ねこ太くん

ちろり

ねこ太くん登場篇(脚本)

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〇綺麗なリビング
  第一話 ねこ太の誕生日の巻
雑色趣里「明日2月2日はニャンニャンで ねこ太の誕生日ね〜 何か食べたいものある?」
ねこ太「かつぶし」
雑色趣里「かつお節パック好きだもんね! 他には?」
ねこ太「あじ」
雑色趣里「開き?たたき? どっちにしてもバースデーぽくないわね ケーキとかいらない?」
ねこ太「いらない、じゃ、あとマグロ」
雑色趣里「マグロね、じゃマグロとアジをのっけたチラシ寿司を作ろうか、お祝いっぽく」
ねこ太「うひょ〜い!楽しみだなあ」
雑色趣里「律は魚屋さんに行って尾頭付きを 買ってきて、お祝いなんだから」
雑色律「了解!」
  次の日─
  新聞を読む趣里
雑色趣里「何なに、6月生まれの律の運勢はっと… 『水難の卦あり、ターレーに要注意』」
雑色趣里「ずいぶんピンポイントね ターレーって何だっけ? オートバイだっけ?そりゃハーレーか」

〇築地市場
雑色律「尾頭付きを探して とうとう築地まで来ちまったよ」
ねこ太「お魚いっぱい」
雑色律「ねこ太、ごちゃごちゃしてるから気をつけろよ」
  と言っている自分がつまずき
  氷水の入ったトロ箱に、頭から突っ込む
  あわてて水から飛び出す律
  そのまま通路によろめき出て
  ターレーに轢かれる

〇綺麗なキッチン
「ただいま〜」
雑色趣里「遅かったね、お疲れ様〜 尾頭付き買えた?」
  三角巾で腕を吊り
  頭に包帯を巻いた律が立っている
雑色趣里「えっ大変!どうしたの?」
雑色律「…ターレーに轢かれた」
雑色趣里「…ピンポイントで当たった── それで、ねこ太は無事なの!?」
ねこ太「ねこ太平気だよ」
雑色律「そんなこんなで 尾頭付きを買えなかったよ」
雑色趣里「まぁ命に別状がなくて良かったわ 尾頭付きだけに、いタイ結果になっちゃったわね」
雑色律「こんな時に上手いこと言わなくてもいいよ」
ねこ太「どこがおいしいの?」
雑色趣里「そうだ!じゃ鯛の代わりに鯛焼きにしよっか!」
雑色律「それもいいアンだ! 鯛焼きだけに、なんつって」
ねこ太「いいアン、だけに?」
  鯛焼きを食べる三人
ねこ太「これは甘いタイ?」
雑色趣里「これは、形だけお魚のお菓子なの」
ねこ太「ふ〜ん、ねこ太、かつぶしの方が好きかも」
雑色律「ねこ太は鰹節が好きだな 将来は道場六三郎みたいな料理人になるかも」
雑色趣里「ねこ太は大きくなったら、何になりたいの?」
ねこ太「ねこ太、ホータイを巻きたいの」
雑色趣里「お医者さんになるってこと?」
ねこ太「うぅん、ホータイを巻きたいの、頭に」
雑色趣里「ターバンのことかな?」
雑色律「子供って、変なことをしたがるんだよ」
雑色趣里「あなたが言う?」
ねこ太「あと、病院で猫とか犬が首につける 大きくて丸いやつもつけたい」
雑色趣里「エリザベスカラー?」
雑色律「あれは、あんまり人間はつけないな」
ねこ太「だめ?」
雑色趣里「ダメじゃないけど──」
雑色趣里「そうだ!いいこと思いついた 誕生日だからスペシャルよ!」
  2時間後─
雑色趣里「じゃ〜ん!どう、ねこ太、気に入った?」
  頭にターバンとアクセサリー
  首に中世貴族のような「ひだ襟」をつけた
  ねこ太が立っている
雑色趣里「DIYで作ってみました〜」
雑色律「マハラジャと宣教師? いいなー、オレの分は?」
雑色趣里「あなたもつけたいの?」
雑色律「ねこ太ばっかりヒイキしてる!」
雑色趣里「バカじゃないの」
ねこ太「ねこ太、バカみたい?」
雑色趣里「うぅん、ひだ襟は服を汚さないためのエプロンがルーツだから、ねこ太がつける分には理に適ってるのよ」
雑色趣里「だから、あなたには必要ないの!」
雑色律「オレだって、食べ物こぼすよ!」
雑色趣里「何の自慢よ!子供か!」
  二人の言い争いを聞きながら
  ひだ襟の上にアジの開きを乗せてみる

〇神社の本殿
  第0話 ねこ太誕生の巻
  境内で遊ぶ子供たち
トンパチ「楽しそうだニャ〜 トンパチもみんなと遊んでみたいニャ〜」
  みっちやん、ご飯よ〜
  帰ってらっしゃ〜い
子供5「は〜い」
子供3「もう、そんな時間か〜 おれたちも帰ろうぜ」
子供4「うん、じゃ、二人とも、また明日ね!」
子供5「ばいば〜い」
子供3「おぅ、また明日!」
トンパチ「いいニャ〜 お母さんが、あったかいご飯を 作ってるんだろうニャ〜」
トンパチ「トンパチも人間になりたいニャ〜」

〇神社の本殿
トンパチ「…人間になれないかニャ──」

〇川沿いの公園
  ある日のこと

〇総合病院
「オギャ〜オギャ〜」

〇病室のベッド
看護士「おめでとうございます 元気な男の子ですよ」
雑色趣里「…私の赤ちゃん、何て可愛いの!」
トンパチ(フニャ、人間の赤ちゃんになったぞ! ばんにゃ〜い!)
雑色趣里「看護師さん、この子のパパはまだ来てませんか?」
看護士「ご連絡したんですが まだいらっしゃってないようです‥」
  その時、病室のドアを開けて律が飛び込んでくる!
雑色律「はぁはぁ…趣里、赤ちゃんは、俺たちの赤ちゃんは!」
看護士「雑色さん、元気な男の赤ちゃんですよ」
雑色律「そうかぁ、趣里ありがとう、ありがとう やったなぁ、俺たちの子供だよ!」
雑色趣里「律くん、どこをウロチョロしてこんなに遅くなったの!私待ってたんだから!」
雑色律「ごめん、ごめん、病院から連絡もらって すぐ家を出たんだけどさ、今日の 占いのラッキーカラーがピンクだったの」
雑色律「それでピンクを見るまで道を曲がらないって、決めたもんだから、どんどん病院から遠ざかっちゃって、ここまで来るのに苦労したよ」
  看護師、変わったものを見る目で律を見る
雑色趣里「この人、いつもこんな風に自分で変なルールをこさえて、それに縛られちゃうのよ」
看護士「ちょっと不自由ですかね、笑」
雑色趣里「面倒な性格としか言えないんですよ」
雑色律「それで、歩いてる間にこの子の名前を思いついたんだ、ねこ太っていうんだけど どうかな?」
雑色趣里「そういう苗字の人はいるけど」
雑色律「OLはみんな猫が好きだろ?ずっとOLにモテる人生になるんだ、すごくない?」
看護士(なぜOL基準?)
雑色趣里「まあ、でもこの子、ちょっと猫っぽいから ねこ太でもいいかも」
  赤ちゃんが「にゃ〜」と声を出す
雑色律「ほら、この子も気に入ったってさ お前、これで一生OLに不自由しないぞ」
看護士(だから、なぜOL基準!)

〇荒れた公園
  第二話 チョコレート問題
「ねこ太は近所の長老猫、三毛先生に 人間社会での暮らし方を教わっている──」
三毛先生「ねこ太よ、本日の教えじゃ われら猫にはチョコレートは禁物 チョコを食べたら猫は中毒を起こし」
三毛先生「悪くすると死んでしまうのじゃ チョコには気をつけるのじゃぞ」
ねこ太「え〜そうなの 分かった。ねこ太チョコ食べないよ」

〇幼稚園の教室
  翌日─
  ねこ太の毎日
  保育園にいく。みんなと遊ぶ
  お昼ごはんを食べる
  お昼寝する。先生に絵本を読んでもらう
  おやつを食べる
  みんなと遊ぶ。うちへ帰る
雑色律「ねこ太、お待たせ〜 今日は面白かった?」
ねこ太「うん、ねこ太おもしろかった ──ねぇ、父ちゃん、父ちゃんは今日チョコ食べた?」
雑色律「父ちゃんは食べてないよ 抽選販売の変身ベルトが当たるように 願掛けで、チョコを絶ってるからな」
ねこ太「よくわかんないけど 食べてないんだね」

〇綺麗なリビング
  家に帰って
雑色趣里「おかえり!ねこ太」
ねこ太「ねえ、ママ、ねこ太は今日チョコ 食べてないよね?」
雑色趣里「虫歯でも気にしてるの? 保育園でブクブクしたんでしょ?」
ねこ太「──」
雑色趣里「ん〜、そうね、お昼のパンは チョコクリームだし おやつのクッキーにも入ってたから 食べたって言えば食べてるわね」
ねこ太「食べてた──」
ねこ太「ねこ太、死ぬ!」
雑色趣里「どうした、どうした!?」
ねこ太「チョコ食べたから、ねこ太死ぬ〜」
雑色律「そうか!そりゃ大変だ! チョコを食べちゃったのか!」
雑色趣里「何言ってんの!脅してどうすんのよ!」
雑色趣里「ねこ太、チョコを食べても 死んだりしないわよ!大丈夫!」
ねこ太「だって、猫はチョコ食べたら死ぬんでしょ〜」
雑色趣里「猫には毒かもしれないけど ねこ太は人間だから大丈夫よ!ねっ」
雑色律「その通りだ!大丈夫だぞ、ねこ太!」
雑色律「食べて死ぬのは、松茸、フォアグラ、キャビアなどだ!」
雑色趣里「どさくさに紛れて、また嘘を教えるな!」
雑色律「あんなに高いものを買ったら、 生活苦で死ぬわ!」
雑色趣里「悲しすぎる現実、子供の前で言うな!」
  二人が言い争ってる間に
  気がつくねこ太
ねこ太「そうだ、ねこ太は人間だったよ よかった!」
雑色律「あとヌード写真は目の毒だぞ!」
雑色趣里「本当バカね!」
  チョコが好きになったねこ太
ねこ太「チョコの中に種あった!」
雑色趣里「それはアーモンドよ!」

〇改札口前
  第三話 ねこ太電車に乗るの巻
雑色律「よ〜し、今日は電車に乗るぞ!」
ねこ太「わーい」

〇駅のホーム

〇電車の座席
雑色律「靴を脱げば椅子に昇って外見ていいぞ」
  窓の外をじっと見るねこ太
ねこ太「家がどんどん飛んでいく」
雑色律「そうか良かったな」
雑色律「パン食べるか」
ねこ太「うん」

〇田舎駅のホーム
雑色律「終点だ」
ねこ太「たくさん乗ったね」
雑色律「あっちに湖があるらしいぞ、行くか」
ねこ太「うん」

〇湖のある公園
雑色律「湖だ」
ねこ太「広いねえ」
雑色律「スワンボートがある!乗ってみるか?」
ねこ太「いい。今日は電車に乗ったから」
ねこ太「楽しいのは一日一個でいいの」
雑色律「そうか、1個あればいいな」
ねこ太「うん」
  おわり

コメント

  • 猫好きにもほのぼの系のお笑い好きにもたまらない作品ですね。占いどおりにターレーに轢かれる律パパが最高すぎる。ターバンを巻いて襟に干物を乗せるねこ太を想像したら面白かわいすぎました。「ばんにゃ〜い」っていつか使ってみたいです。

  • ねこ太君とその家族のほのぼのとした日常にほっこりしました😊
    1話1話が短いのでショートアニメに向いていますね!
    忙しい現代人にピッタリの作品です!!(^ ^)

  • カワイイが渋滞してますね。
    ずっと読んでも飽きない感じが良いですね。
    ママの喋り方が面白くて好きです。

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