第1話「好きっていいなよ」(脚本)
〇黒
──人には誰しも悩みがある。
その悩みは他人にとってはほんの些細なことなのかもしれない。
それでも当人にとっては大きな悩みであることに変わりがない。
他人にとっては些細なものなのだろうが、僕にも悩みがあった。
〇見晴らしのいい公園
そして、僕はその悩みを解決したくて・・・
〇黒背景
星に願った。
どうか自分を貫ける人になれますように。
他人の目なんか気にしない人間になれますようにと────────
〇古いアパートの一室
沢木 アキラ「それで・・・」
沢木 アキラ「なんでその願いで君が現れるわけ???」
ナイト「デュフフwww」
ナイト「君が願ったとおり」
ナイト「誰の目も気にしないような人格である俺が生まれたってことだよwww」
ナイト「この説明何回目???www」
ナイト「もしかして理解力皆無???www」
沢木 アキラ「いや・・・」
沢木 アキラ「人格がもう1つ生まれるのは百歩譲ってわかるよ・・・」
沢木 アキラ「でもなんでもう1つの人格が・・・」
沢木 アキラ「オタクなんだよ!!!!!!!!!」
ナイト「なににイライラしてんのかよくわかんないけど・・・」
ナイト「オタクのなにが悪いでござるか!?!?!?””」
沢木 アキラ「いや普通に嫌でしょ!?!?!?」
沢木 アキラ「もっとなんていうかさ・・・」
沢木 アキラ「普通はかっこよくて男前な強い男の人格とかじゃない!?!?!?」
ナイト「まるで拙者がダサいとでも言いたいようでござるね!!!」
沢木 アキラ「そりゃそうだよ!!!」
沢木 アキラ「なんで僕に憑依して早々に・・・」
沢木 アキラ「部屋中プニキュアのグッズで満たしてんの!?!?!?」
沢木 アキラ「嫌でしょ!?!? 人格とか関係なく嫌でしょ!?!?」
ナイト「お主、プニキュアを馬鹿にしたでござるな!?!?!?」
ナイト「プニキュアは日本が誇る文化ぞ!?!? ジャパニーズトレジャーぞ!?!?!?」
ナイト「なによりもこのグッズはそもそも・・・」
沢木 アキラ「やめろ!!!もういい!!!!!!それ以上は聞きたくない!!!!!!」
そんなこんなで僕の平穏は
この謎の「ナイト」と名乗るオタクの人格のせいで
大きく変化することとなった。
・・・というかナイトってなんだよ。ダサ。何歳だよこいつ。
〇おしゃれなリビングダイニング
沢木 アキラ「おはよう母さん」
沢木 タカコ「あらアキラ」
沢木 タカコ「日曜日なのに早起きね」
沢木 アキラ「え・・・あ・・・うん・・・」
沢木 アキラ「なんかたまには早起きもいいかなって」
沢木 アキラ(本当はナイトがプニキュアをリアルタイムでみたいと夢の中で叩き起こしてきたからなんだけどね・・・)
沢木 タカコ「ん・・・? なにか言った?」
沢木 アキラ「ううん!!朝ご飯食べたいなぁなんて!!」
沢木 タカコ「・・・? あらそう。今作るから待っててね」
沢木 アキラ「ありが・・・」
沢木 リキオ「アキラぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
沢木 リキオ「お前もようやくだらけた生活から抜け出す気になったか!?!?!?」
沢木 アキラ「うわっ・・・!!!!!」
沢木 リキオ「なんだお前!?!?親の顔をみて「うわ!?」と言ったのか!?!?」
沢木 アキラ「あ・・・いや・・・違うよ・・・」
沢木 アキラ「少し驚いちゃっただけだよ」
沢木 リキオ「この程度で驚くなど貧弱もいいところだなぁ!!!」
沢木 アキラ「あ・・・うん・・・ごめんなさい・・・」
沢木 タカコ「・・・・・・・・・。」
「おはようございます。父さん、母さん」
沢木 リキオ「おぉタダシか」
沢木 リキオ「お前は相変わらず早起きで偉いな」
沢木 アキラ「おはよう兄さん」
沢木 タダシ「うん。アキラもおはよう」
沢木 リキオ「今日もタダシはカフェで勉強か?」
沢木 タダシ「うん。もう試験も近いし、予習もしたいからね」
沢木 リキオ「そうかそうか!!気をつけていくんだぞ!」
沢木 タダシ「ありがとう。行ってきます」
沢木 リキオ「本当にタダシは真面目で自慢の息子だ・・・」
沢木 リキオ「それに比べて・・・」
沢木 アキラ(あ・・・まずい・・・また怒られる・・・逃げなきゃ・・・!!!!!)
沢木 アキラ「それじゃあ!僕は部屋に戻ってやることがあるから!!」
沢木 リキオ「おい!!!アキラ!!!逃げるんじゃない!!!」
沢木 タカコ「あれ・・・?ご飯は・・・?」
〇古いアパートの一室
沢木 アキラ「はぁ・・・朝からなんなんだよもう・・・」
ナイト「アキラ氏・・・」
ナイト「プニキュアは?」
沢木 アキラ「今の見てなかったの???」
沢木 アキラ「あの父さんの前でプニキュア観れるわけないでしょ!?!?」
ナイト「なんででござるか!?!?」
沢木 アキラ「なんでって・・・」
沢木 アキラ「父さんの前で観たら「男の癖に」とか言われて蔑まれるんだよ」
沢木 アキラ「僕の人権がなくなるでしょ!?!?」
ナイト「なにを言ってるのか意味がわからないでござる」
ナイト「誰にも迷惑をかけずに好きなものを好きと言って楽しんでなんで人権がなくなるんでござるか!?!?」
ナイト「そんな悲しい国なのでござるか!?!?この国は??」
ナイト「否。そんなわけがない」
ナイト「人権なんてそんな簡単に失うもんじゃないでござる!!!」
ナイト「そんな強い言葉を簡単に吐き出すなでござる!!!」
沢木 アキラ「はぁ???別に今どきこんな言葉みんな使ってるよ!!!君みたいなオタクに注意されるようなこと僕は言ってない!!!」
ナイト「・・・」
ナイト「そうでござるね・・・」
ナイト「申し訳なかったでござる・・・」
沢木 アキラ「え・・・?」
ナイト「別に拙者はアキラ氏を責めたいわけじゃないでござる」
ナイト「ただ・・・」
ナイト「ただ好きなものを好きと胸を張って生きてほしい・・・そう思っただけでござる」
沢木 アキラ「・・・」
ナイト「アキラ氏のこと、あの流れ星の日よりも前から観てたでござるよ」
ナイト「嬉しかったでござる。拙者も好きな作品をこそこそしながらではあるけど、本当に心の奥底から愛していて・・・」
ナイト「だから幸せになってほしかったでござる」
ナイト「だからアキラ氏のところにきたでござる」
ナイト「周りの目が気になるのは仲間がいないからでござる。寂しくて不安だからでござる」
ナイト「だから、拙者はアキラと友達になりたいと思ったんでござるよ」
ナイト「好きなものは好きと胸を張れるように」
沢木 アキラ「・・・僕もごめん」
沢木 アキラ「僕、恥ずかしかったんだ。」
沢木 アキラ「子供向けの・・・しかも女の子向けのアニメにニヤニヤして・・・」
沢木 アキラ「きっと軽蔑されるって怖くて・・・」
沢木 アキラ「そうだよね」
沢木 アキラ「好きなものは好きって胸張ってもいいよね」
沢木 アキラ「ありがとう!!ナイト!!!」
ガチャッ
沢木 タカコ「アキラ・・・ご飯持ってき・・・」
沢木 タカコ「なにこのフィギュアやポスター・・・」
沢木 リキオ「ん・・・?」
沢木 リキオ「な・・・なんだこの部屋は・・・?」
沢木 アキラ「あ!!母さん!!父さん!!」
沢木 アキラ「僕はプニキュアっていうアニメが大好きなんだ!!!」
沢木 アキラ「これが僕さ!!!!!!!!」
沢木 タカコ「・・・」
沢木 リキオ「・・・」
沢木 アキラ「ん・・・?」
沢木 タカコ「それじゃあ・・・食べたら食器持ってきてね・・・!!!!!」
沢木 リキオ「アキラ・・・話をしようじゃないか・・・」
沢木 アキラ「え・・・?」
沢木 リキオ「娯楽に時間を費やせるほどお前は余裕があるのかぁ!!!!!!!!!!!!」
沢木 アキラ「え・・・ナイト・・・どうしよう???」
沢木 アキラ「めっちゃ父さん怒ってるんだけど!?!?」
ナイト「好きなものは好きと胸を張ればいいけど」
ナイト「だからと言って皆が理解してくれるわけがないでござるよ〜」
沢木 アキラ「ナイト!?!?どこ行くの!?!?!?」
沢木 リキオ「なにがナイトだぁ!?!?!?!?!?意味をわからんこと言ってないでそこに座れ!!!!」
沢木 リキオ「こんなものを買わせるために小遣いを与えてるんじゃないぞ!!!!!!!」
このあと・・・
僕は1時間ほど父さんの熱い指導を受けることになった
やっぱりとんでもないやつだあいつは・・・
〇黒
・・・
「下界の人間どもが騒がしいのう・・・」
「シズカ・・・お前の兄が怒られているようじゃぞ・・・」
沢木 シズカ「そうね・・・」
沢木 シズカ「いつものことよ・・・」
沢木 シズカ「そんなことよりそろそろ会議をしましょう・・・」
沢木 シズカ「この世界に訪れる危機について・・・」
「ほう・・・」
「シズカ・・・お前はこの世界を救う気なのか?」
沢木 シズカ「さぁね・・・」
沢木 シズカ「でも・・・終わらせるには惜しいわ」
沢木 シズカ「この世界は・・・」
沢木 シズカ「あなたもそう思っているんでしょう?」
沢木 シズカ「堕天使ミカエル」
えぇ・・・そうね・・・
周りを気にしない人間=オタク……
確かに間違ってはいないですね、けど。。。
アキラくんの慎ましやかな日常が一変しそうな感じで楽しいです!
他人の目が気になるアキラ自身がプニキュア好き=オタクと決めつけて「何歳だよこいつ」などと馬鹿にしているところが一番ダメなんですよね。ナイトによってその間違いに少し気づけたところまでは良かったけど・・・。最後のシズカと堕天使ミカエルの登場によって物語が一気にシリアスムードになりましたが、アキラとナイトとプニキュアはどうなってしまうんだろうか。
アキラとナイトの掛け合いが楽しかったです!
ナイトが付いていたらいつかアキラも変われるんじゃないかと思いました😌
お父さん、お小遣いは自由に使わせてあげて下さい!と思いました😂