闇の咆哮

ガンダーラ磯崎

怪しい泥棒計画(脚本)

闇の咆哮

ガンダーラ磯崎

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闇の咆哮
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〇古い倉庫の中
  A港にある物流倉庫
  作業を終えた3人は、
  人が居なくなったのを確認した後
  計画に向けての最終確認をしていた。
東都「笹谷さん?本当にやりますよね?」
笹谷「もちのロンよ」
東都「馬野はイケるか?」
馬野「当たり前じゃないっすか。 男に二言は無いっしょ」
東都「分かった。じゃあ計画のおさらいだ」
東都「土曜の深夜3時半。 ガロン港の第六倉庫前に集まり ボートに乗ってヴィラン島へ向かう」
馬野「本当にそのボート大丈夫なんすか?」
東都「ああ。 知り合いの業者に頼んで 探知機やレーダーに反応しない ステルス機能を装備した」
東都「エンジンも防音素材の部品を使ってるから かなり音が抑えられる」
馬野「さすが用意周到っすね 抜け目ねえ」
東都「ヴィラン島に着いたら 南東2キロ先に 目的の邸宅が建っている」
東都「右側の柵がさびて 大人1人分すり抜けられる 隙間が空いている」
馬野「フへへへ。 ヒデえセキュリティっすね」
東都「この隙間から俺と馬野が入って 邸宅に侵入する」
東都「笹谷さんは周りの様子を見ながら ボートで移動してください」
笹谷「了解」
東都「邸宅に入ったら2階奥の書庫に入り お宝を盗む」
東都「金庫のナンバーは控えてるか?」
馬野「32094133709542672・・・」
東都「わざわざ覚えたのか?」
馬野「腕に自分でナンバーを彫ったんすよ」
東都「フッ。イカれてやがる」
馬野「へへへへ!」
馬野「この計画が成功すりゃ 一生遊んで暮らせますからね」
馬野「腕に彫るくらいワケないっすよ」
笹谷「墓穴は掘らないようにね」
東都「金庫を開いて「闇の咆哮」を盗んだら、 書庫の窓からロープをつたって脱出する」
東都「その後、二手に分かれ逃げる」
東都「笹谷さん、ボートの停泊場所は 覚えてますよね?」
笹谷「アリス海岸から南西3.2キロの岩礁」
東都「そうです。俺がライトを照らしたら、 海岸まで来てください」
笹谷「あの伝説のお宝「闇の咆哮」を 楽しみに待ってるよ」
笹谷「くれぐれも「方向」を間違わないようにね」
東都「ボートに乗ったら、 しばらくこの無人島に行き、 様子を伺おう」
馬野「一世一代の大勝負かあ。 ワクワクで震えが止まらねえ・・・」
東都「くれぐれも実行する時は、落ち着いてくれよ」
馬野「はい、クールに粛々と」
笹谷「成功したら、粛々と祝勝会をあげようね」

〇島

〇ファンタジーの学園
  『闇の咆哮』

〇海
  決行当日
  深夜4時過ぎ
  3人は予定通り、ヴィラン島へ到着した。

〇ファンタジーの学園
東都「あれが目的の邸宅だ」
馬野「邸宅っつうか城っすね。 写真で見た通りだ」
東都「右側の鉄柵に回るぞ」
馬野「イエッサー」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
東都「この鉄柵だ」
馬野「こりゃ余裕で入れる」
東都「敷地に入ったら2階のベランダに  ロープを投げて侵入するぞ」
馬野「ついに練習の成果を出す時が来ましたわ」

〇華やかな裏庭
東都「よし。縄を投げてくれ」
馬野「行きますよー」
馬野「よいしょっ!」
馬野「よっしゃ」
東都「やるな。1発で成功じゃないか」
東都「こっから忍び足でベランダに登ろう」
馬野「へい」

〇明るいベランダ
東都「この窓を開ければ奥に書庫がある」
馬野「あと少しっすね」
東都「ここからは俺に任せろ。 音一つ立てずに窓を切ってみせる」
馬野「勉強させてもらいますわ」

〇荒れた倉庫
東都「ここを出て、 突き当たりが 書庫だ」
馬野「金庫のナンバーは任せてください」

〇牢屋の扉(鍵無し)
東都「ここだ」
馬野「はあ・・・震えて来ますわ」
東都「誰もいないな?」
馬野「大丈夫っす」
東都「よし。入るぞ」

〇おしゃれな居間
東都「この金庫だ。 この中に「闇の咆哮」が眠っている」
馬野「それじゃあダイヤルを回します。 周り見張っててください」
東都「ああ」
馬野「開いた!」
東都「よし!」
馬野「それじゃあ・・・中を開けますよ・・・」
東都「ついに「闇の咆哮」が俺らの手に・・・」
馬野「・・・・・・これっすか?」
東都「もちろん!! まごう事なき「闇の咆哮」だ!!」
馬野「・・・なんか、砲丸みたいっすね・・・」
東都「このズシリとした重み。鈍い輝き。 はあ・・・ため息しか出ねえ・・・」
馬野「そうなんすか・・」
東都「ん?・・・何か睡魔が・・・」
馬野「俺も眠気が・・・」
  東都と馬野は、そのまま眠りについてしまった。

〇魔王城の部屋
  気がつくと2人の前に、正体不明の人物が現れた。
マグワイアー「ウガガガガガ!ウガガガガガ!ウガー!」
バロック「遠いとこからようこそおいでなさった」
ミリアン「良い男が来たのう。ヴェへへへ!」
バロック「お前たち。 お客さんにごちそうを持って来なさい」
マグワイアー「ウガガガー!!」
馬野「東都さん・・・俺ら、生きて帰れるんすか?」
東都「・・・・分からん」
マグワイアー「ウガー!!!!」
ミリアン「ほれ!」
ミリアン「美味いぞ!食らえ!ヴェッヘヘ」
バロック「熟成ショートケーキと、 三葉虫のムニエル」
バロック「生レア歯茎の活け造り そしてコブラ汁じゃ」
バロック「さあ、冷めないうちに召し上がりんしゃい」
馬野「ど、どうします?」
東都「最高のおもてなしだ。 ありがたくいただこう」
東都「あれ?・・・思ったより悪くない。 いや、むしろ美味い」
馬野「普通にイケますね」
バロック「満足してもらったみたいじゃな」
バロック「それでは、聖なる儀式を始めよう」
東都「・・・・・・儀式?」
バロック「ああ。君らを家族として迎える儀式じゃ」
東都「いったいどういう事だ?」
バロック「闇の咆哮」
バロック「今まで数多の泥棒がこの屋敷へ来ては・・・」
バロック「この伝説の宝を盗りに来た」
バロック「・・・が、 その瞬間、泥棒達は気を失い この部屋へと運ばれ・・・ もてなしを受け・・・」
バロック「そしてこの屋敷の新しい家族となったのじゃ」
東都「・・・そ、そういう事だったのか・・・」
馬野「と、東都さん、 どういう事っすか?」
東都「今まで宝の在処が分かっているにも関わらず・・・」
東都「狙った連中は皆、消息を絶った・・」
東都「それは、「闇の咆哮」の魔力を使い 泥棒を家族にしてしまう」
東都「アンタの仕業だったのか!!」
バロック「いや、ワシではない」
バロック「ワシも「闇の咆哮」を盗み、 ここにいる者の1人じゃ・・・」
東都「何だって!?」

〇兵舎

〇魔王城の部屋
バロック「おっ、どうやら儀式が終わったようじゃのう」
バロック「さあ、新しい家族のお出迎えじゃ」
バロック「ちこうよれ。東都!馬野!」
東都「ヴァッハッハッハッハ!! バロック様〜!! 鉄くずの汁を食わせてくれ〜!! ヴェッへッへッへッハー!!!」
馬野「#€€\_^?.:<\#*“<,{{”!!!」
バロック「ホッホッホッホ! ずい分と垢抜けたのう!!」
バロック「お前たちは、今日からマグワイアと ミリアンの弟になったんじゃ」
バロック「仲良くするんじゃぞ!」
東都「マグワイア兄やん! ミリアン姉やん!」
東都「おいら腹減っトゥんどぅアガッ!!」
東都「「生タロットカードのチタンソース和え」 作ってくれよ!」
馬野「@#+<]}£,£_€}|}][+$」

〇海
  笹谷はボートに揺られ、
  ヴィラン島周辺の岩礁で
  東都からの連絡を待っていた。
  東都と馬野に装着した盗聴器から
  聴こえてくる会話により、
  笹谷は、2人の結末を悟った。

〇古い倉庫の中
  笹谷「半年前、この物流倉庫で働く事になった」
  笹谷「その後すぐ、東都と馬野がこの現場へ入って来た」
  笹谷「若い2人は当然私より仕事覚えが早く・・・」
  笹谷「周囲の目は明らかに私を
  「お荷物」として見始めた」
  笹谷「この2人を消さなければならない」

〇研究開発室
  笹谷「横領がバレて学会を追放されるまで・・・」
  笹谷「考古学者として研究を続けた」
  笹谷「私の知識と経験を使って、2人をおとしめるしかない」

〇島
  笹谷「あの禁断の島へ2人を送り込もう」

〇古い倉庫の中
  笹谷「ある日の仕事終わり」
  笹谷「東都へ「闇の咆哮」の計画を持ち掛けると・・・」
  笹谷「二つ返事で話に乗った」
  笹谷「アウトサイドの修羅場で生き抜いてきた東都も「闇の咆哮」の存在は気になっていたらしい」
  笹谷「東都は自分を慕っている馬野を説得し」
  笹谷「私の持っている「闇の咆哮」の
  極秘資料を元に・・・」
  笹谷「3人で何度も計画のシュミレーションをした」
  笹谷「そして・・・」

〇海
  笹谷「計画は成功した」
笹谷「おっ?東都からだ!」
笹谷「はい、こちら笹谷。 どうした?」
  東都「笹谷すわぁ〜ん!俺ら一生ここで暮らしますんドゥエ、帰っちゅあって〜!ヴェハハハハ!」
  馬野「<*\“?,.‘{$!\’<>\$€」
笹谷「もしもーし?もしもーし?」
笹谷「切れた・・・ ・・・・・・帰るとするか・・・」

〇古い倉庫の中
笹谷(それにしてもあいつら・・・)
笹谷(笑い声が凄まじかったなあ・・・)
笹谷(うちの家庭より遥かに・・・)
笹谷(もしかして・・・ あいつらの方が幸せなのかもしれないな・・・)

〇海
  1ヶ月後・・・

〇海辺
  笹谷は1人でヴィラン島へ向かった。
笹谷(俺の向かっている方向は、果たして・・・)
笹谷(「闇」か?それとも「光」か?)

〇ファンタジーの学園
笹谷「確かめに行こう・・・」
  ────────おわり──────

コメント

  • 前半の緊張感のある侵入・窃盗シーンから一転、怒涛の展開に驚きです。そして、笹谷さんの正体と思惑、、、何段も仕込まれた設定、イイですね!

  • 笹谷さんがチョイチョイダジャレを言うのでお気楽なだけのおじさんかと思ってたらラスボス。それを知ったら「墓穴は掘らないようにね」のセリフが怖いなと思っていたら最後にもう一捻り。全員仲良くミイラ取りがミイラになってハッピーエンド?なのかな??。面白かったです!

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