だから結婚したいんだって!(脚本)
〇地球
「結婚したーーーーーーーーーーいっ!!」
〇一人部屋
一人「結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい結婚したい!!」
実近「うるせーぞ! クソアニキ!」
実近「って、なんちゅーカッコしてんの!?」
一人「石油王の服着てたらモテるかな、と思って⋯⋯」
実近「中身が伴ってないだろ⋯⋯」
一人「お前こそ何でメイド服着てんの?」
実近「あたしだってモテたいんだよ」
実近「男はみんなメイドが好きだろう?」
実近「てか最近ずっと同じ事言ってない?」
一人「AIによると、だ⋯⋯」
一人「今年中に結婚しないと⋯⋯」
一人「一生独身らしい!!」
実近「⋯⋯切実だな」
一人「何なら、一生DTの可能性もある」
実近「⋯⋯更に切実だな」
実近「ってゆーか、実の妹に下半身事情を話すな」
一人「なので結婚したい!」
実近「うん、まあ、DTは兎も角⋯⋯」
実近「結婚はなぁ⋯⋯」
〇女性の部屋
一人「何コレ?」
実近「婚活サイト」
一人「う〜ん⋯⋯ 仕組まれた出会いっていうのはなぁ⋯⋯」
一人「もっとこう、ドラマチックで、ロマンチックで、プラスチックな⋯⋯」
実近「んな事言ってるから結婚出来ないんだよ」
実近「あとプラスチックって何だよ」
一人「熱や圧力を加えた合成樹脂の事だよ」
実近「プラスチックの説明はいいよ⋯⋯」
一人「そんな事より早くサイトの説明しろよ」
実近「オメーがボケるからだろうがっ!」
実近「性癖をブチ込んだらマッチするメスが出てくんだよっ!」
一人「雑!」
〇仮想空間
実近「んで? 好みのタイプは?」
一人「う〜ん⋯⋯ あんまり軽い子はイヤだな」
一人「身持ちの堅い子で」
一人「堅い(物理)!」
一人「せめて人間にしてくれないか?」
実近「んじゃ、もうちょっと具体的に」
一人「若い子」
実近「死ねよ」
一人「限度!」
実近「良かった。OKだったら、あたしの経歴に傷が付くところだった」
一人「兄の命は心配してくれないのか?」
実近「頭の方が心配だよ」
実近「他には?」
一人「古風な子」
一人「『これ手作りの遮光型土器なの』」
一人「うわ〜土器土器❤」
一人「ってやかましいわっ!」
一人「大丈夫かよ、このサイト」
実近「う〜ん⋯⋯ これなら?」
一人「⋯⋯いや、だかr」
〇地球
「キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!」
〇繁華な通り
一人(どうしよう⋯⋯)
一人(ちょっと早かったかな?)
一人(待ち合わせの24時間前に着いてしまった⋯⋯)
一人(服はこれで良いのか?)
一人(デートプランは?)
一人(三日三晩、寝て起きて考えたけど⋯⋯)
一人「ら、らぶ美さんっ!」
らぶ美「あれ? 一人さん?」
らぶ美「デートは明日の筈では?」
一人「え? 明日?」
一人「でもらぶ美さんはどうして⋯⋯」
らぶ美「私はその、下見というか、行き先を見ておこうと⋯⋯」
一人「そんな真剣に考えてくれてたのか⋯⋯」
一人「うっひょう! これは脈アリ!?」
一人(宜しければ予定を繰り上げて、このままデートしませんか?)
らぶ美「あの⋯⋯ 吹き出しの形が逆です⋯⋯」
一人「ああ、失礼しました⋯⋯」
らぶ美「ええっと⋯⋯ 少々お待ち下さい」
一人「予定があるなら無理にとは言いませんよ」
らぶ美「い、いえ⋯⋯ 大丈夫⋯⋯」
らぶ美「だと思います」
一人「?」
らぶ美「さ、参りましょう」
一人「はい!」
〇映画館の座席
〇シックなカフェ
〇川沿いの公園
〇公園のベンチ
一人「らぶ美さん?」
らぶ美「⋯⋯」
一人「らぶ美さん!?」
〇ラブホテルの部屋
らぶ美「ん⋯⋯」
らぶ美「⋯⋯ここはっ!?」
一人「すいません」
一人「勝手にこんな所に連れ込んでしまって」
らぶ美「こんな所って⋯⋯ 嗚呼⋯⋯ そんな⋯⋯」
らぶ美「まだ早いです⋯⋯」
一人「すいません⋯⋯」
一人「でも体調が悪いなら、そう言ってくれれば⋯⋯」
らぶ美「違うんです。そうじゃないんです」
らぶ美「今は何時ですか?」
らぶ美「次は買い物に行かないと⋯⋯」
一人「買い物って⋯⋯ そんなのいいですよ」
らぶ美「でも⋯⋯」
一人「デートなんて何時でも出来ます」
一人「らぶ美さんの方が心配です」
らぶ美「違うんです」
らぶ美「今日は14時30分から買い物をして⋯⋯」
らぶ美「18時20分までに食事をして⋯⋯」
らぶ美「20時5分までには夜景を見ないと⋯⋯」
一人「デートプランを考えて来てくれるのは嬉しいですが、」
一人「分刻みはタイト過ぎです」
らぶ美「でもAIが⋯⋯」
一人「AI?」
らぶ美「AIに従って、最適のデートをしなければいけないんです」
一人「そんな事⋯⋯ 好きにしたらいいでしょ」
らぶ美「⋯⋯え?」
一人「え? って⋯⋯」
らぶ美「困りませんか?」
一人「困るって⋯⋯ 何が?」
らぶ美「自分で決めるなんて⋯⋯」
一人「僕もAIは使いますが⋯⋯」
一人「参考程度にしかしませんよ」
一人「AIの通りにやって、うまくいくとは限らないし⋯⋯」
一人「言う通りに行動していたら、そりゃ体調だって崩しますよ」
らぶ美「そんな⋯⋯」
らぶ美「だって⋯⋯ 私は食べたい物も、友達も、好きな人も、全部⋯⋯」
らぶ美「AIに⋯⋯ 選んでもらって⋯⋯」
一人「⋯⋯」
一人「ずっとそんな風に生きてきたんですか?」
らぶ美「怖いんです⋯⋯」
らぶ美「自分に自信がなくて⋯⋯」
らぶ美「失敗したら、どうしようって⋯⋯」
らぶ美「AIに答えを教えてもらえば楽だから⋯⋯」
一人「そんなの、バカですよ⋯⋯」
らぶ美「そう、バカなんです⋯⋯」
らぶ美「バカだから、自分で決められなくて⋯⋯」
らぶ美「どうしたら良いの? 教え⋯⋯」
一人「君はどうしたいんだよっ!!」
らぶ美「わからない⋯⋯ わからない⋯⋯」
一人「⋯⋯!!」
らぶ美「え? 何を⋯⋯ !?」
らぶ美「何をするんですか!」
一人「出来るじゃないか⋯⋯」
一人「それが君のしたい事だ⋯⋯」
らぶ美「⋯⋯!?」
一人「今、君は自分で決断した」
一人「AIが決めた事じゃない⋯⋯」
一人「自分の意志で行動したんだ」
らぶ美「これが⋯⋯ 私⋯⋯」
らぶ美「これが⋯⋯」
らぶ美「これが⋯⋯」
一人「次は買い物に行くんだっけ?」
一人「着物もAIに選んで貰ったんだろう?」
一人「自分で服を選ぼう」
らぶ美「⋯⋯はい」
らぶ美「あの⋯⋯ 美容院にも、行きたいです⋯⋯」
一人「ああ。行こう」
〇桜並木
らぶ美「ぃいやっほーーーーーいっ!!」
一人「変わり過ぎじゃないっ!?」
一人(まあ、いいか⋯⋯)
らぶ美「ありがとう一人さん」
らぶ美「何だか、凄く身体が軽い」
らぶ美「自由ってこんなに素晴らしいのね」
一人「ああ。そうだよ」
らぶ美「私ね、本当は結婚なんてしたくなかったの」
一人(え?)
らぶ美「でも、それも自分で決めたら良いんだよね」
一人「あ、ああ⋯⋯ そう、だね⋯⋯」
らぶ美「本当に一人さんと出会えて良かった」
らぶ美「何だか、これから本当の人生が始まりそうな気がする」
一人「う、うん⋯⋯」
らぶ美「じゃあね」
一人「はぁ⋯⋯」
らぶ美「⋯⋯」
らぶ美「追いかけて来て、くれないのね⋯⋯」
〇一人部屋
一人「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛⋯⋯」
一人「振られたぁ〜⋯⋯」
実近「強引に告れば良かったじゃん!」
一人「だってぇ〜⋯⋯」
実近「だってとか言うな!」
一人「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛⋯⋯」
実近「うるせぇな! 切り替えて次だ。次!」
一人「嗚呼⋯⋯」
〇地球
「結婚したーーーーーーーーーーいっ!!」
こんにちは!
過去作品読ませて頂いてます
これ色んな女の子とデートさせたいですね〜
一人って名前からもう結婚できなさそう😂
土器土器ってやかましいわ!
が愉快すぎて好きでした😂💕
面白かったですー!!!!!コメディセンスあり過ぎです!!プラスチックで吹き出しちゃいました!!(o^^o)ありがとうございました!!
極端なマッチングを繰り返すところなど、たくさん笑わせてもらいました🤣
今度はどんな相手が来るのかワクワクできそうです! 絶対変わった人が来るという安心感(?)もあり……。
個人的に共感MAXになりそうな女の子バージョンも見てみたいです!