英雄親子は名誉を捨てる

筑豊ナンバー

16話「敵の目標」(脚本)

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〇実家の居間
  訓練が終わりに肩を並べて武器の手入れをする。
   これが兄妹の日課だった
不知火 明花「なぁ兄貴!!」
不知火 白夜「どうした?」
不知火 明花「兄貴は戦争が終わったら何をやるんだ?」
不知火 白夜「‥‥何も考えてないな」
不知火 明花「そうか。なら俺と旅にでないか?多分と楽しくなると思うんだよ!」
不知火 白夜「多分かよ‥‥まあ悪くないな」
不知火 明花「戦争が終われば何処でも好きなとこに行ける。やりたいこと片っ端からやるんだ」
不知火 白夜「ああ。楽しみだな」
  思えばこれが最後に見た兄の笑みだったな。

〇田舎の病院の病室
ミカ「明花!明花!!」
不知火 明花「・・・ここは?」
ミカ「良かった!心配しましたよ!」
  清潔間があり消毒臭い空間。
  なんとなくだが自分の現状を察する。
不知火 明花「病院か?」
ミカ「はい!倒れているとこを白夜先生が連れてきてくれたんですよ!」
不知火 明花「そうだ兄貴は!」
ミカ「白夜先生なら帰りました。 「目覚め一番に俺を見たくないだろ」って」
不知火 明花「そうか・・・」
アレックス・ワトソン「無事か!」
不知火 明花「ああ、こんぐらいどおっておとねぇよ」
アレックス・ワトソン「・・・」
  明花の容態を確認するとアレックスは簡単な事情徴収を始めた。
アレックス・ワトソン「相手はヘリオ・ゴンザリスで間違いないな?」
不知火 明花「ああ。間違いない。なぜわざわざ俺を狙ってきたのかはわからないが──」
アレックス・ワトソン「どうした?」
不知火 明花「いや・・・なんか裏がある気がしてな。 なんかあの野郎あからさまに目立とうとしてるような気がするんだ。」
アレックス・ワトソン「・・・囮の可能性が有るってことか?」
不知火 明花「ああ」
アレックス・ワトソン「了解した」
アレックス・ワトソン「ミカはこの件には首を突っ込むな」
ミカ「当たり前じゃないですか。普通の女子高生ですよ?」
アレックス・ワトソン「違う。・・・『魔王殺しの英雄』に言ってるんだ」
ミカ「・・・知ってたんですね」
アレックス・ワトソン「・・・」
石白 星華「え!?アレックスもう帰るの!?」
  無言でアレックスは退出してすれ違いざまに女が入室した。
石白 星華「ごめんねミカちゃん。なんか言われた?」
ミカ「いえ」
  ミカは下を向いたままで、落ち込んでいるように見える。
   当然だろう。
   ミカはアレックスによく懐いていた。
  まるで娘が父親を慕うように。
  おそらく誰よりも知られたくなかった相手だったはずだ。
不知火 明花「師匠!」
石白 星華「元気そうで何よりだよ明花、あっ!これそこの売店で買って来たお土産」
不知火 明花「ありがとうございます。師匠!」
ミカ「・・・」
  石白は笑顔で励ますようにミカの肩を叩いた。
石白 星華「ほら!どうしたの?」
ミカ「私は、間違っているんでしょうか?やっぱし普通に暮す事なんてむしのいい話で私には無理なんでしょうか?」
石白 星華「・・・」
ミカ「よく夢を見るんです。死んだ仲間が、羨ましそうに見てくるんです。『人殺し』『何故お前だけ普通にくらせるんだ?』って」
石白 星華「それは夢の話でしょ?気にする必要はない」
石白 星華「ミカは戦死した人達のやり残した事を代わりにやったんだから恨まれる筋合いは無いよ」
石白 星華「はい!これ使って!」
ミカ「ありがとうございます」
石白 星華「またくるよ!明花は安静にね!」
不知火 明花「わかってますよ!」

〇おしゃれな廊下
石白 星華「良かったの?」
アレックス・ワトソン「何がだ?」
石白 星華「ミカの件だよ。血の繋がった親子何でしょ?」
アレックス・ワトソン「今はこれで良い。あの子をこれ以上巻き込むわけには行かないだろ?俺達大人がやるべきなんだよ。汚い仕事っては」
  不器用な男だ。
  ほかにも方法はあるだろうに。
石白 星華「これからどうする?裏社会の情報屋でも雇う?」
アレックス・ワトソン「そうだな」
石白 星華「冗談のつもりだったんだけど?」
アレックス・ワトソン「キレイ事で形だけの正義と手段を選ばない汚い正義、どっちのが正しいと思う?俺は汚い方を取るぞ?」
石白 星華「‥‥アレックスらしいね。付き合うよ」

〇ヨーロッパの街並み
  アレックスの行きつけの情報屋があると聞き、裏路地にでも行くのかと思っていると普通の居酒屋に到着した。
石白 星華「ここで本当にあってるの?」
アレックス・ワトソン「ここで間違いない」
  居酒屋の入り口には七時から開店と書かれた看板が置かれていたが、アレックスは無視して入店していく。

〇立ち飲み屋
  店の内装は全体的に古臭く、壁一面にポスターやチラシが貼られている。
  全体的に見ると散らかっているように見えるが、細かく見ると片付いている。
店主「おい!まだ開店前だぞ!」
店主「──ってなんだお前かアレックス」
アレックス・ワトソン「欲しい情報がある」
店主「連続放火事件の情報だろ? すでにまとめてある。ほらよ」
アレックス・ワトソン「早いに越したことはないが・・・なぜ準備してあったんだ?」
店主「お前さんらと同じ依頼をされててな。 そいつはそん時のコピーだよ」
石白 星華「誰からその依頼を?」
店主「そりゃ俺に聞くまでもないだろ?」
アレックス・ワトソン「白夜か・・・」
店主「あとこいつも渡しとくよ」
アレックス・ワトソン「これは?」
店主「白夜に後からくる二人組に渡してくれと頼まれてなぁ。 そんぐらいならって預かっといたんだよ」
アレックス・ワトソン「助かった。またくる」
  金が入った封筒を置いてその場をあとにする。

〇兵舎
  ヘリオ・ゴンザリスの件は勝手だがこちらで片付けさせてもらう。
  だが安心して欲しい。
  必ず殺さずに東軍へ引き渡す。ただしきっちりけじめをつけさせてからな。
  ここからが本題だ。
  俺がヘリオ・ゴンザリスを捕まえに行くのは明花の仇うちもあるがあんたらに別に動いて欲しい事がある。
  もう気づいていると思うがヘリオ・ゴンザリスは魔王教会の一員で囮役だ。
  連中の本命はいくつかあるが今一番危険なのは──

〇教室
  ──イーストフューチャー 学園。
  ミカが通っている学校だ。

次のエピソード:17話「届かない射程」

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