グッモーニンは、どう転ぶ?(脚本)
〇教室
中学校・朝の教室
生徒達が登校してきている。
暢本暖那(のぶもとはるな)、教室に入ってくる。
女子生徒「暖那、おはよう!」
暢本暖那「うん、おはよう」
桧田陸斗(ひだりくと)、教室に入ってくる。
暢本暖那「桧田くん、おはよう」
桧田陸斗「!」
桧田陸斗「・・・・・・」
暢本暖那「・・・・・・?」
女子生徒「暖那、いじめるのはやめてあげなってー!」
女子生徒、暖那を引っ張っていく。
暢本暖那「え? いじめって・・・・・・」
女子生徒「だってあの人、喋ってるの見たことないし」
暢本暖那「あー確かに、見たことないかも・・・・・・」
女子生徒「ねー、気持ち悪いよねー」
暢本暖那「・・・・・・」
桧田陸斗「・・・・・・」
〇田舎の学校
校庭
生徒達が体育祭に向け、
それぞれ競技の練習に励んでいる。
残暑の厳しい日差しが降り注いでいる。
体育教師「よし! じゃあ今日はこのまま、 使った道具なんかを片付けたら、 各自下校や部活に行って良いからなー!」
体育教師「まだ暑いから、水分はしっかり摂って、 熱中症には気を付けろよー!」
桧田陸斗「・・・・・・」
〇教室の外
体育倉庫
女子生徒「じゃあ暖那、私先に部活に行ってるね」
暢本暖那「うん、私もこれ片付けたら行くー」
暢本暖那「よいしょ、と・・・・・・」
暢本暖那「ふう・・・・・・」
暖那、体育倉庫を出る。
暢本暖那「!」
桧田陸斗「・・・・・・」
陸斗が体育倉庫の陰で蹲っている。
暖那、陸斗に近付き、横にしゃがみこむ。
暢本暖那「桧田くん、大丈夫?」
桧田陸斗「!」
桧田陸斗「・・・・・・」
暢本暖那「具合悪いの? 私、先生呼んで・・・・・・」
桧田陸斗「い・・・・・・!」
暢本暖那「!」
桧田陸斗「い・・・・・・から・・・・・・」
暢本暖那「いいって、でも」
桧田陸斗「目立つ・・・・・・のは・・・・・・」
暢本暖那「!」
暢本暖那「・・・・・・」
暖那、陸斗の背を手で擦ってやる。
桧田陸斗「!」
桧田陸斗「・・・・・・」
暢本暖那「・・・・・・」
辺りに人気はなく、蝉の声だけが響く。
暢本暖那「桧田くんって、人前で話すのとか、 注目されるのとか、苦手なの?」
桧田陸斗「ち・・・・・・」
桧田陸斗「違わ・・・・・・ない、かも・・・・・・」
暢本暖那「そっか」
暢本暖那「あ、じゃあ、教室で挨拶したりとか、 止めた方がいいのかな?」
桧田陸斗「それ、は・・・・・・ いい・・・・・・」
暢本暖那「いい? あ、やっぱり止めたほうが・・・」
桧田陸斗「違・・・・・・! いい、です・・・・・・」
暢本暖那「挨拶しても、良いってこと?」
陸斗、頷く。
暢本暖那「そっか! 分かった!」
桧田陸斗「・・・・・・」
暢本暖那「桧田くん、汗すごいよ? ハンカチは?」
陸斗、首を左右に振る。
暢本暖那「じゃあ、私のでもいい?」
桧田陸斗「汚れる、から・・・・・・」
暢本暖那「いいよ、そんなの」
桧田陸斗「・・・・・・」
陸斗、ハンカチを受け取ろうとする。
暖那、その手をかわし、
陸斗の額の汗をハンカチで拭う。
暖那、そのまま陸斗のこめかみ、
顎下の汗をハンカチで拭う。
暖那は続けて、
ハンカチで陸斗の首筋をなぞる。
暖那の指が、陸斗の首筋に触れる。
桧田陸斗「!」
バシッ!
陸斗、思わず暖那の手を振り払う。
暢本暖那「あ、ごめん。嫌だった?」
桧田陸斗「ごめ・・・・・・違くて。 自分、で、出来るから・・・・・・」
暢本暖那「ああ、分かった」
陸斗、暖那からハンカチを受け取る。
暢本暖那「あ!」
桧田陸斗「!」
暢本暖那「私、部活あるんだった! 急がないと!」
暢本暖那「桧田くん、もう校内に人は少ないと思うし、目立ったりしないと思うよ?」
暢本暖那「良かったら、保健室まで一緒に・・・・・・」
桧田陸斗「も・・・・・・大丈夫・・・・・・」
桧田陸斗「ただの、貧血だったみたい・・・・・・」
暢本暖那「本当に? でも一応・・・・・・」
桧田陸斗「大丈夫、だから・・・・・・ ここで、もう少し休んでく、から。 行って、いいよ」
暢本暖那「そう・・・・・・分かった。 でも、無理しないでね」
暢本暖那「それじゃ、桧田くん。また明日ね!」
去っていく暖那。
桧田陸斗「・・・・・・」
陸斗の手には、暖那のハンカチが握られたままである。
〇男の子の一人部屋
桧田家・陸斗の部屋
桧田陸斗「・・・・・・」
ベッドに横たわり、手に持った暖那のハンカチを見つめる陸斗。
桧田陸斗「・・・・・・」
桧田陸斗「おはよう・・・・・・昨日は、ハンカチ、 ありがとう・・・・・・」
桧田陸斗「おはよう・・・・・・昨日はハンカチ、 ありがとう・・・・・・」
暖那に触れられた首筋を、
ハンカチを持っていない方の手で
押さえる陸斗。
桧田陸斗「・・・・・・」
桧田陸斗「明日・・・・・・ ちゃんと、話せますように・・・・・・」
桧田陸斗「おはようって・・・・・・ 言えますように・・・・・・」
陸斗、ハンカチを額に当て、
祈るように瞼を閉じる。
人見知りながらもがんばる彼がとてもいいですね。
一生懸命に明日の練習をしてるところが、すごくかわいいと思いました。
明日は勇気を出せるといいね!って応援したくなります!
懸命に自分の不向きと向き合う姿はかっこいいものですね!
それに気にしてくれる子もいて…、恋とかそういうのではないとは思いますが、心はあったかくなりました!
かわいい。明日言うセリフを練習しているなんて、可愛くてこういう男の子にキュンキュンしてしまいます。ハンカチ無事返せるといいね。