちゃう」
内藤 一(はじめ)「スダーキーにはわからないよ」
  兄ちゃんを
  ニートって笑われたこと
  ないじゃんか
  姉ちゃんのこと
  遊び人ってからかわれたこと
  ないじゃんか
  マ――母さんのこと
  若すぎるなんて
  からかわれたことだってないだろ!
須田 亜希(アキ)「それはいーだろ」
  それなのに
  父さんは老けすぎてるって!
内藤 一(はじめ)「おまんちの家族、おかしいとか 言われるんだぞ!」
内藤 一(はじめ)「くそっ」
須田 亜希(アキ)「それで激弱のくせに 喧嘩しちゃうのか」
須田 亜希(アキ)「あのさあ」
須田 亜希(アキ)「それって」
須田 亜希(アキ)「図星だからでしょ」
内藤 一(はじめ)「どういう意味だよ」
須田 亜希(アキ)「一が二人を 恥ずかしいって思ってるって」
内藤 一(はじめ)「思うに決まってるだろ!」
内藤 一(はじめ)「うぅぅ」
須田 亜希(アキ)「一」
内藤 一(はじめ)「なんだよ 急にスマホなんか」
須田 亜希(アキ)「見て」
内藤 一(はじめ)「あ」

〇古いアパートの部屋
  アキが差し出したスマホには
  覆面をかぶった男たちが銃を片手に
  老婆をロープで縛り上げている
  光景が写し出されていた。
老婆「ううう」
覆面A「早く金庫の暗証番号を言えや クソババア!」
覆面B「ぶっ殺されてえのか!」
  どうやら男たちは
  近頃ニュースを騒がせている
  押し入り強盗団のようだった。
老婆「うううぅ」
覆面C「このババア なめやがって!」
  かたくなに抵抗をする老婆に
  しびれを切らしたのか
  覆面の男のひとりが
  銃を握った手を
  振り上げた。
覆面C「オラッ!」
覆面C「ぐぎゃ!」
  だが
  次の瞬間
  吹き飛んだのは
  加害者の方だった。
「!?」
覆面A「な なんだ てめえは?」
マスク・ザ・レッド「私が来たからには 貴様らの時間もここまでだ!」
マスク・ザ・レッド「愛と!」
マスク・ザ・レッド「炎と!」
マスク・ザ・レッド「太陽の使者!」
マスク・ザ・レッド「マスク・ザ・レッド 参上!」
マスク・ザ・レッド「とう!」
マスク・ザ・レッド「いくぞ 悪党ども!」
覆面B「ぐぎゃ!」
覆面A「くそっ!」
覆面A「うそだ!」
覆面A「銃弾をかわした?!」
マスク・ザ・レッド「悪の力など通用せんぞ!」
マスク・ザ・レッド「絶対!」
マスク・ザ・レッド「正義!」
マスク・ザ・レッド「パンチ!」
覆面A「ぐべし!」
マスク・ザ・レッド「悪」
マスク・ザ・レッド「殲」
マスク・ザ・レッド「滅!」

〇学校のプール
内藤 一(はじめ)「・・・」
内藤 一(はじめ)「話題の 正義の味方の人じゃん」
内藤 一(はじめ)「知ってるよ 動画で見た」
内藤 一(はじめ)「でもさ こんなの再生数稼ぎのヤラせだろ」
内藤 一(はじめ)「そもそも 誰が撮影してるんだよ」
須田 亜希(アキ)「んー」
須田 亜希(アキ)「そこはどうでもよくて」
内藤 一(はじめ)「ん?」
須田 亜希(アキ)「これ」
須田 亜希(アキ)「烈斗兄さんじゃん」
内藤 一(はじめ)「・・・」
内藤 一(はじめ)「はあっ?」
須田 亜希(アキ)「あれ?」
須田 亜希(アキ)「マジで気づいてなかったの」
須田 亜希(アキ)「名前 まんまだよ」
内藤 一(はじめ)「待って!」
内藤 一(はじめ)「ええ?」
内藤 一(はじめ)「だって」
内藤 一(はじめ)「ニートが こんな動きできるわけ──」
須田 亜希(アキ)「烈斗兄さん 学生時代 いろんな部活に助っ人で参加して」
須田 亜希(アキ)「大会でもいくつも優勝してたって 虹彩さんから聞いたよ」
須田 亜希(アキ)「今は太っちゃったけど」
内藤 一(はじめ)「そうだよ」
  兄ちゃん
  小太りじゃん!
内藤 一(はじめ)「体型が──」
須田 亜希(アキ)「動きと恰好で ごまかされるけど、」
須田 亜希(アキ)「この人 わりと小太りだよ」
内藤 一(はじめ)「ええ・・・」
須田 亜希(アキ)「それから これ」
  アキはスマホの画面を切り替えた
  画面には、3Dモデルで作られた
  派手な恰好の女性が映し出された
アイーシャ・ナイトエンプレス「おーっほっほっほ」
アイーシャ・ナイトエンプレス「帝国民の豚どもは 一生わたくしの下僕ですわー!!」
内藤 一(はじめ)「ああ!」
内藤 一(はじめ)「アイーシャ・ナイトエンプレス!」
内藤 一(はじめ)「Vtuberの!」
内藤 一(はじめ)「アイーシャ帝国の女王の!」
須田 亜希(アキ)「・・・ファン?」
内藤 一(はじめ)「ち、違う!」
内藤 一(はじめ)「でも 何回か見てる」
内藤 一(はじめ)「個人勢だけど 大手に負けないぐらい 再生数えぐいよね?」
内藤 一(はじめ)「ゲーム実況しながら」
内藤 一(はじめ)「めちゃくちゃ リスナーを罵倒してるけど」
内藤 一(はじめ)「その罵倒がレパートリーと切り口豊富で 心地良いというか──」
須田 亜希(アキ)「めちゃ早口で語るじゃん」
内藤 一(はじめ)「この間やってた 配信とかすごかったんだよ」
内藤 一(はじめ)「72時間ぶっ通しで」
内藤 一(はじめ)「リスナーと対戦ゲームで戦うの!」
内藤 一(はじめ)「たくさん名言もでてさ」
内藤 一(はじめ)「あれは人間を超えてたなあ」
内藤 一(はじめ)「僕もいつか参加したい──」
内藤 一(はじめ)「あれ?」
内藤 一(はじめ)「まさか」
須田 亜希(アキ)「うん」
須田 亜希(アキ)「お察しだね」
  虹紗姉さん
内藤 一(はじめ)「え゛」
内藤 一(はじめ)(アイーシャ・ナイトエンプレス)
内藤 一(はじめ)(アイーシャ・・・)
内藤 一(はじめ)「あ゛」
須田 亜希(アキ)「声だってまんまだし」
須田 亜希(アキ)「もともとあの人、 口悪いじゃん」
内藤 一(はじめ)「み、見た目が──」
須田 亜希(アキ)「Vtuberだぞ」
須田 亜希(アキ)「頭まぬけか?」
内藤 一(はじめ)「嘘だ・・・」
須田 亜希(アキ)「ね?」
須田 亜希(アキ)「一は何にもわかってない」
須田 亜希(アキ)「あんなにすごい兄姉がいるのに」
須田 亜希(アキ)「二人を恥ずかしいとか」
須田 亜希(アキ)「だから──」
内藤 一(はじめ)「・・・」
内藤 一(はじめ)「わかってないのは、 スダーキーだよ」
須田 亜希(アキ)「は?」
内藤 一(はじめ)「兄ちゃんや姉ちゃんが 恥ずかしいから」
内藤 一(はじめ)「喧嘩をしたわけじゃない!」
須田 亜希(アキ)「えーと」
須田 亜希(アキ)「その この世界の終わりが来て 自分に世界の命運がかかってるみたいな」
須田 亜希(アキ)「深刻そうな顔はなんなの」
内藤 一(はじめ)「今の話を聞いて 確信した」
内藤 一(はじめ)「多分 僕」
内藤 一(はじめ)「本当の子じゃないんだ」
須田 亜希(アキ)「なに そのいきなりな話」
内藤 一(はじめ)「前から」
内藤 一(はじめ)「ずっと思ってた」
内藤 一(はじめ)「だってさ 兄ちゃんも姉ちゃんも すごく変な人じゃんか」
内藤 一(はじめ)「僕と全然違う」
内藤 一(はじめ)「そのうえ本当は 兄ちゃんはヒーローで 姉ちゃんは人気Vtuber」
内藤 一(はじめ)「なのに」
内藤 一(はじめ)「僕は 何の取り柄もない ごく普通の小学五年生」
内藤 一(はじめ)「それにさ」
内藤 一(はじめ)「名前」
須田 亜希(アキ)「名前?」
内藤 一(はじめ)「兄ちゃんが 烈斗」
内藤 一(はじめ)「姉ちゃんは 虹紗」
内藤 一(はじめ)「僕だけ 一 だぞ」
内藤 一(はじめ)「おかしいじゃんか」
内藤 一(はじめ)「適当すぎる」
内藤 一(はじめ)「完全に 路線が違う」
内藤 一(はじめ)「髪だって 僕だけ黒だよ」
須田 亜希(アキ)「じゃあ」
須田 亜希(アキ)「自分が 本当の子供じゃないと 思ってるから」
須田 亜希(アキ)「からかわれると」
須田 亜希(アキ)「コンプレックスで カーってなっちゃうの?」
内藤 一(はじめ)「うん」
須田 亜希(アキ)「くだらん」
内藤 一(はじめ)「そんな言い方!」
須田 亜希(アキ)「くだらないよ」
須田 亜希(アキ)「どうでもいいことでしょ」
須田 亜希(アキ)「一のパパとママは 一を大切にしてくれてるじゃん」
須田 亜希(アキ)「烈斗兄さんだって 虹紗姉さんだって 自慢の兄弟じゃん」
須田 亜希(アキ)「ううん」
須田 亜希(アキ)「もし自慢できなくたって」
須田 亜希(アキ)「一緒に家族がいるってだけで 幸せなことだよ」
内藤 一(はじめ)「あ」
内藤 一(はじめ)「ご、ごめん」
須田 亜希(アキ)「・・・」
須田 亜希(アキ)「いいよ 別に」
須田 亜希(アキ)「でも」
須田 亜希(アキ)「わたしは 本当に 一がうらやましいんだ」
内藤 一(はじめ)「ごめん」
「・・・」
須田 亜希(アキ)「帰ろう?」
内藤 一(はじめ)「・・・うん」

〇明るいリビング
内藤 陽斗(はると)「あの子は まだ?」
内藤 虹彩(アイリス)「ええ」
内藤 陽斗(はると)「大丈夫」
内藤 陽斗(はると)「あの子の《力》は」
内藤 陽斗(はると)「私の《魔気》と」
内藤 陽斗(はると)「きみの《聖気》で抑え込んでいる」
内藤 陽斗(はると)「《奴ら》に見つかることはないはずだ」
内藤 虹彩(アイリス)「だといいのですけれど」
内藤 陽斗(はると)「・・・」
内藤 陽斗(はると)「烈斗にも虹紗にも 私たちの力は完全には 伝わらなかった」
  烈斗には
  《勇者》の力の
  虹紗には
  《魔王》の魔力の
内藤 陽斗(はると)「それぞれ一部のみしかね」
内藤 陽斗(はると)「一だけだ」
内藤 陽斗(はると)「魔と聖の力を それぞれ受け継ぎ」
内藤 陽斗(はると)「体内で完全な形で 調和させることができたのは」
  内藤陽斗はリビングの奥の
  鍵のかかったドアに視線を向けた
内藤 陽斗(はると)「あの子ならいずれ 自らに眠る力を 完全にコントロールし」
内藤 陽斗(はると)「《聖剣》の 封印を解くことができる」
内藤 陽斗(はると)「その時こそ」
内藤 陽斗(はると)「魔と聖の力の調和をもって」
内藤 陽斗(はると)「すべての災いの源である魔王を 滅することが叶うはずだ」
内藤 陽斗(はると)「この私 魔王ナイトハルトの存在を──」
内藤 虹彩(アイリス)「あなた・・・」
内藤 陽斗(はると)「そんな顔をしないで」
  25年前──
  勇者であるきみと出会ったときから
  それが私の望みなのだから
内藤 陽斗(はると)「それに」
内藤 陽斗(はると)「覚醒のときまでは まだ時間はある」
内藤 陽斗(はると)「それまでは家族の時間を大切にしよう」
内藤 虹彩(アイリス)「ええ」
内藤 アルベルト「わんわんわんわん!」
  た、ただいまー!
内藤 陽斗(はると)「ほら」
内藤 陽斗(はると)「うちの救世主が帰ってきたよ」
内藤 虹彩(アイリス)「どこに行ってたの」
内藤 虹彩(アイリス)「こんな時間まで!」
内藤 一(はじめ)「あぅ」
内藤 虹彩(アイリス)「お父さんだって ご飯も食べずに待ってたんだからね」
内藤 虹彩(アイリス)「ほら ごめんなさい、は?」
内藤 陽斗(はると)「ははは」
内藤 陽斗(はると)「まあ母さん。その辺で」
内藤 一(はじめ)「ご、ごめんなさいー」

コメント

  • 前半はファミリードラマのような微笑ましい展開で、後半から一気にファンタジーの世界へと突入する流れが圧巻でした。一番普通の子に見える一が「魔」と「聖」のハイブリッドだったとは。ウジウジしてばかりの一が覚醒してからどのような変貌を遂げるか楽しみです。

  • 一君の両親がそういう出会いをした2人だとは、とても魅力的ですね! それぞれ兄や姉が特別な力を持ち合わせているというところ、一君が早くしっかり把握できる日がくるといいですね。

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