1章-03.状況整理③(脚本)
〇シンプルなワンルーム
橘 優人「・・・・・・」
橘 優人「よし!!!!」
橘 優人「そろそろ現実に戻ろう・・・」
もし今がユウトの家族がいない世界だとしても・・・
確認はしなくちゃ!!!!!!
橘 優人「逃げてはダメだ!! 逃げてはダメだ!! 逃げてはダメだ!!」
と・・・自身を叱咤する。
橘 優人「・・・・・・」
異世界《ノアン》に行く直前の記憶を思い出してみる。
確か・・・
僕の10歳になる誕生日の前日だったはずだ。
〇一戸建て
── 《8月19日》──
ユウトの10歳になる誕生日の前日。
〇おしゃれなリビングダイニング
その日は、クラスで仲の良い友達の家で遊んだあと、午後5時を回った頃に帰宅したが家には誰も居なかった。
橘 優人「・・・・・・」
〇大企業のオフィスビル
父さんは、大きな会社の社長をしているんだ。
いつも仕事忙しくて帰ってくるのも遅いから、この時間に家に居ることはほとんどないんだ。
橘 優人「今日も帰ってくるの夜遅いのかな?」
〇総合病院
母さんは、看護師をしているんだ。
ただ、最近体調を崩してたので、今日は早めに仕事を切り上げて病院に行ったみたい。
さっき電話してみたら、これから帰って来るんだって。
そして・・・
橘 絵梨奈「新しい家族が増えるよ! 父さんとタカ兄、ユナ姉を驚かしたいから、今は2人だけの秘密ね♪」
と僕にだけ教えてくれたんだ!!!!!!
〇渋谷のスクランブル交差点
ユナ姉は、実の姉で高校一年生。
その朝、予定聞いた時は夏休み中ということもあって今日一日家に居るって言っていたけど、居なかったからMIMEしてみた。
そしたら、タカ兄と買い物に行ったんだって!
・・・・・・僕も行きたかった。
タカ兄は、義理の兄で高校一年生。
今日の朝、予定聞いた時は友人と出かけると言ってたけど・・・
ユナ姉のMIMEで一緒に出かけてると知った瞬間!!!!
” 今度は僕も一緒に出かけたい”
ってMIMEで送ったんだ!
〇シンプルなワンルーム
その後・・・
タカ兄の返事を待ちながら、着替えるために勉強机にスマホ置き・・・
後ろを振り向いた瞬間──!!!!!!!!
〇黒
〇草原
────
僕は異世界《ノアン》にいた――!!
〇シンプルなワンルーム
橘 優人「ふむ・・・。 以外に覚えているものだな・・・」
数百年前の記憶にも関わらず、未だ鮮明に思い出せたことに驚きつつ、勉強机にあるスマホを手に取る。
橘 優人「よ、よし日付を確認してみよう!」
日付を確認してみると────
――8月22日12時15分――。
僕が異世界《ノアン》から帰ってきたら──
3日が過ぎていた――。
橘 優人「な、ななんと!! み、3日も過ぎてる?!?!」
橘 優人「・・・」
いや!!!!
異世界《ノアン》で数百年生きていたことを考えると、地球に戻っても僕の家族に会える可能性は低いと考えていた。
何せ、普通の人間よりかなり長生きしていたユウトは、異世界《ノアン》で出来た友人の最期を何人も看取ったこともあるからだ。
そして何より・・・
異世界《ノアン》で数百年生き、地球戻ってきたら3日しか過ぎてないのだ。
これからまた、大好きな家族と過ごせると考えると、ユウトにとってはこれほど喜ばしいことはなかった。
だが・・・あれ?
ちょっと待って欲しい。
小学生が3日も音信不通って・・・
警察沙汰になってるよね?
・・・・・・家族皆に心配かけちゃってるよね。
焦る気持ちを抑えながら、手に持っているスマホから、母さんに電話をかけてみる。
橘 優人「・・・・・・???」
橘 優人「うーん? ・・・繋がらない?」
何度か掛け直してみるが、やはり繋がらない。
MIMEからメッセージを送ってみるが、送信できない。
電話もMIMEも出来ず、焦燥感が募るユウトであった。
電波確認していないことに気づき、確認してみると、圏外だった・・・
橘 優人「圏外・・・!?!?」
どうやら・・・
WiFi、インターネットも繋がっていないみたい。
スマホの電池も2%以下になっているので、充電しようにも電気も通ってないようだ。
橘 優人「電話もメールもネットも使えない!! 電気も通ってない! 一体どうなっているんだ?」
全てを確認するには電池が残り少ないため、まずは家族から届いているMIMEを最優先で確認することにした。
最初にタカ兄のMIMEを見てみる。
返事が来ていた。
『そうだね!次は一緒に出かけよう!どこか行きたいところある?』
異世界《ノアン》にいる間・・・、
ずっと気になっていて、待ち続けていた返事だった。
嬉しいな・・・・・・
おっと。思わず涙が出てきた。
ふ、2人で出かけるってことでいいのかな?
・・・あとで、確認しなきゃ。