隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

第2話 忘れ物(脚本)

隣の席の花楓さんは、世界の全てを見透かして

内村一樹

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〇まっすぐの廊下
  ──夏休みが明けてから1週間後。
大心池須美(私は──大心池須美(おごろちすみ)は いたって普通の女子高生。だと思う)
大心池須美(空気を読まず、頑固で、馴染めない。 同じような高校生は、どこにでもいるでしょ?)
大心池須美(──いや、そうでもないのかな?)
大心池須美(だけど、同じような考えの人は、沢山いるんじゃないかな?)
大心池須美(少なくとも私は、そう考えてる)
大心池須美(選択に差があるだけで、本質は変わらない 誰だって、本音を晒せる世界の方が良いでしょ?)
大心池須美(自分の本音を『隠す』か『隠さない』か その選択の違いしかないんだ)
大心池須美(ね? やっぱり私は普通なんだよ)
大心池須美(・・・なんてね。 こんなのは屁理屈だ そうじゃないってことは私も分かってるよ)
大心池須美(こんな考えを持ってるおかげで、 私は高校1年の夏休み前には既に クラスで浮いた存在になってたんだ)
大心池須美(でもまぁ、そんなありきたりな話なんて 正直どうでも良いよね?)
大心池須美(だって、私なんかよりも浮いてる生徒が このクラスには居るんだから)
大心池須美(彼女の名前は黒光花楓(くろみつかえで) 何も知らない人が見れば、 彼女は普通の女子高生に見えるはず)
大心池須美(だけど、私達は知ってる。 彼女が、私達の思う『普通』に該当しないことを)
大心池須美(それが初めて露呈したのは、入学から1か月が経った頃。 ある理由で先輩が1人自主退学したんだ)
大心池須美(噂では、その先輩は『自主退学に追い込まれた』らしい。 詳しくは知らないけどね)
大心池須美(その噂だけなら、『ただの噂』で済ませることもできるんだけど。 彼女はその噂を否定しなかったんだよね)
大心池須美(っていうか、噂を聞いた彼女は、質問をしたクラスメイトに対して、こう言ったらしい)
黒光花楓「あぁ~。恋愛相談をねぇ。ちょっと言いすぎちゃったかもしれないけど、別に変なことはしてないよ!! たぶん!!」
大心池須美(正直、彼女に関心は無かったんだけど、 そんなことを言っている姿を目の前で見たら、警戒しちゃうよね?)
大心池須美(ある意味、思ったことをストレートに言ってるわけだから、私の理想の生き方なんだけど・・・)
大心池須美(私にもまだ、普通の感覚が残ってるんだな と気づかされたよね)
大心池須美(とまぁ、それがもう4か月ほど前の話)
大心池須美(このまま関わりなく日々を過ごしていくんだろうなぁ。 なんて思ってたんだけど)
大心池須美(私は今、花楓のヒミツを目の当たりにしているかもしれない)

〇黒

〇教室
佐藤亜美「なんでそんなこと言うのよ!!」
  教室の中から響いてきたのは、佐藤亜美の怒声。
  教室には彼女と花楓の2人がいる。
  逆に言えば、2人以外には誰も居ない。
  部外者と言えるのは、扉の陰に隠れて様子を伺ってる私くらいだ。
大心池須美(忘れ物を取りに来ただけなんだけど・・・ これじゃ、入れないよね)
大心池須美(っていうか、これはどういう状況? なんで、佐藤は花楓に怒ってるワケ?)
大心池須美(花楓はずっと黙ったままだし。 話の内容も、ちょっと変な気がする)
佐藤亜美「ウチはまだ、壮馬のことが・・・好きなのに・・・どうして!? どうして別れるなんて言うの!?」
佐藤亜美「考え直してよ! どうしてウチじゃダメなの!? 夏休みも、一緒に遊んでたじゃん・・・」
佐藤亜美「ウチ、悪い所があるなら直すから!! 絶対に嫌われないように頑張るから!!」
黒光花楓「・・・」
大心池須美(花楓は・・・やっぱり反応なし どういう状況よ、これ)
大心池須美(佐藤が元カレに怒りをぶつけるのは分かる けど、教室にいるのは花楓だけだよね?)

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