〇大劇場の舞台
ユズコ「はいどーも、こんにちわー」
ユズコ「腐っても花ですー」
ビリジアンヌ「へい、いらっしゃい！」
ユズコ「ごめん 突然のゲリラ豪雨くらい対応できない」
ビリジアンヌ「そうか、届かないか」
ユズコ「届いてないわ 通信速度が１Kbps以下だわ」
ビリジアンヌ「Hey！ IRASSHAI！」
ユズコ「なぜ私が日本語理解できないと思った？」
ビリジアンヌ「塀！　洗ってらっしゃい！」
ユズコ「路上アートでも書かれたんか！」
ビリジアンヌ「ペイ、払いなさい！」
ユズコ「なにを払うのよ！」
ビリジアンヌ「寿司屋は時価でしょ！」
ユズコ「あ、寿司屋だったのね」

〇立ち食い蕎麦屋の店内
ビリジアンヌ「なに握ります？」
ユズコ「待て」
ビリジアンヌ「マテ貝いっちょー！」
ユズコ「待て待て待て待て！」
ビリジアンヌ「追加マテ貝よんちょー！」
ユズコ「違う違う あんたが握るの？」
ビリジアンヌ「あ、女性差別ですか？」
ビリジアンヌ「女性は手の温度が安定しないから 味が定まらないとかいう説論者ですか?!」
ユズコ「いや、そうじゃなくて」
ビリジアンヌ「年齢差別ですか？ シャリ炊き３年、合わせ５年、握り一生ってやつですか?!」
ビリジアンヌ「だったら機械が作ってる回転寿司は 寿司じゃないですよね！」
ビリジアンヌ「回転刺し身のせ酢飯ですか?!」
ビリジアンヌ「昨日のランチは カイテンサシミノセスメシローですか?!」
ビリジアンヌ「「今日の昼、カイテンサシミノセスメシローいく？」 「でも、煮た薄い牛肉のせ汁だくぶっかけ飯家もいいよね」」
ユズコ「牛丼は関係ないでしょ！」
ビリジアンヌ「牛も寿司も発音似てるから 似たよーなもんでしょ！」
ユズコ「似てない！ 感謝と反社くらい違う！」
ビリジアンヌ「じゃあなにを握るのよ！」
ユズコ「待て」
ビリジアンヌ「マテ貝いっ・・・」
ユズコ「無限ループ!!」
ユズコ「りんごゴリララッパパセリが 永久に続くしりとりか!!」
ビリジアンヌ「わかったわよ。なにを待つのよ」
ユズコ「あなたが握るのよね」
ビリジアンヌ「うん」
ユズコ「あなた、言いにくいけどアレよね」
ビリジアンヌ「アレって？」
ユズコ「ゾンビよね」
ビリジアンヌ「うん、ゾンビだよ♥」
ユズコ「腐ってるんでしょ」
ビリジアンヌ「大丈夫！ ネタは朝市で仕入れたばかりだから」
ユズコ「いや、あなたの手が腐ってるのよ 不衛生でしょ？」
ビリジアンヌ「ちゃんとアルコールで消毒してるし！」
ユズコ「そういう事じゃないのよ」
ビリジアンヌ「アルコール、すっごいしみるんだからね 手の皮が全部めくれてるから」
ユズコ「なんか、いや！」
ビリジアンヌ「こんなに努力してるのに・・・」
ビリジアンヌ「早朝から市場に行って目利きして・・・」
ビリジアンヌ「お店の掃除は大将が来る前に全部済ませて」
ビリジアンヌ「今日のおすすめをSNSに投稿して」
ビリジアンヌ「エゴサして、お礼を言ったり」
ビリジアンヌ「全てはお客さんの笑顔のため」
ビリジアンヌ「ねぇ」
ビリジアンヌ「ゾンビが美味しいお寿司を お客さんに届けちゃいけないんですか？」
ユズコ「わかる、んだけどさ・・・」
ビリジアンヌ「あと滲み出る汁は寿司につかないよ！」
ビリジアンヌ「ちゃんとビニール手袋してるから！」
ユズコ「はじめからそれを言いなさいよ！」
ユズコ「それでも、なんかイヤだけど」
ビリジアンヌ「清潔でしょ！」
ユズコ「ビニール越しにキスするみたいなイヤさ」
ビリジアンヌ「じゃあビニール取るから！」
ユズコ「やめて！ そのままで!!」
ユズコ「そのままでよろしくお願いいたします」
ビリジアンヌ「なに握る？」
ユズコ「じゃあおまかせで」
ビリジアンヌ「松、竹、埋め、どれにします？」
ユズコ「明らかに一個おかしいのが」
ビリジアンヌ「なに？」
ユズコ「埋め？」
ビリジアンヌ「埋め、一丁！」
ユズコ「なに？　なに？」
ビリジアンヌ「埋めてたコハダになりまーす」
ユズコ「なんで埋めてたの・・・ しょうゆは？」
ビリジアンヌ「むらさき、こちらになりまーす」
ユズコ「なんか紫色の液体なんだけど！」
ビリジアンヌ「当店の醤油は何かで出汁をとってます！」
ユズコ「なんなのか教えて！」
ビリジアンヌ「こちら、ホンマ　グロになります！」
ユズコ「ホンマグロね」
ビリジアンヌ「ホンマ　グロです！」
ユズコ「切る所おかしい！」
ビリジアンヌ「次、こちらネギドロになりまーす」
ユズコ「何がドロドロしてるの・・・」
ビリジアンヌ「こちら、ゾンキモになりまーす」
ユズコ「ゾン？　まさか？」
ビリジアンヌ「はい、ゾンビのキモでーす」
ユズコ「もういい！ 食べられない！」
ビリジアンヌ「ありがとうございました！ おあいそ！」
ユズコ「お金取るの?!」
ビリジアンヌ「百万円になりまーす」
ユズコ「払えるか！」
ビリジアンヌ「じゃあ体で払ってもらうわ！」
ユズコ「そういうセクハラなボケはやめた方が」
ビリジアンヌ「違うよ あなたが寿司ネタになるんだよ」
ユズコ「殺す気か！」
ビリジアンヌ「違う！さばくだけ！」
ユズコ「お前こそ、法にさばいてもらえ！」
ビリジアンヌ「大将！私の活け造りいっちょー！」
ユズコ「いい加減にしろ！」
「どーもありがとうございました！」