一回戦 マー君【エントリーNo.0063 尋常スカル】(脚本)
〇大劇場の舞台
雪乃「雪乃でーす」
ガイコツ「リン酸カルシウムでーす」
「二人合わせて、尋常スカルでーす」
ガイコツ「最近、墓地行ってる?」
雪乃「まぁ、いかないね」
雪乃「とりあえす入会してみたジムくらい行かないね」
ガイコツ「わかってない。 雪乃くんは何も分かってない」
雪乃「うちは代々伝わるお墓もないし、 お盆も親戚が集まるわけじゃないし」
ガイコツ「あと、いとこに冷たい」
雪乃「いとこは関係ないだろ!」
ガイコツ「じゃあ、なんで墓地いかないの?」
雪乃「え?」
雪乃「マー君、墓地にいるの?」
雪乃「まさか?!」
ガイコツ「墓掃除のアルバイト大変みたいよ」
雪乃「驚かすなよ! てっきりマー君が死んだのかと」
ガイコツ「死んだよ」
雪乃「いやいやいやいやいや」
雪乃「先月東京に遊びに来てたし」
ガイコツ「夢の国で遊んだーってやつね」
雪乃「昨日だってDM来てたし」
ガイコツ「俺好きな人ができたんだ、ってやつね」
雪乃「・・・」
雪乃「俺のスマホ見た?」
ガイコツ「見てないよ」
ガイコツ「ガイコツは指紋認証できないし」
雪乃「俺のスマホ顔認証なんだよね」
ガイコツ「顔認識ならいけるな」
雪乃「いけないだろ!顔違うし!」
ガイコツ「自分に似てる人って、 自分では認めないらしいよ」
雪乃「これで顔認証できたら 完全にスマホが有給休暇取ってるわ」
ガイコツ「うわー、ブラック持ち主 たまには有給休暇くらいあげないと」
雪乃「夜中は電力をお腹一杯おごってるよ!」
ガイコツ「金で解決か 似てる顔でもここまで違うか」
雪乃「似てないだろ!」
ガイコツ「いや?似てるだろ」
ガイコツ「いとこ以上、ドッペルゲンガー未満だと思うんだが」
雪乃「そうだ、いとこ! マー君に何かあったのか?!」
ガイコツ「だから墓地」
雪乃「え、まさか本当にマー君・・・」
ガイコツ「じゃあ、ちょっと墓参りやってみようか」
雪乃「墓参り?」
雪乃「漫才は普通、コンビニとかじゃないの?」
ガイコツ「じゃあ雪乃が墓参りする人ね 俺が久しぶりに人が訪れた墓石やるから」
雪乃「普通、コンビニ店員と強盗だろ!」
ガイコツ「はい、用意。スタート!」
〇墓石
雪乃「は、墓参りなんて久しぶりだなぁ」
ガイコツ「・・・」
雪乃「マー君が死んで一年かぁ」
ガイコツ「・・・」
雪乃「またマー君に会いたいなぁ 天国で何してるかなぁ」
ガイコツ「・・・」
雪乃「知ってるか? 俺、漫才師やってるんだぜ?」
ガイコツ「・・・」
雪乃「おい!」
〇大劇場の舞台
ガイコツ「どした?」
雪乃「よく考えたら墓石しゃべんないだろ」
雪乃「一方的に話かけてるだけだわ!」
ガイコツ「墓石だからね」
雪乃「少しは喋れ!」
ガイコツ「石が喋るみたいなファンタジー あんまり好きじゃないんだけど」
雪乃「じゃあなんでガイコツが喋ってるんだ!」
ガイコツ「口があるから喋るに決まってるだろ!」
雪乃「逆ギレ?」
雪乃「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
雪乃「墓参り、やる! やります! やらせて下さい! 参らせて下さい!」
ガイコツ「じゃあ、雪乃が墓参りする人で 俺がお墓で自殺した人ね」
ガイコツ「よーい、スタート!」
〇墓石
雪乃「は、墓参りなんて久しぶりだなぁ」
雪乃「あれ、こんな所にロープが」
雪乃「もしかして、ここで自殺した人が?」
ガイコツ「墓参りいらっしゃいませー! 何をお探しですかー?」
雪乃「ど、どうも」
ガイコツ「村井家、矢野家、山田家。 期間限定、御手洗家の墓もございます」
雪乃「じゃ、じゃあ、山田家で」
ガイコツ「今なら山田家はセットの方が お参り得となっております いかがですか?」
雪乃「セット?」
ガイコツ「菊の花、お線香、虫よけがついてます」
雪乃「じゃ、じゃあそれで」
ガイコツ「お飲み物は何になさいますか?」
雪乃「まぁ、マー君ビール好きだし・・・ じゃあ、缶ので」
ガイコツ「かしこまりました」
ガイコツ「ご一緒に徳川家もいかがですか?」
雪乃「じゃあ、お願いします」
ガイコツ「ありがとうございます ご墓参り、繰り返させていただきます」
ガイコツ「山田家セットと徳川家で、 お飲み物はビール」
雪乃「待てぃ!」
ガイコツ「どうしました、お客様?」
雪乃「スマイルやめい!」
雪乃「墓参りだろ! ハンバーガー買いに来たんじゃない!」
ガイコツ「え?」
雪乃「そもそもご一緒に徳川家ってなんだよ!」
ガイコツ「ご先祖の霊に失礼ですよ!」
雪乃「俺のご先祖じゃない!」
ガイコツ「誰のご先祖ですか?!」
雪乃「徳川家だろ! そんなご先祖知るか!」
ガイコツ「ご先祖を大事にしないと 呪われますよ!」
雪乃「呪えるもんなら呪ってみろ!」
雪乃「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ガイコツ「ご先祖はいつでもあなたを見てますよ」
雪乃「ごめんなさい 徳川家のご先祖様」
雪乃「って、オイ!」
〇大劇場の舞台
ガイコツ「なんだよ、何度も」
雪乃「墓で自殺した霊やるって言ったよな」
ガイコツ「はい」
雪乃「なんかいらっしゃいませーって 受け付けたよな」
ガイコツ「はい」
雪乃「おかしいだろ!」
ガイコツ「雪乃は最近の墓参りを知らないんだよ 墓参りしてないから」
雪乃「元々墓参りなんて人がいないからな!」
ガイコツ「それは無人化店舗 最近は有人化店舗増えてるんだよ」
雪乃「なんでだよ! 時代と逆行してんだろ!」
雪乃「無人化してAIが喋るんだよ」
ガイコツ「人がいないお墓でAI喋ったら怖いだろ!」
雪乃「自殺した霊が喋る方が怖いわ!」
ガイコツ「お墓と霊はハンバーガーとポテトみたいなもんじゃね?」
雪乃「もう終わりな 結局マー君出てこないし」
ガイコツ「出てきたよ」
雪乃「どこに?」
ガイコツ「ずっと出てましたよ ほら」
雪乃「・・・」
雪乃「マー君のDMの事を知ってるのは マー君と俺だけ」
雪乃「ガイコツでわからなかったけど お前、まさか?!」
ガイコツ「はい、死んだマー君です」
雪乃「ええええ?!」
雪乃「俺の相方は?」
ガイコツ「呼んだ?」
雪乃「えええええ」
ガイコツ「驚きすぎだろ、相方だろ」
ガイコツ「ちょっと待って 今は俺が相方だから」
ガイコツ「何言ってるんだ ただのいとこだろ?」
ガイコツ「ただのじゃない! 雪乃の様々な黒歴史を知るいとこ・・・」
雪乃「言うな!」
ガイコツ「黒歴史?」
ガイコツ「中学の頃のペンネームが・・・」
雪乃「漆黒の堕天使の事は言うな!」
ガイコツ「自分で言ってるし」
ガイコツ「どっちの相方にする? 元の相方か、いとこの私か」
雪乃「えーっと・・・」
雪乃「ごめん、マー君 やっぱり元の相方がいいわ」
ガイコツ「わかりました 元の相方ですね」
雪乃「ああ」
ガイコツ「ご一緒に 徳川家はいかがですか?」
雪乃「もういいよ!」
「どうもありがとうございました!」
フィクションならではの展開が素晴らしい。なぜかいつの間にか最後はトリオ漫才に…。「相方は俺がやる」「いや俺が」「どうぞどうぞ」のダチョウ倶楽部的展開になるかと思ったけど…。いっそのことガイコツ同士でコンビをくんで「どうもー、ガイコ2(ツー)でーす」でリアルな「幽体離脱〜」をしてほしい。でもザ・たっちのパクリはダメですね…。
斬新さの塊 面白さの塊ですね!!
骸骨との漫才ぜひ M ー1 で見てみたいです!
漫才やお笑いは特殊な才能 なので、素晴らしいです 頑張ってください😆
オチがすごくパンチきいてました! 墓参りの概念さえ変えてしまう軽快さもよかったです。亡くなった親友への想いはそれでもよく伝わりました。