校則大戦

中村朔

第7話「積み重ねてきたものは」 (脚本)

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中村朔

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〇木の上
生徒A「いつまで待たせるんだ!」
生徒B「さっさと告白しろー!」
生徒C「告白観覧のお供にたこ焼きいかがですかー」
樋口ユウナ「何でこんなことになってるの・・・?」
天王寺修徳「ごめん・・・ わ! 校長もいるの!?」
校長「貴様らの不埒な交友を取り締まる つもりで来たのだが・・・」
校長「浮わついているのはお前たちだけでは ないようだな」
生徒A「早くやれー!」
「ひゅーひゅー!」
校長「黙れ!! 退学にするぞ!」
校長「ちょうどいい、お前ら全員の前で はっきりさせておこう」
校長「天王寺修徳!」
天王寺修徳「は、はい」
校長「我が校の校則第1条を復唱しろ!」
天王寺修徳「えーと、『勉学に関係のないものを 校内に持ち込まない』・・・だっけ」
校長「フン、記憶力だけはさすがだな」
校長「その通りだ。そして関係のないものの 中には恋愛も含まれる」
校長「恋愛によって、本来は勉学に使うべき 貴重な時間をロスすることは お前もわかるだろう!」
天王寺修徳「ロスって決めつけなくても」
校長「ロスだ!」
校長「そしてそのロスによって学力が下がり、 学園の平均偏差値も下がるのだ」
校長「貴様らの勝手な行動で 学園の評価が下がるのだぞ!」
校長「貴様らはカリキュラムに従って 勉強だけしていればいいのだ!」
天王寺修徳「・・・・・・」
校長「それを踏まえたうえで問おう。 お前がこの学園でやるべきことは何だ!」
天王寺修徳「・・・勉強」
校長「そうだろう」
天王寺修徳「・・・だけじゃ、ないと思う」
校長「何?」
天王寺修徳「ええと・・・ 幼稚園のとき遠足で弁当落っことして 泣いたことあったんだけど」
校長「あ?」
天王寺修徳「そしたらユウナが自分の弁当を 分けてくれたんだ」
天王寺修徳「たぶんそれが最初で」
樋口ユウナ「・・・修徳?」
天王寺修徳「年長組にいじめられてたら 追っ払ってくれたし」
天王寺修徳「木に引っかかった帽子を登って 取ってくれたこともあった。 あと・・・」
  ――10分後
天王寺修徳「小学生のとき、近所の塀に落書きしたのを いっしょに謝ってくれた。 あと・・・」
  ――30分後
天王寺修徳「中学一年生のとき・・・」
  ――1時間後
天王寺修徳「中学二年生のとき・・・」
校長「・・・これはいつまで続くんだ?」
三上大和「どんだけ憶えてるんですか」
菅原筋太「こいつの頭の中 ユウナちゃんでいっぱいなのか?」
樋口ユウナ「@%&$#!!」
栄子「修徳くんやめて! ユウナのライフはもう0よ!」
校長「何が言いたい?」
天王寺修徳「勉強が大事だってのはわかる・・・」
天王寺修徳「けど、それ以外のものが 全部いらないとは思わない」
天王寺修徳「だって、勉強以外のものが勉強の やる気を出させることもあるだろ!?」
天王寺修徳「例えば、 好きな子といっしょにいたいとか・・・」
天王寺修徳「そういう気持ちも、 俺にとって大事なものなんだ!」
校長「フン、まあいい、話が噛み合わないので あれば最後の手段を使うまでだ」
校長「追加の校則だ。 Kランクは校内での恋愛を禁止する!」
天王寺修徳「!」
校長「告白しても告白に応えてもアウトだ。 よく考えろ。これはお前が学園に残る 最後のチャンスだぞ?」
天王寺修徳「・・・・・・」
天王寺修徳「・・・俺は」
三上大和「・・・修徳さん、ここは引いてください。 このままじゃホントに退学ですよ!」
樋口ユウナ「・・・修徳、ダメ」
天王寺修徳「・・・この気持ちだって、 ずっと積み重ねてきたんだ」
天王寺修徳「退学になるからって、 簡単に手放すわけにはいかないんだよ!!」
栄子「それって、つまり・・・」
天王寺修徳「俺はユウナが・・・す、す、すすす・・・」
天王寺修徳「・・・・・・・・・好きだ」
樋口ユウナ「!?」
校長「!」
三上大和「退学になっちゃいますよ!」
天王寺修徳「そうだけど、ここで言えなきゃ 一生言えないと思って・・・」
校長「それが答えか・・・よかろう」
校長「天王寺修徳! 校則違反により退学だ!」
???「待て!」
天王寺修徳「・・・用務員さん?」
校長「むっ、誰だ? 部外者は引っ込んでいてもらおうか!」
用務員「部外者とはずいぶんだな。 この学園の創始者に向かって・・・」
用務員「なあ、暗ちゃん?」
校長「なっ!? その呼び方は・・・」
理事長「私だ」
校長「理事長!? 海外視察中では!?」
樋口ユウナ「り、理事長!?」
校長「この学園の理事長で先代の校長。 そして・・・私の姉だ」
天王寺修徳「お姉さん!?」
理事長「私が不在の間に ずいぶんと好き勝手したようだな」
理事長「この学園の校則が厳しいのは、 規律の中でも大事なものを忘れない 強い心を育てるためだったのだが・・・」
理事長「いたずらに校則を厳格化し、 勉学以外のものを片っ端から排除するとは」
校長「うるさい! この学園の現校長は私だ! 校則の編集権限は全て私にある!」
理事長「確かに校則の編集権限は 校長のみに付与される」
理事長「それはこの学園の『校則・教師版』にも 記載されている通りだ」
天王寺修徳「教師にも校則あるんだ・・・」
理事長「そして」
理事長「『校則・理事版』に記載のある通り 『校則・教師版』の編集権限は 理事長である私が持っている!」
樋口ユウナ「この学園、校則いくつあるの・・・」
理事長「私もお前にならって『校則・教師版』に 本日の校則を追加するとしよう」
理事長「生徒の恋愛を制限するような 校則の設定は禁止する!!」
校長「ぐっ!?」

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