英雄親子は名誉を捨てる

筑豊ナンバー

17話「届かない射程」(脚本)

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〇教会の中
リンカ「うわぁ~・・・ホントにきた」
ヘリオ・ゴンザリス「俺はついてるなーまた英雄様とたたかえるのか。なぁ~『魔術師リンカ』さんよ~!確か牢屋にぶち込まれてたんじゃなかったか?」
リンカ「あんなとこ、とっくに脱獄したよ」
ヘリオ・ゴンザリス「協会に居るってことはシスターにでもなったのか?修道服に着替えてこいよ。そんで一発やろうぜぇ~」
リンカ「まじでキモいなら辞めてもらえる?‥‥あとあなたの相手は私じゃ無いからね。」
ヘリオ・ゴンザリス「は?」
リンカ「転移魔術」
ヘリオ・ゴンザリス「ウォオオオオオオオ?!?!」
リンカ「あとは任せたよ。『裏切のアサシン』さん」

〇洞窟の深部
ヘリオ・ゴンザリス「どこだ?!ここは?!!」
不知火 白夜「よぉ放火野郎。出来るだけ足掻けよ。でなきゃ復讐にならないからな」
ヘリオ・ゴンザリス「俺一人の為にここまでするとはなぁ、やっぱり妹の敵討ちか?」
不知火 白夜「黙って死ね」
ヘリオ・ゴンザリス「つれねぇな~!ちょっとは話そうぜ?英雄様よぉ~!!」

〇教室
ミカ「ラン!起きて!ホームルーム始まっちゃうよ!また廊下に立たされちゃうよ!」
ラン「ファア?!」
教頭「皆さんおはようございます。 突然ですが本日は白夜先生は腹痛で休みです」
ラン「え!また?」
ミカ「・・・」
ミカ(白夜先生が休んだのは間違いなく腹痛ではなく明花を襲った放火魔を捕まえるためだ。)
ミカ(白夜先生ならヘリオ・ゴンザリスに遅れを取ることはないだろう。 じゃあなんだこの──嫌な胸騒ぎは?)
教頭「では朝の挨拶を──」
教頭「なっ!!」
ミカ「先生!」
カリト・マリス「全員動くな!!」
カリト・マリス「我々は魔王教徒!! すでにこの校舎は占拠した!逃げようとなど思うな!!」
カリト・マリス「我々の目的は一つ! この学校のどこかにいる英雄の身柄だ!!」

〇ファンタジーの学園
石白 星華「すでに占拠されてる。生徒は人質にされてるみたいだね」
アレックス・ワトソン「クソ!!」
石白 星華「待って!下手に踏み込んだら人質が大勢死ぬ!ここは情報収集からやるべきだ!」
アレックス・ワトソン「この学校にはあの子がいるんだ! こんなとこで道草食ってる場合じゃ!──」
石白 星華「じゃあ!あの言葉は嘘だったの?」
アレックス・ワトソン「あの言葉?」
石白 星華「『俺は勝手に信じる。だからお前も勝手に信じろ。』あなたが言った言葉だよ」
アレックス・ワトソン「・・・」
石白 星華「30分だけでいい。30分待ってくれたら必ず有力な情報を持って帰るから。私を信じてよ」
アレックス・ワトソン「・・・わかった。信じるよ」
アレックス・ワトソン「ただし・・・それ以上時間が立てば」
石白 星華「突入してくれ」
アレックス・ワトソン「了解した。任せたぞ石白」
石白 星華「ああ!任せな!潜入は得意分野だ!」

〇教室
カリト・マリス「我々も鬼ではない。 英雄がこの教室にいるのはわかっているからな。素直に出てくれば他の者は逃がしてやろう」
ミカ(私のせいだ。このままじゃ私のせいで皆を死なせてしまうかもしれない。どうしたらいい?どうした皆を救える?)
ミカ(名乗り出るか?・・・ダメだ。もし彼らが嘘をついていたら。目的を達成した瞬間に用済みになった人質を殺してしまうかもしれない)
ミカ「でも・・・このままじゃ」
カリト・マリス「いないのか?そんなはずはないだろう?」
カリト・マリス「我々はすでに確認しているんだ。 この学校に我々が呼び出した亡霊。 それを消滅させた者がいる」
カリト・マリス「そんな真似ができるのはか『魔王殺しの英雄』だけだ」
ミカ(まさか!)

〇教室
「あの少女を無理やり呼び出したのは!」

〇教室
(この男なのか!?この男があの子を?)
ミカ(人の命をなんだと思ってるんだ!)
カリト・マリス「出てこないならこちらも考えがある。 おい!そこのお前!」
生徒「俺!?」
カリト・マリス「今からこの青年の指を一本ずつ切り落とす。 それが終われば次の生徒へ!どうだ?いい提案だろ?」
  謎の集団に囲まれたと思えば今度は指を切り落とすと脅してきた。
  クラスメイトは皆当然だがざわつき始める。
  たった一人を覗いて──
ラン「ここで一つ質問なんだけど」
カリト・マリス「なんだ?」
  彼女はこの状況で凛としていた。
  まるでテロリスト相手に交渉する警察官のように。
ラン「それって肩代わりできるの?」
ミカ「ラン!」
ラン「大丈夫だよ。 もうじき東軍が助けにくる。それまで時間を稼げればいいから」
カリト・マリス「いいだろう」
  男子生徒と相手を刺激しないようゆっくりと入れ替わって刃を指先に向けられても
  彼女は一切動じること無く堂々とした態度を取っていた。

〇城の廊下
石白 星華(不味いな)
  見張りを掻い潜りなんとか潜入したがそこには今にも指を切り落とされそうな生徒がいた。
  下手に踏み込めば生徒は皆殺しにされるかもしれない。
  かといって時間をかけすぎれば生徒が後遺症が残る拷問を受ける事になる。
石白 星華(アレックスに狙撃してもらうか? いや無理だ)
石白 星華(この距離で人質に当てずにテロリストだけに当てられる精密射撃はいくらアレックスでと拳銃では難しい)
石白 星華(私が突入すれば制圧はできるが、生徒が何人も犠牲になるだろう)
  手鏡の反射を使って外で待機しているアレックスに信号を送る。
  状況は最悪だ。本部には応援を要請しているが待っていたら生徒達が持たない。

〇ファンタジーの学園
  石白から信号を受けとる。
  二回光を反射させた。つまり「最悪な状況」と言うことだ。
アレックス・ワトソン「ックソ!!」
アレックス・ワトソン(今すぐにでも突入したいが、人手も装備も足りていない。 せめて狙撃銃があれば!!)
「正式に私と契約したら力を貸そう」
アレックス・ワトソン「お前は?──」
アレックス・ワトソン「どういう事だ!?」
  そこにはミカとそっくりな──否。同じ顔をした女がいた。

次のエピソード:18話「新たな武器」

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