隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

第3話 作られた状況(脚本)

隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

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〇教室
黒光花楓「こうして2人きりで話すのは初めてだね、須美ちゃん」
  教室に足を踏み入れるなり、彼女はそう言った。
大心池須美「そうだね」
大心池須美(話って、この状況で私と何を話すつもりなんだろ? もしかして、脅しとか?)
大心池須美(妙に楽しそうな表情してるし、 良い話ってわけでもなさそうだなぁ)
  私が一人で不安を抱いていると、何かを察した様子の花楓が、ゆっくりと口を開いた。
黒光花楓「須美ちゃんは、さっきのを見てどう思った?」
大心池須美「どうって言われても・・・佐藤さんと喧嘩でもしたの?」
黒光花楓「あはは、まぁ、そんなところかな。でも、亜美ちゃんとホントに喧嘩してるのは、私じゃないけどね」
大心池須美(言ってる意味が分からないんだけど? じゃあ、さっきのは何だったワケ?)
大心池須美(なんて、直接聞くのはちょっと怖いなぁ そもそも私は部外者だし、聞く必要も無いよね)
大心池須美(となれば、すぐに会話を切り上げて、この場から逃げよう。 それが良いに決まってる)
  そんなことを考えた私が、適当に返事をしてその場を去ろうとした瞬間。
  花楓が私の言葉を遮るように告げた。
黒光花楓「割と序盤の方から聞いてたよね? 意外だったなぁ。 須美ちゃんは興味なさそうなのに」
大心池須美「別に、興味があったとかじゃないよ ただ、忘れ物を探したかっただけだから」
黒光花楓「それにしては、最後の方は結構聞き入ってたよね? 扉を開けようとしてたし」
大心池須美「・・・適当なこと言わないでくれない?」
黒光花楓「適当なんかじゃないよ。 でも、流石の須美ちゃんも、こういう場面では隠そうとするんだね」
大心池須美「・・・それは、どういう意味?」
黒光花楓「隠すか隠さないか。それだけの違い ・・・だっけ?」
大心池須美「え・・・!?」
大心池須美(どういうこと? なんでそれを・・・!?)
  見栄とか体面のために本音を隠すつもりは無い。
  それは、私が確立してきた考え方。
  そんなものを周囲の人間に言って回るような事をするワケが無い。
大心池須美(偶然・・・? それにしては話の流れがおかしいよね)
大心池須美(考えられるとしたら、同じ考え方を持ってる・・・とかかな?)
黒光花楓「当たってたかな?」
  笑みを浮かべる彼女は得意げだ
大心池須美(なんか癪だな・・・)
大心池須美「だったら何? っていうか、何か用でもあるワケ? 私まで喧嘩に巻き込みたいの?」
  言いながら、私は手に持っていたスマホをポケットに直した。
  とたん、花楓が慌てだす。
黒光花楓「ごめん! 言い過ぎた!! だから、まだ帰らないで!! 須美ちゃんに聞いて欲しい話があるんだ」
大心池須美「話? どうして私に?」
黒光花楓「う~ん、須美ちゃんとなら、仲良くなれるかなって、思ったから?」
  人差し指を唇に当てながらおどけて見せる花楓。
  そんな彼女に、私はもう一度尋ねた。
大心池須美「・・・どうして私に?」
黒光花楓「同じ質問・・・2回言うのは恥ずかしいんだよ?」
黒光花楓「オホンッ。 す、須美ちゃんとなら、仲良くなれるかな って・・・思ったんだ」
大心池須美「いや、2回聞きたかったワケじゃないんだけど・・・」
黒光花楓「ふふふ、知ってる。 どうして須美ちゃんなのか ってコトでしょ?」
大心池須美「・・・バカにしてる?」
黒光花楓「いやいや、そんなつもりは無いってぇ!! ほら、ユーモアって大事じゃない?」
大心池須美(今のをユーモアで済ませると思ってる? だとしたら、感性がかなりズレてるよね、この子)
大心池須美「はぁ・・・もういいや。 で、話って何?」
大心池須美(これ以上話を引き延ばされても面倒だし 早く聞いて適当に返事して 家に帰ろう)
  そんな軽い気持ちで問いかけた私は、
  続く花楓の言葉を上手く理解できなかった
黒光花楓「ワタシね、人の心が読めるんだ」
大心池須美「・・・・・・は?」
黒光花楓「それだけじゃなくてね、幻覚とか幻聴とかを引き起こしたり、無理をすれば記憶操作もできるの!!」
黒光花楓「まぁ、いわゆる超能力者ってヤツなんだよ」
大心池須美「いやいや・・・え?」
黒光花楓「いきなりそう言われても信じないよね? でも、よく考えてみて欲しいんだよ」
黒光花楓「1週間前、須美ちゃんは不思議な体験をしたはずだよ? 憶えてるよね?」
大心池須美「不思議な体験?」
大心池須美(1週間前と言えば・・・2学期の初日だ 不思議な体験。まぁ、心当たりはある けど・・・)
黒光花楓「亜美ちゃんが裁ちばさみを持って教室に突撃してきた時は、流石の私も肝を冷やしたよ」
黒光花楓「それに、須美ちゃんにハサミが見つかった時もね」
大心池須美「どうしてそれを・・・」
黒光花楓「どう? 思い出した? っていうか、覚えてたよね?」
黒光花楓「それと、ワタシの感性がズレてるってのは心外だなぁ。須美ちゃんも、結構ズレてると思うよ?」
大心池須美「っ!?」
大心池須美(これって、本当の話なワケ? 偶然でしょ? 流石に嘘だよね?)
黒光花楓「それが嘘じゃないんだよぉ~。 須美ちゃんも、薄々感づいてたじゃん。 ワタシがどこか変だって」
大心池須美「・・・ちょっと待って。 自然に思考と会話しないでくれる?」

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