【読切】tripママガール! きんぼし きらら☆(脚本)
〇中規模マンション
「おい、母ちゃん!」
〇明るいリビング
金星 えいと「オレの部屋、勝手に漁っただろ?」
金星 きらら「だって汚かったんだもん。 で、これは何?」
金星 えいと「げっ!」
金星 きらら「参観日って、今度の土曜じゃない。 どうして隠したりするの」
金星 えいと「高校にもなって、いちいち親とか恥ずいんだよ」
金星 きらら「どうして? 私、めちゃくちゃ可愛くしていくよ?」
金星 きらら「ネイルキラキラで、マツエクバサバサで、 新しいワンピ着てくの楽しみなの♥️」
金星 えいと「婚活女子かよ・・・ だから、それがヤなんだっつーの」
金星 えいと「とにかく、ぜってー来んな! 家で大人しくしてろ!!️」
金星 きらら「あ・・・」
金星 きらら「えーちゃんが・・・ えーちゃんがぁ、不良になっちゃった~」
金星 テン「うわっ、ママ!!」
金星 テン「キッチン水浸しだけど・・・大丈夫?」
金星 きらら「テンくん・・・」
金星 きらら「えーちゃんに意地悪された~。 ママ、もう夕食作れない~」
金星 テン「大丈夫だよ、泣かないで。 今日は僕がチャーハン作るから」
金星 テン「ママはゆっくりしてて。 よ~し!」
金星 テン「ジャンがジャンがジャンガジャーん♪ 上、下どっち?」
金星 きらら「ん~・・・上?」
金星 テン「ママが観たがってたヤツだね。 はい、座って、座って!」
金星 きらら「ありがとう・・・ テンくん、優しい子ね。大好きよ」
〇中規模マンション
〇明るいリビング
金星 えいと「はよっ。母ちゃん、 オレの体操着洗っといてくれた?」
金星 えいと(チッ。 昨日のこと、まだ怒ってんのかよ)
金星 えいと「弁当は?」
金星 えいと「・・・行ってくるわ」
金星 テン「ママ、おはようー」
金星 テン「って!」
金星 テン「まさか、朝まで映画観てたの!?️」
金星 きらら「・・・」
金星 きらら「テンくん・・・」
金星 きらら「これからは、『母上』とお呼びなさい」
金星 テン(しまった! ママが飛んだ!)
金星 テン「クッ・・・」
金星 テン「ハッ!! 兄ちゃん、もう行った!?」
金星 テン「ナイン!」
〇団地のベランダ
金星 テン(兄ちゃん・・・)
金星 テン「届いてくれ」
「・・・」
〇大きな木のある校舎
〇教室
友人「えいと! 早く着替えろ。 次、グランドだって」
金星 えいと「おう」
金星 えいと(体操着は、っと・・・)
金星 えいと「うわ、何だこりゃー!!️」
金星 えいと(母ちゃん、入れ間違えたか?)
〇学校の廊下
「金星く~ん、良かったら一緒に お弁当食べない?」
金星 えいと(クラスの・・・)
金星 えいと「ああ、もちろんさ」
金星 えいと「君たちに誘ってもらえるなんて光栄だよ」
女子1「もう、やだぁ。 いつもうまいんだからぁ」
女子2「金星くん、デザート分けてあげるね」
金星 えいと(ラッキー~😊 さーって、オレの弁当は~っと)
金星 えいと「げっ!」
金星 えいと(おい、おい。何だこりゃ。 まさか自分で調達しろ・・・って?)
金星 えいと(まさか母ちゃん、また飛んだのか?)
「どうしたの?」
金星 えいと「いや、ゴメン。 ちょっと昼休みに、仕事を頼まれてるのを思い出して」
「え~。残念~」
金星 えいと(くっそ。こっちこそ、だぜ)
〇中規模マンション
〇明るいリビング
金星 えいと「おい、母ちゃん! 今日のアレ、何なんだよ──」
金星 きらら「露と散り 雫と消ゆる 世の中に 何と残れる 心なるらん by 秀吉」
金星 えいと「ゲッ! その格好・・・」
金星 きらら「えいと。そなたは本日、 何を射止めて参ったのですか?」
金星 えいと「はぁ!? 何だよ急に・・・」
金星 きらら「男子足るもの、 手ぶらで帰宅してはなりませぬ!」
金星 えいと「いや、弁当に あんなワケ分かんねーもん入れっから」
金星 えいと「母ちゃんのせいで、 ウサちゃん狩り損ねたんだけど」
金星 テン「母上、書簡をお持ちしました」
金星 きらら「まあ、テン! 素晴らしいわ」
金星 きらら「あなたならきっと、良き武将になれるでしょう」
金星 えいと(ちょっと待て・・・)
金星 えいと「おい、テン! 母ちゃん、今回はどこ飛んでんだ?」
金星 テン「たぶん、戦国武家社会・・・」
金星 テン「昨日、僕がママに それ系の映画を貸したんだ」
金星 えいと「はぁ!? なに余計なことしてんだよ!」
金星 えいと「母ちゃんがハマりやすいって、知ってんだろーが!?」
金星 テン「兄ちゃんに、言われたくないよ!」
金星 テン「元はと言えば、ママを泣かせるからいけないんでしょ?」
金星 きらら「えいと! テン! 今から『戦評定』です」
「・・・ ・・・」
「御意!!」
金星 えいと「おい、テン。 父ちゃんが出張から戻ってくんのいつだ?」
金星 テン「今日だよ。さっき連絡来た。 あと3時間で着くって」
金星 えいと(よし! そこまでやり過ごすしかねぇ)
〇団地のベランダ
〇明るいリビング
金星 きらら「えいと。 土曜はいよいよ、そなたの授業参観です」
金星 きらら「苦しい合戦になるでしょう。 私にとって、1番の敵は誰だか分かりますか?」
金星 えいと「・・・数学教師の山口、でしょうか?」
金星 えいと「あやつは保護者を見る目がいやらしいと、 もっぱらの噂です」
金星 きらら「・・・」
金星 テン「母上、もしや『ママ友』じゃないでしょうか?」
金星 テン「我が母上は、少し浮いて・・・ いえ、光輝いております」
金星 テン「兄上のクラスでは目立ちすぎて、話のネタにされることもあるでしょう」
金星 きらら「・・・」
金星 きらら「さすが私の息子たち。 でもそれらは、強敵とは言えません」
「では、何が母上をそこまで──」
金星 きらら「私の一番の敵は・・・」
金星 きらら「脚の疲れとむくみです!!️」
「え!?」
金星 きらら「着慣れないきゅうくつな服。 それに見合ったヒールのある靴」
金星 きらら「母は背が小さい・・・ 人混みで、常に背伸びです」
金星 きらら「なぜ10代が座っているのに、 私たち保護者は3時間以上も、立ちっぱなしなのか!!」
金星 えいと「イヤ。だからさ。 来なくていいって言ってるじゃん・・・」
金星 きらら「脚が限界なのです。 戦を長引かせるわけには行きません」
金星 きらら「なので、このたびの戦、 家族そろって先陣を切ります!!️」
金星 きらら「まずはこの服で、教師の視線を集め──」
金星 きらら「「えいとの母」ここに有りと、見せつけます」
金星 えいと「ゲッ!! 何でそれ!?」
金星 テン「微妙に時代がズレてるし」
金星 きらら「そして次にこれで、 周囲にマウントをとり・・・」
金星 えいと「金持ちアピール!? そんなん誰も羨ましがらねーだろ」
金星 きらら「そして真後ろの中央にたーーーつ! なおかつ、2時間で退散!!」
金星 えいと「母上、 それは『悪目立ち』と言うのでは・・・」
金星 きらら「母を止めるでない! 覚悟はできています!!️」
金星 えいと(ダメだ・・・母ちゃん このままだと本気でやりかねねー)
〇明るいリビング
金星 照夫(てるお)「ただいま~♥️ 今日も賑やかだなー」
「・・・」
「パパ! 父ちゃん!」
金星 照夫(てるお)「おぉ!? これはまた、すごいとこに飛んで・・・」
金星 えいと「武家社会だ。 頼むよ、父ちゃん!」
金星 照夫(てるお)「この前は海賊時代・・・ その前は、相撲部屋じゃなかったっけか?」
金星 テン「そんなのいいから! 早くママを戻してあげて!」
金星 照夫(てるお)「でも、わしお腹ペコペコで。 先に腹ごしらえを・・・」
金星 テン「僕が作ったよ!」
金星 えいと「オレの分もやっから!」
金星 照夫(てるお)「なら、任せなさい!」
金星 きらら「・・・」
金星 照夫(てるお)「きららちゃん、ただいま。 帰ってきたよ」
金星 照夫(てるお)「はい、お土産」
金星 照夫(てるお)「そんでもって・・・」
金星 照夫(てるお)「愛してるよ♥️」
チュッ♥️
金星 きらら「パパ・・・」
金星 照夫(てるお)「寂しい思いをさせてゴメンね。 いつも子供達をありがとう」
金星 きらら「お帰りなさい~♥️ 留守中、 きららがちゃんと家族を守り抜いたわ~」
金星 照夫(てるお)「うん、うん。 よく頑張ってくれたね」
金星 テン「良かった! 一件落着!」
金星 えいと(毎度のことながら、この茶番 どうにかなんねーのかよ・・・)
〇大きな木のある校舎
土曜日──
〇教室
担任「さーて、そろそろご家族が来る。 今日も落ち着いて、授業を進めるぞ」
金星 えいと(いよいよだな)
金星 えいと(3、2、1──)
金星 照夫(てるお)「よ、えいと!」
金星 えいと(来たな・・・)
友人「あれ、えいとん家の?」
金星 えいと「おう、うちの父ちゃん」
金星 照夫(45)
大食漢だが、頼れる大黒柱
金星 テン「兄ちゃん!」
金星 えいと(よし。 あの様子だと変わりなしだな)
女子1「うわ~カワイイ♥️ 金星くんの弟?」
金星 えいと「ああ、僕にそっくりだろう?」
金星 テン(10)
空気を読むのがうまい、優等生
そして──
金星 きらら「えーちゃん、来たよ♥️」
金星 えいと(今日はトリップしてねーか? 無事か?)
友人「お姉さんか!? めっちゃ美人だな~、おい!!」
金星 えいと「いや・・・」
担任「ど・・・どちらのご家族かな?」
金星 えいと「おい・・・」
金星 きらら「ふふっ。初めまして! 私、えいとのママで──」
金星 きらら「金星 きららと申します♥️」
金星 きらら(?)
tripぐせのある、ぶりっこで打たれ弱い母
「お母さん! マジか!?」
(でも、これなら・・・)
金星 えいと「うちの母ちゃんを、 そーいう目で見んじゃねー!」
金星 えいと「汚れるわ!!」
「え!?」
金星 えいと(ったく・・・。 だからヤだったんだよ、授業参観とか)
でもって、コレが──
金星 えいと(16)
マザコンの、なんちゃってイケメン
〇空
4人そろって──
いや、5人で──
tripコスプレ家族、『金星家』です!
やっと読めましたきららママ❣️
アノベとして書きやすそうで、良かったです!
そして……めちゃくちゃおもしろかったですー!
私、こういうの好きです!
でも……パパのキスで戻るんですね。
王道。
まるでディ●ニープリンセス……ゲフンゲフンw
足のむくみ、わかります!
昔はよくヒール履いてたのに、今はスニーカーを愛してます😭笑
やっぱりつぼみさんの作品は、私の好みに合致するようです(⑉・ ・⑉)
あー!!✨きららママさん可愛いですー💓😍✨とてもキュンときました✨そして、長男も次男も可愛いです💓キュンってきました✨チャーハン作ってくれるのも最高ですね✨😊
心温まりますし、面白いですし、ニコニコしながら読める素敵なお話でした!✨ありがとうございました✨😊
お母さん、可愛い(*'▽'*)
話しの流れも会話も面白くて、最後に一人一人が紹介される流れ、最高です!
お父さんがイケメンでないところがまた、ツボ!
いろんなパターンでの飛びも楽しみですが、夫婦の馴れ初めも知りたい!