おじさんはVtuberになった!なんとキャラ素材は!(脚本)
〇本屋
大原 和泉「真島ー。見ろよ」
大原 和泉「コメント通知がとまらん」
大原 和泉「『耳が妊娠しました』だって!いやあ、俺は罪なイケボだねぇ」
真島 陸「大原さーん。開店準備がまだ終わってませんよ。スマホいじらないでください」
大原 和泉「わるかった、わるかった。早く教えたくてさー」
真島 陸「またネットにボイス投稿したんですか?」
大原 和泉「ああ!今回もバズってるそ!」
大原 和泉「静止画でひとことしゃべるだけで、500万回再生だ!投稿して一晩で、500万回再生だぞ!」
大原 和泉「いやあ、イケボに生まれてしあわせだよ!新時代に活かせる才能だな!」
真島 陸「昭和生まれオタクはおそろしいですね。令和のカルチャーにもなじんでる」
大原 和泉「わははは、新卒でこのアニメショップに就職したからな。俺の脳みそは、二次元コンテンツしかつまってないぞ!」
真島 陸(俺も20年後にはこうなるのか?)
斉藤 進也「大原さん!大原さん!」
大原 和泉「どうした、斉藤?」
斉藤 進也「ついに発表されますよ!例の結果が!」
大原 和泉「お、やっとか。どれどれ公式アカウントは・・・」
真島 陸「またスマホいじって・・・サイン会でも予約したんですか?」
斉藤 進也「ちがう」
大原 和泉「もっとおもしろいもんだ」
真島 陸「俺、作業してますねー」
大原 和泉「これだな。ポチッとな」
大原 和泉「おお!」
斉藤 進也「おお!」
「受かったー!!」
真島 陸「受かったって、コミケのサークル参加ですか?」
斉藤 進也「ちがう」
大原 和泉「Vtuberだ」
真島 陸「ぶいちゅーばー・・・って、え、どういうことですか?」
大原 和泉「真島、アニメショップ店員なのに、Vtuberを知らないのか?」
斉藤 進也「これだからバイトは」
真島 陸「おまえもバイトだろ!」
真島 陸「Vtuberってアレですよね!動くイケメンイラストに合わせて・・・」
真島 陸「おまえの心臓、食べちゃうぞ」
真島 陸「とか、いっちゃうアレでしょ!?」
真島 陸「ドン引きなセリフでも、イケメンキャラだから許されちゃう、新しい二次元コンテンツ!」
大原 和泉「そう、それ」
斉藤 進也「Vtuberリスナーから石を投げられそうな説明だけどな」
真島 陸「それを、大原さんが!?」
大原 和泉「ああ。・・・そういや、真島は募集のときにインフルエンザで欠勤していたな」
大原 和泉「社内オーディションがあったんだよ」
大原 和泉「うちのショップの公式Vtuberオーディション」
大原 和泉「大原和泉、3000倍の倍率を見事突破しましたー!!」
斉藤 進也「よっ!さすが、乙女の腰をくだけさせるイケオジボイス!」
大原 和泉「よせやい、よせやい」
大原 和泉「合格したのは、斉藤がつくった素材のおかげだよ」
真島 陸「素材?」
斉藤 進也「Vtuberといえばキャラデータだろ?それをつくって、大原さんのボイスと合成して応募したんだ」
真島 陸「すご、本格的・・・」
大原 和泉「お、見ろよ。公式アカウント」
公式アカウント「今回採用された『札幌駅前店スタッフチーム』さんは、キャラデータを既に作成してくださっています」
公式アカウント「あまりにもイケメンなので、このキャラクターも採用決定!」
斉藤 進也「マジで!?よっしゃー!」
大原 和泉「やったな、斉藤!」
真島 陸「すごいですね、ふたりとも。おめでとうございます!」
「ありがとう!」
真島 陸「あ、応募動画が公開されている。みてみよう」
大原 和泉「ちょ・・・!?」
斉藤 進也「おまえがみたら・・・!?」
真島 陸「ポチッとな」
〇ゆめかわ
マジ・メッシュ「私の名は、マジ・メッシュ!」
マジ・メッシュ「アニメショップ『タイムレス』のVtuber(仮)だ!!」
マジ・メッシュ「私の声で、みんなをとろけさせてあげようじゃないか!」
マジ・メッシュ「イヤホン、ヘッドホンの準備はいいかな?ないなら、スマホに耳を近づけて!」
マジ・メッシュ「みんなの好きなセリフ、いくよ?」
マジ・メッシュ「せーの・・・」
マジ・メッシュ「タイムレスなら現金値引き!」
マジ・メッシュ「現金値引きのアニメショップは、タイムレスだけ!」
マジ・メッシュ「きみはオタクだよね?かしこいオタクだよね?みんなでいこう、タイムレス!」
マジ・メッシュ「お店で待ってるよ。来てくれたら、お兄さんが優しくして、あ、げ、る」
〇本屋
真島 陸「このキャラ・・・って」
真島 陸「俺じゃないですかあぁぁ!?」
斉藤 進也「CGデータでもわかったか・・・」
真島 陸「わかるでしょ、こんなにそっくりだと!」
大原 和泉「データをつくるときに、参考になりそうな人物写真や画像を探したんだが・・・」
斉藤 進也「勝手に使っていいものが見つからず・・・」
「身近にいるイケメンを参考にしちゃった!」
真島 陸「そんな・・・」
大原 和泉「やっぱ、怒ってる?」
真島 陸「俺の顔で・・・こんなイケボを出すなんて・・・俺がイケボ・・・」
真島 陸「最高じゃないですか!」
「え?」
真島 陸「俺、顔はイケてるけど、声は普通なのが、コンプレックスだったんですよ!」
真島 陸「うわー、うれしいなあ。もう一回、再生しよう。ポチッとな」
マジ・メッシュ「現金値引き、現金値引き!」
真島 陸「あぁぁ・・・俺、カッコいい!」
斉藤 進也「ね、大原さん。言ったとおりでしょ?」
斉藤 進也「真島は自分の顔が好きだから、素材にしても大丈夫だって」
大原 和泉「新世代オタクは外見に自信があるんだな・・・俺の世代とはちがうな」
マジ・メッシュ「現金値引き、現金値引き!」
真島 陸「カッコいい・・・」
蓋を開けてみれば、3人がそれぞれの長所を生かしてチームで勝ち取った合格だったんだ。ストーリー展開も面白いけど、何より3人が世代や立場を超えてわちゃわちゃと楽しそうな雰囲気が最高でした。
耳が妊娠するって初めて聞いた表現だけれど、どのくらいのイケボなのか一瞬で想像出来ました🤣
是非とも直接会って声を聞いて見たいものです💗
そしてこの3人の会話を見ていると、とても仲良さそうで楽しい職場なんだなあと思いました☺️
Vtuberは昨今色々なキャラクターがいて、でもトーク力が無いと生き残れない世界でもありますよね。
企業専属のVtuberも凄く力入ってるなぁと感じます。
現金値引きはどストレートの決め言葉ですね笑