第一話 盛られた請求(脚本)
〇清潔なトイレ
盛山 属性(アトリ)「あら、誰かうんちの忘れもの!」
盛山 属性(アトリ)「フフッ、モリモリ元気!ドンちゃんかしら?」
盛山 属性(アトリ)「るるる~♪我が家は~皆~モリモリ~♪」
盛山 属性(アトリ)「ららら~♪うんちじゃ~なくって~♪」
盛山 属性(アトリ)「経歴~とか♪お洒落~とか♪ご飯に~筋肉~♪それぞれ~モリモリ~♪♪♪」
盛山 属性(アトリ)「あら?流れないわ」
盛山 属性(アトリ)「詰まっちゃった。こんなときは⋯」
〇アパートの台所
盛山 属性(アトリ)「あったあった!水道屋さんのマグネット!」
盛山 属性(アトリ)「どこに頼もうかしら?たくさんあって迷っちゃう」
盛山 経歴男(キャリオ)「そろそろランチするかい?ハニー」
盛山 属性(アトリ)「経歴男(キャリオ)さん!いたのね?てっきり職安かと」
盛山 経歴男(キャリオ)「選考待ちさ。なんたって俺は100の経歴を持つ男。履歴書読むのも1日がかりだゼ!」
盛山 経歴男(キャリオ)「てコトで、今日はリモートワークのリハーサルしてたってワケ☆」
盛山 属性(アトリ)「お疲れさま 電話かけるからちょっと待ってね」
盛山 属性(アトリ)「こんにちは 盛山 属性(アトリ)と申します」
盛山 属性(アトリ)「トイレが詰まってしまって⋯」
「16時頃伺います」
盛山 属性(アトリ)「もう少し早くできませんか?できたら息子が帰る前に直してもらいたくて⋯」
「そうですかー。では、15時過ぎに」
盛山 属性(アトリ)「ありがとうございます!宜し⋯」
盛山 属性(アトリ)「切れちゃった」
盛山 経歴男(キャリオ)「4時間ウェイト(待ち)だって!?」
盛山 経歴男(キャリオ)「トイレの度外に出るとは、なんたるウェイスト(無駄)!」
盛山 属性(アトリ)「じゃ、マッソーちゃんの猫砂借りたら?」
盛山 経歴男(キャリオ)「ナォ~ン⋯」
盛山 属性(アトリ)「ごめんなさい!私ったら、ケモンチュ帝国にいたときの感覚で⋯」
盛山 属性(アトリ)(ここは母国よ、しっかりして!)
盛山 属性(アトリ)「お昼にしましょうか。新鮮なググゴザを頂いたから、ブラフィルファ作りますね!」
盛山 経歴男(キャリオ)「──グ⋯ブ?」
盛山 属性(アトリ)「あっ!それはBQグルメーナ王国だった!」
盛山 属性(アトリ)「ごめんなさい⋯」
盛山 経歴男(キャリオ)「ドンマイドンマイ!君の優しさがあらゆる国で求められてるってコトさ」
盛山 経歴男(キャリオ)「盛ってけ盛ってけ!グレートな異世界エクスペリエンスは君の財産だゼ!」
〇古いアパート
ボッタクリ水道の社員(ここか。ボロいな)
ボッタクリ水道の社員(いやー、貧乏人からぼったくるのは心が痛みますな〜♪)
「はーい!」
〇古いアパートの部屋
盛山 属性(アトリ)「無理言っちゃってごめんなさい」
ボッタクリ水道の社員「いえいえ、こちらこそ遅くなりまして」
ボッタクリ水道の社員(限りなく16時に近い15時台なのにこの反応。今日は『イージーモード』だな)
〇清潔なトイレ
盛山 属性(アトリ)「どうですか?」
ボッタクリ水道の社員「こんなモリモリは初めて見ますな」
ボッタクリ水道の社員「ま、この道30年の私に任せなされ!」
盛山 経歴男(キャリオ)「30年も⋯水道一本で!?」
ボッタクリ水道の社員「ええ、この道(詐欺道)一筋!稼がせてもらっとります!」
盛山 経歴男(キャリオ)「フッ」
ボッタクリ水道の社員(鼻で笑いやがった!? 俺の正体に気づいてやがるのか?)
ボッタクリ水道の社員(こちとら危い橋は渡らねえ主義だ)
ボッタクリ水道の社員「ううっ、急に腹が⋯!! 感染症かな?すまんが他の業者に⋯」
盛山 属性(アトリ)「そんな!うちのモリモリのせいで⋯」
盛山 属性(アトリ)「ごめんなさい⋯どうぞ横になっていってください!」
ボッタクリ水道の社員(なに泣いてんだぁこの女!? くっ、コイツの涙⋯胸が締め付けられる──)
それは男が初めて感じる『良心の呵責』であった
ボッタクリ水道の社員「治った!治りましたよ!ほら、泣き止んでください!直しますから!」
盛山 属性(アトリ)「良かった!でも無理はしないで、よろしくお願いします!」
ボッタクリ水道の社員(クソっ!調子が狂う!)
ボッタクリ水道の社員(とっとと終わらせてズラかろう)
ボッタクリ水道の社員「騙すにはまず信頼させること。依頼された仕事はキチッとこなしますぜ!」
ボッタクリ水道の社員「規格外のモリモリも4時間も放置すれば水に溶ける」
ボッタクリ水道の社員「これにて一件落着♪」
ボッタクリ水道の社員「⋯流れねぇな」
ボッタクリ水道の社員「なんの!まだまだ序の口。勝負はこれからだ──!!」
〇古いアパートの部屋
盛山 丼太(どんた)「ただいまー!すごい音だど! 今日もおやつ大盛り?」
盛山 属性(アトリ)「おかえり、ドンちゃん。トイレが詰まっちゃってね、直してもらってるの」
盛山 属性(アトリ)「はいオヤツ。手を洗ってからね」
盛山 丼太(どんた)「わーい!大盛りだどー!」
ボッタクリ水道の社員「いや、盛りすぎィ!夕飯食えなくなるぞ!」
盛山 丼太(どんた)「いつもこうだど?夕飯もメガ盛りだど?」
丼太は1日に30kg以上の食料を平らげるのだ!それはゴリラと同程度の食事量である!
ボッタクリ水道の社員「そりゃ便器もキャパ超えるわ!」
盛山 丼太(どんた)「ぼくは詰まらせてないど!小盛で小まめに出すスタイルだど!」
ボッタクリ水道の社員「そのナリで意外と細やかじゃねぇか!」
盛山 属性(アトリ)「水道屋さん⋯?」
ボッタクリ水道の社員(しまった!またペースを乱された!)
ボッタクリ水道の社員「ハハっ!失礼!あまりの食欲に驚愕してしまいましたな!」
盛山 属性(アトリ)「びっくりしますよね!この前もフードコートで⋯」
ボッタクリ水道の社員「おっと、忘れないうちにお代を頂けますかね」
盛山 属性(アトリ)「そうでしたね、すみません。え~っと3800⋯」
盛山 属性(アトリ)「さ──38万円!?」
「なんだってぇ──ッ!?」
盛山 経歴男(キャリオ)「盛りすぎだゼ!俺だってこんなサラリーもらったことないゼ?」
盛山 経歴男(キャリオ)「弁護士事務所で働いた(清掃バイト)こともあるこの俺ですら、な!」
ボッタクリ水道の社員(この狼狽ぶり、口先だけの小物だな)
ボッタクリ水道の社員「訴えるとでも?長年かけて培った専門技術に対する正当な報酬ですよ?」
ボッタクリ水道の社員「それを『盛った』だなんて──」
ボッタクリ水道の社員「プロの!私の磨き上げた職人技をバカにしとんのか貴様ぁ──ッ!!」
盛山 属性(アトリ)「とんでもない!払います、もちろん払いますとも!」
盛山 経歴男(キャリオ)「おいおい、どこにそんなマネーが⋯」
盛山 属性(アトリ)「食い詰めるしかないわ。ドンちゃん、ごめんね。しばらくご飯は『小盛り』よ」
盛山 属性(アトリ)「お納めください」
ボッタクリ水道の社員「へへっ、まいど!」
ボッタクリ水道の社員(よし、涙を見なければ動揺しない。『カモ』にベテランハンターに同情しないのだ)
盛山 装飾(デコル)「た~いま~。帰りましたわ♪」
盛山 属性(アトリ)「おかえり、装飾(デコル)ちゃん」
ボッタクリ水道の社員(な⋯なんだこのギャルは?)
髪てんこ盛りッ!マリー・アントワネットかよ!!
爪も長ッ!割り箸かよ!! しかも盛りまくって、もはやトーテムポールじゃねぇか!!
極めつけはこのマネキンみてぇな面!盛られ過ぎて元の人相も読み取れねぇ!!
ボッタクリ水道の社員(曲者の匂いがプンプンするゼ。とっとと退散しよう)
盛山 装飾(デコル)「はれ?」
盛山 装飾(デコル)「こマ!? 38万って!ウケますわ~!」
盛山 装飾(デコル)「さ、オジさんもご一緒に♪ギャルピなさって~♪」
ボッタクリ水道の社員「はぁっ!?」
盛山 装飾(デコル)「映え~♪みなさんにごシェアさしあげねば~!」
ボッタクリ水道の社員「おま!今SNSに上げやがったのか?」
盛山 装飾(デコル)「あ、オジさんを盛り忘れましたわね!ゴメ~ですわ!」
ボッタクリ水道の社員「んな話してねえよ!」
ボッタクリ水道の社員「携帯をよこせ!投稿と写真を消すんだ!!」
盛山 装飾(デコル)「ちょまッ?」
ボッタクリ水道の社員「グゥッ!」
ボッタクリ水道の社員「チクショウ!まだ家族がいたのか?」
盛山 筋肉(マッソー)「ニャン!(正解!畜生もとい猫でございマッスルニャン!)」
ボッタクリ水道の社員「な⋯!ななんで虎がこんなところに?」
盛山 装飾(デコル)「うちで飼ってるマッソーたん。筋トレ大好き鬼マチョニャンコですわ♪」
ボッタクリ水道の社員「猫が筋トレするか──ッ!」
「家訓!『メメント・盛り』!」
「『汝、盛りを忘れることなかれ』」
ボッタクリ水道の社員「唐突に唱和!?」
盛山 筋肉(マッソー)「ニャ〜(『盛り』は盛山家のサガ⋯宿命なのでございマッスルニャン)」
盛山 筋肉(マッソー)「ナ〜ン(それはさておき、よくぞ我輩の糞を処理してくださったニャン!)」
盛山 筋肉(マッソー)「ニャオ〜ン(褒美に我輩をモフらせてやりマッソーニャン♪)」
ボッタクリ水道の社員「うわっ、より寄んな!毛が痛いっ!山嵐かよ!」
ボッタクリ水道の社員「のしかかるな!重ッ──!!」
〇線路沿いの道
ボッタクリ水道の社員「おぉ⋯お巡りさん!助けてくれ!」
ボッタクリ水道の社員「あっ⋯あすこの!ボロアパートの2階!角部屋に、と、とと、虎が⋯!!」
堅物警察官「信号脇の、メゾン・ド・ヒープですか?」
ボッタクリ水道の社員「そう!そこだ!おかしな家族が⋯そう、『メメント・モリ』とかほざいてた!」
ボッタクリ水道の社員「脅してたんだ!『死はお前のそばにある、いつでも殺せる』──と!」
ボッタクリ水道の社員「快楽殺人一家だったんだよぉぉぉ!」
お喋りご近所さん「ちょっと!あたしゃ、あそこの住人だけどね!」
お喋りご近所さん「盛山さんとこは何かと盛るのが好きなだけの一般市民だし、マッソーちゃんは猫よ!」
お喋りご近所さん「話を盛ってんじゃないわよ!聞くだけ無駄よ、お巡りさん!」
ボッタクリ水道の社員「『盛』っ!?盛ってなんか⋯」
堅物警察官「まぁ、僕も声をかけるつもりだったので。この辺りで頻発している詐欺について──」
ボッタクリ水道の社員「声を かける つ 『もり』⋯?」
「『もりもり』はもうたくさんだぁ──!!」
〇サボテン
盛山 筋肉(マッソー)「次回予告(仮)をしマッスルニャン!」
〇ファミリーレストランの店内
予告①『盛られた武勇伝』
盛山 経歴男(キャリオ)「そんな武勇伝もどきを盛ってどうする!」
盛山 経歴男(キャリオ)「俺の『モリモリ武勇伝』を披露してやる!さぁ、俺にカメラを向けろ!」
〇古いアパートの部屋
予告②『盛られたパーリィー』
盛山 装飾(デコル)(もうすぐ二人の結婚20周年⋯レッツ・サプライズ『モリモリ』パーリィー!ですわ♪)
盛山 装飾(デコル)(二人のBFF(親友)呼んで~、料理はケータ(出前)ですわよね。会場はホテルかしら?)
〇教室
予告③『盛られない飯』
盛山 丼太(どんた)「知らなかった。世界には食べたくても食べられない人達がたくさんいるんだど⋯」
盛山 丼太(どんた)「ぼく、もう盛りストやめるど」
〇幻想3
予告④『盛られた運命』
盛山 属性(アトリ)「あなた方は、もしや⋯ご先祖様!?」
「今こそ話そう 盛山の血に隠された秘密を──」
〇サボテン
盛山 筋肉(マッソー)「モリモリ盛り上がっていきマッソーニャ!」
何故私はこの作品を早く見なかったのだろう…!
他2作品は見ていたのに、悔しいです😱
トイレ詰まりから始まり、エクスペリエンスとかメメント・モリとかのパワーワードにやられつつ、まさかのペットが獣人とかミラクルすぎました。
ロイコちゃんが1番好きだったけど、盛山家も同じくらい好きになりました。
2本目、読了……いや、スゴイですよ😂
『トイレが詰まった』だけの話と『盛り』をテーマで、ここまでおもしろくできるって🤣
キャラの良さと言いますか、セリフの良さと言いますか!!
他の方の作品を読んでいても、トイレスチル画像がえらい影響与えてたんだなぁ😅
インスピレーション元……あの金色ですか!😂
何がどうなるかと思ったら、見事に皆さん盛ってましたね!予告も盛りが豪勢でしたw