〇地球
？？？？「さあ人類よ！」
？？？？「disり合ってばかりいないで⋯⋯」
？？？？「褒め合おう！」
？？？？「称え合おう！」
？？？？「あなたは素晴らしい!!」
？？？？「世界は素晴らしい!!」
？？？？「素晴らしき人生をっ!!」

〇秘密基地のモニタールーム
執事「こちらアルファ」
執事「視界は良好。異常なし」
執事「進行経路を確認」
執事「オーヴァー⋯⋯」

〇野営地
執事「こちらブラヴォー」
執事「経路を確保した」
執事「索敵も問題なし⋯⋯」
執事「あ、いえ⋯⋯　未確認物体を確認⋯⋯」
執事「分析パターン白」
執事「間違いありません⋯⋯」

〇通学路
執事「ネコチャンですっ！」

〇秘密基地のモニタールーム
執事「ジーザス！　なんてこった！」
執事「愛くるしいお目々⋯⋯」
執事「もふもふの毛並み⋯⋯」
執事「ちっちゃい肉球⋯⋯」
執事「ガッテム！　こんなのどうすりゃ良いんだ！」
？？？？「構わん。出る」
執事「いや、しかし⋯⋯」
？？？？「僕は誉家の次期当主だぞ」
？？？？「やってやるさ⋯⋯」
執事「ご立派です。しかし⋯⋯」
？？？？「ええい！」
執事「ぼ、坊ちゃまーーーっ!!」

〇屋敷の門
得曲廉人（えくせれんと）「いってきま〜す」
「坊ちゃまーーっ！」
執事「いけません！」
執事「今、通学路にはネコチャンがっ！」
得曲廉人（えくせれんと）「わかっている」
執事「めちゃくちゃカワイイですよっ！」
得曲廉人（えくせれんと）「承知の上だ」
執事「せめて護送させてください」
執事「一個師団、いつでも出撃可能です」
得曲廉人（えくせれんと）「不要だ」
得曲廉人（えくせれんと）「今日も任務ご苦労」
得曲廉人（えくせれんと）「貴殿らに任せておけば地球の平和は安泰だな」
執事「嗚呼⋯⋯　お褒めの言葉を頂戴してしまったぞ⋯⋯」
執事「身に余る光栄だ⋯⋯」
執事「しかし何という覚悟だ⋯⋯」
執事「ああ。しかも自らのおみ足で登校されるとは⋯⋯」

〇通学路
得曲廉人（えくせれんと）「くっ⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「大見得を切ったものの⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「なんてカワイイんだっ！」
得曲廉人（えくせれんと）「庶民はこんな誘惑を振り切って」
得曲廉人（えくせれんと）「毎日登校しているというのか⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「くっ！　近寄るな！」
得曲廉人（えくせれんと）「抱きしめたくなる！」
得曲廉人（えくせれんと）「遅刻したら末代までの恥⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「頼む。私を学校へ行かせてくれ」
得曲廉人（えくせれんと）「くっ、ときめく⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「もう、だめ、だ⋯⋯」
民子「誉君、何してんの？」
得曲廉人（えくせれんと）「おお！　庶民！」
民子「民子ね。いい加減名前覚えて」
得曲廉人（えくせれんと）「今日も美しいな」
得曲廉人（えくせれんと）「天使が舞い降りてきたのかと思ったぞ」
民子「はいはい。いつもありがと」
民子「あ、猫⋯⋯」
民子「ほら、シッシッ！」
得曲廉人（えくせれんと）「あ⋯⋯」
民子「ほら、さっさと学校行くよ」
得曲廉人（えくせれんと）「ネコチャン⋯⋯」
民子「猫がどうかしたの？」
得曲廉人（えくせれんと）「いや、何でもない」
得曲廉人（えくせれんと）「しかし感謝しなくてはな」
得曲廉人（えくせれんと）「礼だ。受け取ってくれ」
民子「いや、いらんから」

〇学校の校舎

〇教室
先生「はい。今日は授業参観の日です」
先生「お母さんやお父さんに」
先生「普段の授業を見てもらいましょう」
民子「ねえ、誉君」
民子「アレって誉君のパパとママだよね？」
得曲廉人（えくせれんと）「うん？」
👍（いいね）「母さんや⋯⋯」
賛美（びゅうてぃほう）「何ザマス？　あーた」
👍（いいね）「折角の息子の授業参観だ」
👍（いいね）「少々地味な格好じゃないか？」
賛美（びゅうてぃほう）「お子さん達が主役ザマス」
賛美（びゅうてぃほう）「これくらいでよろしくてよ」
👍（いいね）「ならマスコミの取材は断らなくても良かったんじゃないか？」
賛美（びゅうてぃほう）「会見だけで済ませたザマス」
民子「誉君の家っていつもマイペースだよね」
得曲廉人（えくせれんと）「庶民の生活を理解すべく、合わせているのだ」
得曲廉人（えくせれんと）「我が親ながら立派だよ」
民子「あっそう⋯⋯」
先生「それじゃあ、この問題のわかる人！」
得曲廉人（えくせれんと）「はいっ！」
👍（いいね）「おお⋯⋯　なんという見事な挙手だ」
賛美（びゅうてぃほう）「堂々とした佇まいザマス⋯⋯」
👍（いいね）「見える⋯⋯　見えるぞ⋯⋯」
👍（いいね）「あれはまるで⋯⋯」

〇ピラミッド
嘉賞「天高く聳える金字塔!!」

〇教室
👍（いいね）「あんなに⋯⋯　あんなに立派になって⋯⋯」
賛美（びゅうてぃほう）「全米が泣いたザマス⋯⋯」
👍（いいね）「今夜は⋯⋯　赤飯だな⋯⋯」
先生「はい。じゃあ誉さん」
先生「前に出て来て、黒板に答えを書いてください」
得曲廉人（えくせれんと）「うむ！」
得曲廉人（えくせれんと）「なん⋯⋯　だと⋯⋯　？」
　　７×７＝
得曲廉人（えくせれんと）（七の段⋯⋯　だって？）
得曲廉人（えくせれんと）（九九の中でも最難関と悪名名高いあの⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（しちいちが、しち⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（しちに、ぢゅう、し⋯⋯？）
得曲廉人（えくせれんと）（だ、駄目だ⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（こんな事をしていては日が暮れてしまう）
得曲廉人（えくせれんと）（答えは恐らく天文学的な数字になる筈⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（ポケットの中に入っているスマートゥフォンを使えば⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（駄目だ⋯⋯　お父様とお母様もご覧になっている⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（何より誉家次期当主が、そんな姑息な手を使う訳にはいかない⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）（やってやる⋯⋯　やってやるぞっ！）
👍（いいね）「どうした？　ピクリとも動かなくなってしまったぞ⋯⋯」
賛美（びゅうてぃほう）「あ、あーた！　アレは⋯⋯　ッ!!」
「メガネッ!!」
👍（いいね）「バカなっ！　今まで裸眼で授業を受けていたというのかっ！」
賛美（びゅうてぃほう）「でもこれなら⋯⋯」
賛美（びゅうてぃほう）「IQは何倍にも跳ね上がるッ!!」
👍（いいね）「良し⋯⋯　往け！　得曲廉人！」
👍（いいね）「無限大の彼方までっ!!」
得曲廉人（えくせれんと）（見ていてください。お父様⋯⋯　お母様⋯⋯）
得曲廉人（えくせれんと）「これが！　私の！　真のチカラですッ!!」

〇数字
得曲廉人（えくせれんと）「九九には必勝法が存在する⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「その段の数字を順番に足して行く事だッ！」
得曲廉人（えくせれんと）「即ち⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「７＋７＋７＋７＋⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「くっ！」
得曲廉人（えくせれんと）「やはり脳への負担が大きい⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「耐え切れるか!?」
得曲廉人（えくせれんと）「いや、やるしかない⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「私の身体よ⋯⋯　もってくれッ!!」

〇教室
得曲廉人（えくせれんと）「こ、答えは⋯⋯」
　　49
先生「正解です。よく出来ました」
得曲廉人（えくせれんと）「やった⋯⋯　やったぞ⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「成し遂げたんだ⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「やったんだ！」

〇花火
👍（いいね）「見たか？　なあ、見たか？」
賛美（びゅうてぃほう）「ええ⋯⋯　見ました。見ましたとも⋯⋯」
👍（いいね）「小さい子供だと思っていたが⋯⋯」
👍（いいね）「いつの間にか、男の顔になって⋯⋯」
賛美（びゅうてぃほう）「今夜はパーリィザマス⋯⋯」
👍（いいね）「ああ。全世界同時中継だ」
賛美（びゅうてぃほう）「各国の首脳にも祝辞をお願いするザマス」
👍（いいね）「国会に法案を提出しよう⋯⋯」
👍（いいね）「今日は⋯⋯　『七の段攻略記念の日』とする！」

〇学校の校舎

〇教室
得曲廉人（えくせれんと）「嗚呼、今日も素晴らしい授業だった⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「またひとつ賢くなってしまったぞ」
得曲廉人（えくせれんと）「ノーベル賞受賞も遠くないな」
（うん。まあ、何て言うか⋯⋯）
先生「はい。それじゃみんな手を合わせて〜⋯⋯」
「いただきます！」
得曲廉人（えくせれんと）「はも⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「こ、これは⋯⋯」
民子「あ〜はいはい」
民子「『シェフを呼んでくれ』って言うんでしょ？」

〇地球
得曲廉人「美ーーーーー味ーーーーーーーッ!!!」

〇教室
得曲廉人（えくせれんと）「何という美味だ⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「栄養面を考えただけでなく、」
得曲廉人（えくせれんと）「美味しさにも拘るなど⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「文化遺産に登録すべき、至高の一品と言っても良い⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「だが⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「このすべては命⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「命を頂戴せねば命を繋げないなんて」
得曲廉人（えくせれんと）「食物連鎖というのは残酷だな⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「人とは何と罪深い生き物なのか⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「何故神はここまで困難な試練を与えるのか⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「嗚呼、私には耐えられない⋯⋯」
民子「珍しいね。誉君がそんな事言うなんて⋯⋯」
民子「いや大袈裟なのはいつもの事だけど⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「女教師よ。残しても構わないだろうか？」
得曲廉人（えくせれんと）「どうか愚劣な私を許してほしい」
先生「誉さん⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「うむ⋯⋯」
先生「ニンジンもピーマンも食べなきゃダメよ」
民子「あ、そういう事⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「なん⋯⋯　だと⋯⋯？」
先生「好き嫌いをしていたら大きくなれませんよ？」
先生「嫌いなものでも頑張って食べましょう」
得曲廉人（えくせれんと）「いや、しかし、それは⋯⋯」
民子「美味しいよ？」
得曲廉人（えくせれんと）「女教師よ⋯⋯　今日も貴女は美しい⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「まるで、あの〜、ほら⋯⋯」
得曲廉人（えくせれんと）「美の女神アフロディーテがこの世に顕現したかのような⋯⋯」
先生「先生は神様なの？」
先生「じゃあ神様の言う事はきかなきゃね？」
得曲廉人（えくせれんと）「あ、ああ〜⋯⋯」
民子「ごまかし作戦失敗だね〜」
得曲廉人（えくせれんと）「慚愧の極み!!」
　　※このあと頑張って食べました。