エピソード11(脚本)
〇白い校舎
わーわー
米沢先生「ほら、そこセンター寄りすぎだぞ!!! もっと離れて!!!」
トウマ「ほら、パス行くぞ!!!」
ナイト「あっ」
ピピー
アウトです。
サイドからお願いしまーす。
トウマ「なにやってんだよ、ボーっとすんな。 大会も近いんだぞ」
ナイト(ちっ、トウマのやつ。 少しくらいできるからって)
わーわー
なぎさ「みずき、 すごい人気ね、サッカー部って。 特にみんなトウマくん狙いなんでしょ」
みずき「それがねぇ・・・困ってるのよ。 みんなが、 ちゃんとマネージャーの仕事してくれなくて」
みずき「マネージャーは、 数ばっかりいるんだけどね」
なぎさ「マネージャーだけで、30人はいるもんね、 それだけで、 またチーム作れちゃうんじゃない」
みずき「「トウマサポータークラブ」って呼んでるわ」」
みずき「ねぇ、なぎさ。よかったら手伝ってくれない?お礼はするからさ。 欲しがってた推しチェキ、譲ってもいいから」
なぎさ「ホント!! マネージャーって何するの?」
みずき「主に雑用かな。タイムとかスコア記録したり、スケジュール管理、怪我対応とか、ドリンクを作ったり。備品の片付とか、洗濯とか」
みずき「モチベあげるための、応援の声出しとかね。やることは沢山あるわよ」
みずき「部費のお金集めたり管理が1番ネックで。誰もやってくれない」
みずき「サポータークラブにはランクがあって、 ゴールド、シルバー、カッパーてあるの。 ほら、胸にバッチをつけてるでしょ」
なぎさ「あれ、そうなんだ」
みずき「高度な仕事になるほど、サポータークラブのランク高い人の仕事。選手とも近くにいて話もできる」
みずき「クラブに入らないと、近づくことすら出来ないわ」
なぎさ「みずきはその頂点にいる訳でしょ、凄いじゃない」
みずき「凄くなんかないわよ。 だから、仕事をちゃんとやらない、できない人も多くて、 タダの雑用係にされてるし」
みずき「ね、だから助けて欲しいの。 お願い!!!」
なぎさ「んー サッカーはよくわからないけど、 計算とか会計とかなら得意よ」
みずき「ありがとう!!! 顧問の米沢先生に伝えてくる!!!」
「先生ー」
米沢先生「ああ、引き受けてくれるのか。 ありがとう、よろしく頼むよ」
なぎさ「はい!任せてください!!!」
〇学校の廊下
なぎさ(なんて言ったものの・・・ 集金作業、分かってたけど大変・・・)
なぎさ「ちゃんとお金を持って来てくれる人もいるんだけど、 家まで取りに行かないといけないし、催促するのも嫌がられるの分かるわ」
ナイト「ふぅ」
なぎさ「あらナイトくん、集金なんだけど。 期日過ぎてるわよ」
ナイト「ごめん、マネージャー。 忘れたから、帰りに家まで取りに来てよ?」
なぎさ「もうー。ちゃんとしてよね。まったく」
なぎさ「あと、私のことはマネージャーじゃなくて、なぎさって呼んでいいよ。 マネージャーじゃ、多すぎて、誰だかわかんないし」
ナイト「わかりました、なぎささん。 後でよろしく」
〇一戸建て
なぎさ「ここ・・・かな?」
ピンポーン
なぎさ「すみませーん。ナイトくんいますか?集金に来ましたー」
ナイト「あぁ、なぎささん」
なぎさ「立派なおうち。 ナイトくん、お金持ちなのねぇ。 トウマくんもだけど」
ナイト「・・・トウマと比較するなよ。 みんなアイツの話ばかりするのな」
なぎさ「そんなつもりはないけど。 私は彼女たちと違って、トウマくん目当てとかでマネージャーやってる訳では無いし。好みと違うもの」
ナイト「なぎささんの好みって?」
なぎさ「ちゃんとしてる人。集金忘れたりしない人」
ナイト「ふーん。ちゃんとねぇ」
ナイト「それより、 トウマ、あいつは幼なじみだけど、なんでも勝てたことがないんだよ。悔しいから、その名前は俺の前では、出すなよ」
なぎさ「あら、ごめんなさい。 それで、集金なんだけど」
ナイト「はい。これ。 よかったら上がってお茶でも飲んでく?」
なぎさ「もう遅いし、家族も待ってるから、やめておくわ。私が食事当番なの」
ナイト「なぎささんが食事作るの? 俺のうちは専属シェフが作るから、親の手作り食べたことない。今度、俺にも作ってよ」
なぎさ「そんな大したものは作れないわ。シェフと比べられたら困るもの。じゃあまた明日」
ナイト「あぁ、また明日」
〇白い校舎
なぎさ「はいドリンク。頑張ってね」
「ありがとう」
タッタッタッ
トウマ「ナイト、ちょっと聞きたいんだけどさ」
ナイト「なに?」
トウマ「なぎさちゃん?って、気がつくし、 凄い働き者で、 しっかりしててカッコイイよな。 おまえ、仲良いの?」
ナイト「んー、まぁな」
トウマ「俺に紹介してくれない?」
ナイト「トウマ・・・お前・・・ それだけは許さないぞ」
ナイト(なぎささんに、手を出すのだけは、許さない)
〇公園のベンチ
なぎさ「ふぅ、また遅くなっちゃった。 仕事多すぎるし、誰も手伝ってくれないし」
ナオコ「チョットーアンター いい気になってんじゃないわよー」
ミホコ「トウマくんにー 気安く話しかけんじゃないってのよー」
なぎさ「えっ誰!?」
ミホコ「ワタシたちはー サポータークラブのリーダー。ミホコよ」
なぎさ「何言ってるのよ、 リーダーは、みずきじゃない。 マネージャーの仕事もしないで、 なにやってるのよ」
ナオコ「アンタさー なんでいきなりゴールドランクの仕事してるの? 下積みもしてないくせに、先生に、取り入ったりして、ズルくない?」
ミホコ「そうそう、私たちなんかー ボール拾いから草むしりまでして やっとゴールドなったってのにー」
みずき「ちょっとあんた達、 なにやってるのよ」
ミホコ「別にー だってズルくない? ひいきしてるでしょ」
みずき「じゃあ、あなた達、 人からお金集めたり管理したりできるの? 誰も嫌がって、やらないから、私がお仕事をお願いしたのよ」
みずき「文句があるなら、私に言ってちょうだい」
なぎさ「それに、私、 トウマくんに興味無いから・・・」
ナオコ「それはそれでムカつかない? トウマくんのこと、 バカにしないでー」
ミホコ「まぁーイイわよ、 私たちのライバルでは無いってことでしょ? わかったわ。お仕事がんばって」
ミホコ「チェー いこいこ。なんなのあれ」
ナオコ「ホントむかつくー トウマくんに近寄らないでよねー」
なぎさ「ありがとう、みずき」
みずき「ううん、こっちこそごめん。 あんなのばっかりなんだもん」
なぎさ「困ったわよねぇ・・・」
〇奇妙な屋台
店主「あら、なにか揉めてるのぉ~ ケンカ?」
謎マッチョ「じゃあ、私が行ってきましょうか?」
店主「いいわよ。 また人さらいになっちゃうと 困るから」
店主「パティシエさんにお願いしようかしら?」
パティシエ「はーい」
〇公園のベンチ
パティシエ「こんにちは。 って、あら?」
なぎさ「こんにちは。 あれ? あなたは、商店街のパティシエさん?」
パティシエ「よくご存知で。 っていうか、昨日も買いに来たかしら?」
なぎさ「だってパティシエさんのケーキ、家族みんな好きだし、美味しいんだもん。 でもパティシエさんが何故ここに?」
パティシエ「さっき騒がしかったから、 ケンカなのかなって 心配して来てみたの」
みずき「うちの学校の部活での揉め事で。 ご迷惑おかけしてすみません」
パティシエ「よかったら、お話を聞かせてもらえるかしら? あっちに美味しいケーキもあるわよ♡」
なぎさ「わーい! 行きます~」
〇奇妙な屋台
パティシエ「はい、ケーキ 私のおごりよ♡ 試食していって」
もぐもぐ
「わー 美味しーい♡」
もぐもぐ
「それでね・・・」
「困ってしまって・・・」
もぐもぐ
なぎさ「・・・という訳なんです」
店主「そうなのね。 大変だったのねぇ」
なぎさ「そうなんです。 どうしたらいいと思います? 仕事は沢山あるし・・・ もっと手伝ってくれる人がいたらなって」
みずき「もうすぐ、地方予選大会もあるし。 これに勝ったら全国大会に出られるのに」
店主「わかったわ。 じゃあ、これをお使いなさい」
店主「これで、みんなのミサンガを作って、 身につけるといいわ。 必ず守ってくれるでしょう」
パティシエ「私からもこれを!」
パティシエ「みんなで食べてね♡」
謎マッチョ「私も力を貸そう。 シロ!クロ!」
「にゃーん」
謎マッチョ「彼らが力になってくれるだろう。 なんなりと頼むといい」
なぎさ「あ、ありがとう・・・ 大丈夫かしら・・・」
〇白い校舎
ナイト「ちくしょう。 レギュラーから外されてたまるか」
ナイト「それに、なぎささんのことだって・・・」
ナイト「悔しいから、アイツの出入口のそばに穴掘ってやる。 足でもくじけばいいんだ」
ザッザッザッザッ
〇白い校舎
なぎさ「おはよー」
みずき「おはよー。 昨日のやつ、どうした?」
なぎさ「もう、準備はバッチリよ。 後はみんなが集まるのを待つだけ」
みずき「みんなー、ちょっと来てー」
トウマ「あっなんだろう」
ナイト(そうだ・・・ そのまま進んでいけば、 穴に落ちるぞ・・・)
なぎさ「ちょっと、早く来てよー」
ナイト「あっ こっち来ちゃダメっ」
なぎさ「あっ」
なぎさ「いったーーーい!!!」
ナイト「ど、どうしよう・・・」
みずき「なぎさー!!! 大変、救護班ー」
〇病院の待合室
なぎさ「痛たたた・・・」
みずき「なぎさ、脚だいじょうぶ?」
なぎさ「だいじょうぶなわけないじゃん。 穴にハマって、 脱臼骨折だって、お医者様が・・・」
みずき「ごめん。だいじょうぶだなんて 言い方が悪かったわ」
なぎさ「こっちこそ、ごめん。 あまりに痛かったもんだから 八つ当たりしちゃったかも」
みずき「これじゃ、マネージャーの仕事も頼めないわよね・・・ 無理言ってごめんね」
なぎさ「大丈夫。 仕事はちゃんとするから」
みずき「無理しないで。 助っ人もいるからさ」
「にゃーん」
みずき「スーパー猫ちゃん達が、 本当によく働いてくれて・・・ 洗濯やら掃除までできるんだもの」
みずき「しかも猫だから クラブの取り巻きたちも 「可愛い~♡」とか言って 妬まれないし、人気者だし」
なぎさ「そっか。 でも集金作業くらいは手伝いたいな。 しばらく車椅子だけど動けるし、両手も使えるわ」
みずき「わかったわ。 できることだけお願いするわ。 じゃあ、私は学校に戻るね」
なぎさ「うん、ありがとう。 お見舞いに来てくれて、嬉しかったわ」
ナイト「あのぅ~ なぎささん」
なぎさ「あら、ナイトくん。 お見舞いに来てくれたの?」
なぎさ「練習はいいの?」
ナイト「ごめん。 穴を掘ったのは俺なんだ」
なぎさ「え? どういうこと?」
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あらあら、青春ど真ん中の幸せそうな大団円で!
トウマくんの取り巻き女子たちの会話、学生時代の女の子のアカン部分を煮詰めた感じで、生々しくて逆に笑ってしまいました