600,000,000の壁を超えて、君にプロポーズをする

右助

運命と出会った(脚本)

600,000,000の壁を超えて、君にプロポーズをする

右助

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〇山中の川
  深い山の奥。
  千人斬りを成し遂げた剣士ユニット。
  彼は生まれながらに、剣を極めることにしか興味がない。
  ──恋というものすら、知らなかった。
  恋知らぬ剣士は、ただずっと剣を振るっていた。
ユニット「俺と勝負になる奴は、もう居ない。 竜王を倒した。神霊を倒した。 俺は一体、あと何を倒せば良いんだ」
  ユニットは飢えていた。
  自らの剣を試せる場は一体、どこにあるのだろうか。
  彼はずっと戦いに飢えていた。
ユニット「眠くなってきた。 ・・・帰って寝るとしよう」

〇落下する隕石
  流星ッ!!
  天空から、ユニットへ向かってくる一筋の光ありッ!!

〇山中の川
ユニット「流れる星ッ!!! 何とも雅なことかッ!! 叩き切るッ!」
ユニット「どんな巨大隕石だろうが、俺は切り払ってみせるッ! それがどれだけ強大であろうともッ!」
  ユニットは走った。
  あの忌々しい流星を叩き切るべく、疾駆した。
  ようやく辿り着くは落下地点。
  ユニットは愛剣を構え、天からの試練を越えようとしているッ!
ユニット「勝負ッ!!!」

〇空
レア「あああああーー!!!」
  ユニットは目を疑った!
  女だ!
  女が落ちてきている!

〇山中の川
  彼は剣を鞘に収め、走った。
  そこに打算的な意味合いはない。
  ただ、失われようとしている命を保護しようとしただけだ。
ユニット「助けるぞおおお!!!」
  ユニットの超人的パワーコントロールで、女性を受け止めることに成功ッ!
  女は無傷でユニットの腕の中に収まることとなった。
ユニット「大丈夫か!?」
レア「はい・・・大丈夫、です。 あの、助けていただき、ありがとうございました」
ユニット「なっ・・・!?」
  ユニットは心臓を鷲掴みにされたような感覚を覚えた。
  こんな気持ちは初めてだった。
  神霊が放った精神魔法ですら、動じなかったユニットは今、ひどく動揺していた。
ユニット(――美しい)
  月並みな台詞しか出なかった。
  そして、彼は一つの気持ちを確信させる。
レア「あ・・・」
  女もユニットを見た瞬間、同じ気持ちを抱いていた。
  手順無用の真っ逆さま。
  そう、彼女もまた――。
ユニット「俺はユニット」
レア「私は、レア」
ユニット「俺は君に一目惚れをした。 ずっと分からなかった恋を、今知った」
レア「私も、貴方に恋をしました。 こんな気持ちは初めてです」
  瞬間ッ!!
  
  圧倒的戦気ッ!!!
近衛兵長「レアァァッ!! 連れ戻しに来たぜ、お嬢様ァァァッ!!」
レア「貴方は、お父様の近衛兵長!」
近衛兵長「魔王様からの命だッ! お前の力は、魔王様に害をなすッ!」
近衛兵長「だから殺すッ! 即殺しィッ!」
ユニット「誰の目の前で、レアさんを殺そうとしているんだァァァーッ!」
  ユニットの剣が閃いたッ!
  彼が飛ばした斬撃、数えることは無駄ッ!
  もはや「壁」となった斬撃は、まるで消しゴムで消すかのように、魔物を粉微塵にしていくッ!
  何ということだろうッ!
  血液すら飛び散らないッ!
ユニット「レアさん、アレと君の関係は?」
レア「私は魔王の娘です。 だけど、私に破邪の力が発現してしまったために、お父様から命を狙われることになりました」
レア「だから、私はここから消えます。 貴方を巻き込みたくない」
ユニット「巻き込まれたい」
ユニット「俺は君に恋をし、いつまでも近くに居たいと、そう思ってしまった。 だから、それは聞けない」
レア「私だって、ユニットさんと離れたくありません。 初恋だから・・・だけど、無理なんです」
ユニット「何故か、聞かせてもらえるかな?」
レア「お父様はもう、近衛兵長が殺されたことを知っているはず。 だから明日にでも、大軍勢を投入してくることでしょう」
  レアは拳を握りしめた。
レア「600,000,000」
レア「この数字は、魔界の全戦力です。 お父様は、全力で報復してくることでしょう。 だから──」
ユニット「それがどうした?」
ユニット「600,000,000回。 俺がそれだけ剣を振れば良いだけの話だ」
ユニット「それくらいは振れるよ、俺。 だから、俺に賭けてくれないか?」
  乙女と剣士が見つめ合う。
  そこに、もはや言葉はいらなかった。
レア「ユニットさん・・・ありがとう。 なら、私も覚悟を決めます」
レア「ユニットさんが死んでしまった瞬間、私も自決します」
ユニット「レアさん、それは・・・!」
レア「私を、死なせないでくださいね?」
  天下無双の剣士を前に、あまりにも豪胆。
  だからこそ、ユニットも笑顔で返すことが出来た。
ユニット「じゃあ、大丈夫だ。 君の死因は、老衰しかありえないのだから」

〇空
  他愛もない話をした。
  趣味の話、好きな食べ物の話、どこに行ってみたい等、そんな話を沢山した。
  話題は尽きないが、時間はやってくる。
レア「もうすぐ、軍勢が来ます。 私を殺しに」
ユニット「うん、知ってる」
レア「本当なら、逃げて欲しい」
ユニット「それも、知ってる。 けどね、俺はもう決めてしまったんだ」
ユニット「600,000,000の壁を超えて、俺は君にプロポーズをする」
  その後、ユニットはどうなったのか。
  レアにプロポーズが出来たのか。
  ――結末なんて、考えるまでもないだろう。

コメント

  • ロマンティックで素敵なお話でした。
    いいですよね!あのやり取りの後に「君の死因は老衰しかない」って!
    かっこよすぎてキュンキュンしました!

  • 「6憶の壁を超えてみせる」って,なんてロマンティックなのだ…!超,かっこいい…。結果はどうであれ,女性からしてみれば,一生心に残る男性に違いない。

  • この時代、男がこれほどの想いで女を救いたいと思える場面があるでしょうか。そんな事を考えながら、この異次元の恋物語に強く引き込まれました。

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