第6話「この学園に来た理由」(脚本)
〇グラウンドの水飲み場
天王寺修徳「・・・ぼけー」
菅原筋太「オイ修徳! 校舎間の移動はうさぎ跳びだろ!」
天王寺修徳「あ、やべ」
菅原筋太「校長に見つかったら退学になるぞ!」
天王寺修徳「あぶないあぶない・・・」
天王寺修徳「・・・ぼけー」
菅原筋太「おいうさぎ跳び! 朝からぼけーっとし過ぎだぞ!」
三上大和「心ここにあらずですね・・・」
樋口ユウナ「・・・もぐもぐ」
栄子「ユウナ、そのクレープ!」
樋口ユウナ「うん、おいしい」
栄子「もう食べ終わってる! いま食べてるの包み紙だよ!?」
樋口ユウナ「わ! うっかりしてた・・・」
樋口ユウナ「・・・もぐもぐ」
栄子「だからそれ包み紙! 朝からうっかりしすぎよ!?」
三上大和「こっちも心ここにあらずですね。 2人とも朝から変だなぁ・・・」
栄子「やっぱり、どっちかが誘ったんじゃない? 桜の木の下に」
菅原筋太「目撃者がいないからわからんな」
栄子「本人に聞くわけにもいかないし・・・ うー、気になる!!」
三上大和「誰か見てた人いませんかねぇ」
一ノ瀬「あ、あの〜」
菅原筋太「誰だお前」
一ノ瀬「一中の一ノ瀬だよ! 同じKランクの!!」
三上大和「あ、そういえば僕ら以外にも Kランク残ってましたね」
一ノ瀬「昨日、偶然見たんだけど・・・」
一ノ瀬「ごにょごにょ」
三上大和「えっ! ユウナちゃんが修徳さんを誘った!?」
菅原筋太「ユウナちゃんに言わせるとは、 やっぱりヘタレだな」
栄子「桜の木の下に19時・・・ みんな、温かく見守りましょう!」
三上大和「そうですね。 こういうの、覗き見しちゃいけませんよね」
栄子「何言ってるんです? 行くに決まってるでしょ!?」
栄子「せっかくの恋愛イベント、 この目で温かく見守らなくっちゃ!」
三上大和「は、はい」
栄子「現場を下見に行きましょう。 ベストポジション押さえるのよ!」
菅原筋太「キャラ変わってないか?」
三上大和「みんな高校生ですもん。 こういう話好きですよね・・・」
〇校長室
栄子「せっかくの恋愛イベント、 この目で温かく見守らなくっちゃ!」
校長「恋愛だと? それだけは許さんぞ・・・ おい、生徒会長!」
生徒会長「はっ」
〇宿舎
〇宿舎の部屋
天王寺修徳「いま何時?」
三上大和「17時です」
天王寺修徳「いま何時?」
三上大和「17時1分です」
天王寺修徳「いま何時?」
三上大和「そんなに時間が気になるんですか?」
天王寺修徳「べ、別に・・・ あ、俺、ちょっと散歩してくる」
菅原筋太「おう・・・ まだ約束の時間まで2時間あるぞ?」
三上大和「じっとしてられないんでしょう」
〇グラウンドの水飲み場
ぴょんぴょん
天王寺修徳「告白されるのかな・・・」
天王寺修徳「いや、あいつが言い伝え 知らない可能性もあるし」
天王寺修徳「先週借りた100円返せって 言われるだけかも・・・」
天王寺修徳「うう・・・何言われるんだ。 何か言われたら何て答えればいいんだ!」
用務員「うさぎ跳びしながら考え事かい?」
天王寺修徳「あ、用務員さん」
用務員「少し休みたまえ。 ちょうど冷えたラムネが2本ある」
天王寺修徳「あざっす!」
天王寺修徳「・・・くー、 うさぎ跳びの後のラムネはうまい!」
用務員「ついでに世間話をいいかな?」
天王寺修徳「いいっすよ」
用務員「君はどうしてこの学校を志望したんだい?」
天王寺修徳「えーと、生徒のジシュセイを タットブ自由な校風に・・・」
用務員「建前はいい。ここには誰もいない。 私も聞いたことはすぐ忘れよう」
天王寺修徳「そうですか・・・じゃあ・・・ 笑わないでくださいね?」
天王寺修徳「・・・好きな女の子が ここ目指してたからです」
用務員「立派な理由じゃないか」
天王寺修徳「そうですか?」
用務員「勉強の動機なんて、 別に高尚である必要はない」
用務員「それでモチベーションを 維持できるなら立派な動機だ」
天王寺修徳「確かに・・・おかげで受験も頑張れたし。 勉強、すげー苦手だったのに」
用務員「無駄なものを排除したからと言って、 学力が向上するわけではない」
用務員「逆にそういうものが やる気を底上げすることもある」
用務員「好きな子のためなら頑張れる・・・その 気持ちは今も変わっていないのだろう?」
天王寺修徳「は、はい」
用務員「では大切にしたまえ。その気持ちが君を、 より高みへ導いてくれるだろう」
天王寺修徳「・・・なんかおかげで 頭がスッキリしました!」
用務員「役に立てたならよかった。 では、失礼するよ」
天王寺修徳「ごちそうさまでした!」
天王寺修徳「よし・・・あと30分か」
天王寺修徳「ちょっと早いけど、そろそろ行くか」
〇体育館裏
ぴょんぴょん
天王寺修徳「ここ通れば近道だな」
生徒会長「今だ! 全員かかれ!」
生徒A「たこ焼きいかがですかー!」
生徒B「イカ焼きいかがですかー!」
生徒C「お化け屋敷いかがですかー!」
天王寺修徳「な、なんだ急に!? 急いでるんだけど!」
校長「そんなこと言わずに、 ゆっくりしていきたまえ」
天王寺修徳「校長!?」
校長「本日Kランクの追加校則を発表する」
校長「屋台の勧誘に捕まえられたら、 必ず商品を購入すること!」
天王寺修徳「はい!?」
生徒A「あいつ捕まえたら 全部買ってくれるらしいぞ!」
生徒B「在庫一掃のチャンスだ!」
天王寺修徳「コレ全部買ってたら遅刻だっつの!」
校長「まだまだ来るぞ。 うさぎ跳びでどこまで逃げ回れるかな?」
生徒C「逃げたぞ! 回り込め!」
天王寺修徳「くっ、数が多い!」
校長「諦めるんだな。会長、後は任せたぞ!」
生徒会長「はっ。それ、取り囲め!」
天王寺修徳「くっそー!」
〇木の上
三上大和「ちょ、押さないでください! 校舎の陰から体が出ちゃいますよ!」
菅原筋太「俺も見たいんだよ!」
栄子「静かに! ユウナがこっちに気づいちゃうでしょ!?」
樋口ユウナ「・・・・・・」
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