神様からの三行半

金平 旺大

第四話(脚本)

神様からの三行半

金平 旺大

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〇通学路
ツクヨミ「まったく、なんで休みの日まで 実家の近くに来なくちゃいけないんだよ」

〇幻想空間
???「死ぬ前に、 おなかいっぱい、 ご飯が食べられますように・・・」

〇幻想空間
???「もう、 二度と いじめられませんように」
???「また、 前のように 仲良くなれますように」

〇通学路
ツクヨミ「・・そんなこと次々願われても、 仕事中に動けねぇし。 それにコマだって来てくれないし・・・」
ツクヨミ「今だって、実家の近くに来ているのに コマはこっちに気付いてないじゃないか」
ツクヨミ「タケハには 会いたくないっていうのに・・」
ツクヨミ「・・・はぁ、 帰りたくないな」
ツクヨミ「・・そうだ。 神社の正門は一つなんだから、」
ツクヨミ「近くの適当な喫茶店で休んでいて、 指輪が光ったら参道に行って、 待ち伏せればいいんだ」
ツクヨミ「よし、その線で行こう」

〇カウンター席
笹倉「いらっしゃいませ。」
ツクヨミ「あっ、カフェモカってあります?」
笹倉「はっ? それってなんですか?」
ツクヨミ「・・すいません、ホットコーヒーでお願いします」
笹倉「・・・・・」
ツクヨミ「・・なんか感じの悪い店だな」
笹倉「はい、コーヒーです」
ツクヨミ「〈愛想ないなぁ〉」
ツクヨミ「〈うわっ、苦い〉」
タイシ「・・・・・」
ツクヨミ「〈おや、あの子から弱々しいけど白いオーラが見える。・・・もしかして・・〉」

〇幻想空間
???「もう、 二度と いじめられませんように」

〇カウンター席
ツクヨミ「〈あの子じゃないか〉」
笹倉「タイシ、どうしたんだ? なんで泣いてる」
タイシ「グスン、グスン、 いじめられた」
笹倉「そんなの、殴り返してこい」
タイシ「でも・・・」
笹倉「お父さんは忙しいんだ。 いつもいつも、邪魔ばっかりするんじゃない」
ツクヨミ「〈あっ、白いオーラがぷつんと消えた〉」
タイシ「グスン、 ・・・わかった」
ツクヨミ「〈やばい、あの白いオーラが消えたら、キーパーソンもわからなくなるぞ〉」
ツクヨミ「ごちそうさまでした」
笹倉「美味しくなかったですか」
ツクヨミ「いや、とても、とっても美味しかったですよ。 特に苦みが・・」
ツクヨミ「失礼しまーす」

〇通学路
タイシ「・・・・・」
ツクヨミ「どうしたの? 店の前で座り込んじゃって」
タイシ「・・・・・」
  タイシは涙をこらえ、
  ツクヨミから逃げるように走っていった。
ツクヨミ「タイシくん、どこ行くんだ」

〇街中の公園
タイシ「はぁ、はぁ、はぁ」
ツクヨミ「待ってくれ」
タイシ「・・・何?」
ツクヨミ「お父さんのこと、嫌い?」
タイシ「前のお父さんは好きだったけど、 今は嫌い」
ツクヨミ「じゃあ、いじめられっ子にはどうするの? もういじめられないように、って神様にお願いしたでしょ?」
タイシ「どうしてそのお願いを・・・ えっ、 もしかして神様!?」
ツクヨミ「違うんだけど、 ・・・僕は神様の代役(ピンチヒッター)。 神様が忙しいときは代わりに叶えてあげるんだよ」
タイシ「ピンチヒッター?? なんでもいいや。 早く願いを叶えて」
タイシ「杖みたいなのを振って みんなを改心させてよ」
ツクヨミ「それは無理かな」
タイシ「じゃあ、どうやってお願いを叶えてくれるの?」
ツクヨミ「ん~、 何がきっかけでいじめられたんだ?」
ツクヨミ「もし、喧嘩でいじめられたんなら、 俺が鍛えてやる。 じいちゃんに空手を習わされたから、 その戦闘力を活かして・・」
タイシ「ゲーム」
タイシ「「にゃんたまり」ってアプリゲームで 弱いっていう理由でいじめられた」
タイシ「前はそんなことなかったのに、 急に人が変わったみたいになって・・」
ツクヨミ「にゃんたまり? 俺が作ったゲームじゃないか」
タイシ「えっ、おじさんが作ったの?」
ツクヨミ「お、おじさん・・ ・・あぁ、おじさんが作ったんだ」
ツクヨミ「だから攻略法も知ってる。 やり方さえ覚えれば、君も強くなれるよ」
タイシ「本当に? 早く教えてよ」
ツクヨミ「よーし、特訓だー」

〇モヤモヤ
ツクヨミ「あぁ、もう、 全然だめだ」
タイシ「うわぁ、やられた」
ツクヨミ「ちがう。 その時はアレニャンを出して、 遠くの敵にはソレニャンを・・・」
ツクヨミ「だぁー、 ニャントリップのタイミングが早すぎる~」
タイシ「え、だってだってだって・・」
ツクヨミ「よし、チャンス到来」
ツクヨミ「そこでワンダフルパンチだー」
タイシ「いけーーーーー」

〇カラフルな宇宙空間
タイシ「やったよ、おじさん。 僕、攻略できた」
ツクヨミ「良かったな ・・おじさんも嬉しいぞ」

〇街中の公園
ツクヨミ「よし、この勢いで行ってみよう。 これでいじめられないぞ」
タイシ「うん、行ってくるよ」
ツクヨミ「俺は電柱の陰から見てるから がんばるんだぞ」
タイシ「行ってくる」

〇公園のベンチ
けんご「新作ゲームの「ツントッピー」 おもしれーなぁ」
つねお「ふん、そうか?」
ツクヨミ「ん? あの偉そうにしてる子、 なんか黒いオーラが見えるけどなんだろ?」
けんご「いや、このバカっぽい設定がいいよ」
タイシ「つねおくーん」
つねお「・・なんだよ、タイシか」
タイシ「「にゃんたまり」強くなったよ。 一緒にやろうよ」
つねお「ふん、あんなつまらんゲーム、 強くなったからといって何なんだか・・」
けんご「タイシくん、強くなったの? じゃあ、やろうよ」
タイシ「うん、いいよ」
  ピコ、ピコピコ、
  ピコ、・・ピコピコ、
  ピコピコ、ワンダフルパーンチ
けんご「うわ、やられた。 うまくなったね、タイシくん。」
つねお「ふん、ゲームが強くなったくらいで調子に乗るなよ。 それよりもまた殴られたいようだな。 来ないならこっちから行くぞ」
つねお「あー、すっきりした。 行こうぜ、けんご」
けんご「お、おぅ」
ツクヨミ「タイシ、しっかりしろ。 おまえ、なんでやり返さなかった? 殴られっぱなしじゃないか」
タイシ「か、からだが・・」
コマ「身体が動かなかったのでしょうね」
ツクヨミ「コマ、なんでここに?」
コマ「邪悪なオーラを遠くで感じまして、 少し神社を空けて、様子を見に来たのです」
コマ「来てみたら、黒いオーラに包まれた男の子を見つけたというわけです」
ツクヨミ「じゃあ、すぐに助けてやれよ」
コマ「黒いオーラは悪の心を持つ人間にも出ます。人間には暴力を振るうわけにはいきません。」
コマ「しかし今回は金縛りを使ったところを見ると、霊的なものだと思われます」
ツクヨミ「それはあの子が霊に乗っ取られているということか。 じゃあ、いますぐ倒しに行こう。 そしたらいじめが止まる」
コマ「無理です。 私は除霊士ではありませんから、 霊を人間の身体から追い出すことができないのです」
コマ「それに、今攻撃すれば、 人間のほうにしかダメージがいきません。 霊は無傷でしょう・・」
タイシ「・・・・・ねえ、誰と話してるの?」
ツクヨミ「あ、あぁ、 ・・・・・神様だよ」
タイシ「え、ホント? じゃ、もう大丈夫だね」
ツクヨミ「だから、ちょっと待っててね」
コマ「あまり嘘は好きではありません」
ツクヨミ「まあまあ、いいじゃない」
ツクヨミ「それじゃあ、 俺たちは霊に太刀打ちできないということか。 ・・となると、お願いは叶えられないのか」
コマ「そうとは限りません。 生身の身体から霊を追い出す方法は あります」
コマ「それでは・・耳打ちをしたいので もうちょっと近寄ってもらえますか?」
ツクヨミ「会話は子供に聞こえていないんだから しなくていいんじゃないか」
コマ「一度、やってみたかったんですよ。 作戦会議的な雰囲気の中に、背徳的でエロチックな感じすらある」
コマ「憧れなんです、 み・み・う・ち」
ツクヨミ「わかったよ これでいいか」
コマ「では、・・失礼します」
  ゴニョゴニョ
   ゴニョゴニョ
     ゴニョゴニョ

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