100年後世界の家庭

栗スナ

ある課程(脚本)

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〇大企業のオフィスビル
ユウキ「さて今日も仕事だな・・・そろそろ仕事モードになるか・・・」
  僕の名前はユウキ。ここ東京で静かに生きている・・・。
  100年ほど前人類は突然の大災害に見舞われほとんどが死に絶えた。一部残った人たちは以前と同じ生活をしていた・・・
  それは僕も僕の家族も同じ。この町で以前と同じ暮らしを取り戻そうとするかのようにがむしゃらに働いていた・・・
ハズキ「おはようございます。社長」
ユウキ「おはよう、ハズキ君。今日も一日頑張ろうね」
ハズキ「はい」
フクヨシ「すみませーん。誰かいますか」
ユウキ「おや、お客さんかな。どうしました?」
フクヨシ「耐震サポートの者です。ユウキタワーの点検に来ました。ビルの中を見させてもらいますね」
ユウキ「ああ、耐震サポート社の方ですか。もうそんな時期か・・・はい、どうぞ」
フクヨシ「壁と天井の巡回して来ますね」
ハズキ「あれ、今日点検があるなんて聞いてたかな・・・」
ユウキ「いや、間違いはないでしょう。毎年のことだしね」
ユウキ(この100年大きな地震はないものの、備えはしておかないとな・・・)
キボウ「社長。今ユウキタワーの五階フロアに新しく参入したいと言う企業さんが訪問してきました」
ユウキ「どんな企業ですか」
キボウ「有機栽培をしている農家の野菜を集めて販売をする企業さんです、野村共有野菜という名前で・・・」
ユウキ「ああ、あそこか。わかった。すぐに行きます」
キボウ「よろしくお願いします」
ハズキ(この人口の少ないご時世なのに毎日忙しいな、うちの会社は・・・)

〇研究施設の玄関前
オコシ「どうも有機栽培販売をやっております野村オコシです」
ユウキ「ユウキタワーの管理とテナントをしていますユウキです。よろしくお願いします」
ユウキ「さっそくですが、五階をお借りしたいということでしたね?」
オコシ「ええ。そうです。無農薬の健康な野菜を高所の畑で栽培している農家さんから集めておりまして・・・」
ユウキ「ええ」
オコシ「こちらに資料がございます」
オコシ「これなんですが、わが社は災害に備え安全な栽培に基づく有機農法をしておりまして、供給が滞ることはなく・・・」
ハズキ「社長、大変です。さっきの耐震サポートの方が!」
ユウキ「え」
ハズキ「今人質をとって30階に立てこもっています!」
ユウキ「そんな・・・こんなことが・・・」
ハズキ「どうなさいます?」
ユウキ「うーん・・・」
ユウキ「よし、とりあえず・・・みんなを避難だ。全フロアに緊急放送を入れよう!」
オコシ「待て」
オコシ「私の指示に従ってもらおうか」
オコシ「二人とも手を上げてしゃがめ!」
ユウキ「・・・仲間か」
ハズキ「・・・」

〇研究施設の玄関前
オコシ「夕方になったな」
ユウキ「こんなことが成功すると思わない方がいいですよ」
オコシ「余計なお世話だ。いらんおしゃべりは慎んでもらおうか」
ユウキ「警察だって動き出す頃だ。異変を感じてね」
オコシ「ふん」
ユウキ「あ」
オコシ「む。このノイズは!」
ハズキ「そっか!」
ユウキ「おうちモードですね」
ハズキ「社長。就業でーす」

〇マンション群
ユウキ「いやー、今日も一日楽しかった」
キボウ「どうだ、ユウキ。一か月前より成長したか」
ユウキ「社長としての責任感は出てきたかな」
ハズキ「なかなか板についてきたよ」
ユウキ「ありがとう。兄さん姉さん」
オコシ「わしはまた明日もテロリスト役だな。悪人の気持ちも少し分かるようになった」
ユウキ「うん、頑張ってよ父さん。今日はマジビビった」
オコシ「ははは」
フクヨシ「明日が正念場だな。ま、今日は酒でも飲んでから寝よう」
ユウキ「だめだよ、叔父さん。明日二日酔いじゃ演技にさしつかえるよ」
フクヨシ「演技じゃないけどな」
ユウキ「まあね」
アスカ「明日は私の出番ね。この恰好でいいかしら」
ユウキ「いいね母さん。それは面白い。そんなテロリストが出てきたらびっくりするよ」
アスカ「楽しみだわー」
  人口が少なくなった未来都市
  そこでは人と人の出会いが少なくなり、成長の機会がないということで
  人工的に人生がつくられるようになった
  仕事モードというのがそれだ。特定のノイズを聞くと記憶が変わり、
  一時的に別人の役になることができるのだ
  これは企業がつくった体験プログラムで、人々は日中は別人の人生を送っている・・・

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