エピソード3(脚本)
〇明るいリビング
?「こ、この部屋もやっぱり教室じゃない」
?(入る直前は確かに教室だったはずなのに)
?(何だろうこの部屋、リビング? かなぁ?)
?「一通り、見たけど 変わったものもないな──」
ただ一つ、例外があるとするなら
?(この写真たて、机の上に飾られていたのに、写真が入っていない)
?(これって────)
?「な、何の音」
思わず写真たてを取りこぼす
それと同時に部屋の引き戸が”ガラリ”と横にスライドする
?「終わったよー」
?「お、終わったって?」
?「見てみるといいよ」
〇大きい病院の廊下
?「え? なんで? 今度は病院?」
短い間に似たようなことは何度も経験したがこれまでとは明確に違っていた
もう一度、
さっきまでいた教室に入ってみる
〇明るいリビング
?(やっぱり同じ部屋・・・・・・ 今までも繋がりはめちゃめちゃでも、 間取り自体は変わっていなかったのに・・・・・・)
〇大きい病院の廊下
再度部屋を出るも、
やはりさっきと同じ病院の廊下だ
?(まだボクの知らない法則があるのか? それとも──)
ハコ「? 何を難しい顔をしてるの?」
ハコ「あぁ、 廊下が変わっていたから驚いたんだね」
ハコ「うーんと、簡単に言うと、 さっきまでの学校の廊下は ”消し飛んじゃった”んだ」
?「────」
?「・・・・・・何だって?」
ハコ「お兄ちゃんが本気で蹴った衝撃で、 ”どうしようもなく破壊されてしまった”」
ハコ「だから、 ”世界としては別のパーツで補う” しかなかったんだと思うよ」
ハコ「そんなことしてるから、 ただでさえめちゃくちゃなこの世界が」
ハコ「もっとめちゃめちゃに混ざっちゃうんだけどね」
?「そ、そのお兄ちゃんは────」
ハコ「”オトくん”」
?「え?」
ハコ「お兄ちゃんは私以外の人間に ”お兄ちゃん” って呼ばれると怒るんだ」
ハコ「だから、お兄ちゃんのことは名前で ”オトくん” って呼んで」
ハコ(オトくんのことを お兄ちゃんって 呼んで良いのは私だけだしね)
?「う、うん」
?(なんか──迫力がすごいな)
?「──それで、オトくんはどこに行ったの? 見当たらないけど」
?(見当たらないといえば、あの── 炎の怪物も だけど)
ハコ「お兄ちゃんは あまり長い間この世界に居られないの」
ハコ「私が”呼び出し”をして数分間だけこの世界に来られるの」
?(──その、呼び出しってのは あの指を耳に差し込む アレのことか)
?(出来ればもう、見たくない 痛々しくて目を背けたくなる光景だった)
ハコ「どうしたの?」
?「いや、何でもないよ」
ハコ「そう? じゃあ私からも質問だけど、 あなた、名前は?」
ピキリ
?「・・・・・・ごめん 思い出せないみたいだ」
ハコ「? 記憶消失? それ自体は珍しくはないけど、 自分のことまで忘れているのは 珍しいわね」
?「記憶消失は珍しくない?」
ハコ「えぇ ここに”落ちてくる”時の衝撃で記憶を失ってしまうことはたまにあるの」
ハコ「うーん」
ハコ「ここからは、移動しながら話そうかな」
?「移動?」
?「それってどこに?」
ハコ「私の仲間のとこ!!」