〇教室の教壇
　　キーンコーンカーンコーン
　　「きりーつ」「れーい」
　　「ちゃくせきー」
袖川先生「はーい、きょうはここまでー。 ちゃんと宿題してきてね」
　　「はーい！！！」
げんき「そういえばさー、 もうすぐバレンタインじゃーん。 チョコくれよ、チョコー。 オナカ空くから、食べたいんだよ。」
げんき「チョコくれよ〜！ ブラックヨンダーでいいからくれよ〜」
かいと「さっき給食、食べたのにー！？」
げんき「甘いものは別腹だー！！！ ってことで、ゆう？なんか持ってない？」
ゆう「持ってたとしても、あげません。 学校に、お菓子持ってきちゃダメだし。」
げんき「そんな〜ケチ〜」
袖川先生（バレンタイン・・・ かぁ・・・）

〇散らかった職員室
袖川先生「あっ、神山先生、こんにちは。」
神山先生「やぁ、袖川先生。」
神山先生「明日は遠足の下見に行く日ですね。晴れるといいですね」
袖川先生（明日は、憧れの神山先生と二人で遠足の下見に行く日だわ。 しかも、バレンタインだなんて。 チャンスは明日しかない・・・）
袖川先生（よしっ）

〇家庭科室
袖川先生（明日の準備はバッチリだし、 あとは・・・ 神山先生に渡すチョコを用意するだけ）
袖川先生「家庭科の先生に頼んで、部屋を貸してもらったし」
袖川先生（・・・よし！ 頑張って作ってみよう。 お料理苦手だけど… えーと・・・）
　　ガラガラガシャーン！
　　ゴォー！
　　
　　「きゃー！」
袖川先生「ダメ・・・ええーん」

〇公園のベンチ
袖川先生（こっそり作ろうなんて浅はかだったわ。 やっぱり失敗しちゃった… どうしよう…）
袖川先生（家庭科室は片付けたけど、 もうあまり時間もないし・・・）

〇奇妙な屋台
袖川先生「ハァ…」
店主「あら、どうしたの？ため息ついちゃって」
袖川先生「もうすぐ、バレンタインでしょ。 好きな人に告白するために、 チョコを作ろうとしたけど、 ヘタで失敗して、途方にくれてるの」
袖川先生「これなんだけど、こんなの食べさせられない・・・」
店主「見せてみて。どれどれ・・・」
袖川先生「どうですか？」
店主「直接お鍋を火にかけたのかしら？チョコが焦げちゃってるわね」
袖川先生「ハァ・・・お料理苦手。 私ってダメだなぁ」
袖川先生「市販のでもいいんだけど、自分の手づくりで、気持ちを込めたものを食べてほしかったんだけどね」
店主「じゃあ、一緒に作りましょ。秘伝のレシピを教えてあげる！」
袖川先生「ありがとう、お願いします！」

〇奇妙な屋台
袖川先生「できたー！ たくさん作りすぎちゃった！！！」
店主「じゃあ、お店で売るからいいわよ〜 美味しくできたわよ〜」
袖川先生「ありがとうございます！」

〇池のほとり
神山先生「いい天気で良かったですねぇ」
袖川先生「はい。 あの・・・先生。 これを受け取ってください！」
神山先生「これは・・・開けてもいい？ わぁ、チョコだ！」
袖川先生「私の手作りなんです、よかったら食べてみて」
神山先生「じゃ、遠慮なく。 パクッ。モグモグモグモグ・・・」
神山先生「なんか胸がドキドキする、 身体もふわふわしてきた。 袖川先生…」
　　ガバッ。
　　神山先生が抱きついてきた、
袖川先生「きゃっ、先生！」
神山先生「先生・・・好きです、僕と結婚してください！」
袖川先生「え・・・ええ・・・」
　　ん・・・んん・・・

〇奇妙な屋台
店主「あら、なんだか騒がしいわね」
　　「これで告白すると、必ず成功するって」「本当〜？」
　　「袖川先生が、それで、神山先生と結婚するって、言ってたし」
　　「じゃあワタシも買う〜。一個ちょうだ〜い」「ワタシも〜」「ワタシも〜」
店主「ハイハイ、順番ね〜 押さない押さない」
店主「ハァ〜よく売れたわ。商売繁盛ね〜」
　　ちょっと!!!
店主「はい〜？」
パティシエ「ちょっと、アナタ！営業妨害なんだけど!!!」」
店主「あら、アナタ、 商店街のパティシエさんじゃない？ いったい、どうしたの？」
パティシエ「アナタがチョコレートを勝手に作って売ってるおかげで、ウチのチョコレートが全然売れなくて困ってるのよ！」」
店主「あら〜そうなの〜ごめんなさいね〜」
パティシエ「ごめんなさいじゃないわよ！用意したチョコレートが、こんなに余っちゃって、どうしてくれるの!!!」
店主「あら〜 じゃあ、ワタシが全部、買いましょうか？」