第一話 貯水庫の異形(脚本)
〇荒廃したセンター街
約500年前突如現れた異形達。
人間達は440年間成すすべなく異形達の好き放題にさせてきた。
だが、人間の怯えるだけの日常を終わらせると発足した捜査機関がある。
異形を捕まえ取り締まる異形特別捜査機関X x(ツーエックス)だ。
〇オフィスのフロア
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「音梨 夏海巡査です! 今日からよろしくお願いします! 尾源警部!」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「久しぶりだな。監視員だった時以来か」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「はい! あの時はお世話になりました!」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「刃郎(ばろう)・・・・・・巡査長は休みか。今日は俺についてくれ。分からないことは何でも聞いてくれ」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「はい・・・・・・! じゃあさっそく俺の捜査する異形について教えてください!」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「そうだな、最初は下位異形から捜査してもらうことになるだろう」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「下位・・・・・・異形? 上位異形もいるってことですよね? 違いは・・・・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「上位異形は人間に化けて人間を喰らっている異形を指す。中位異形は人間に化けられず、しかし人間を襲った異形を指す」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「下位異形は人間を襲っていないが迷惑行為を行った異形を指す」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「その他異形は、人類に悪影響を及ぼす可能性があるため厳重注意。監視員が一人派遣される」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「監視員だったのでその他異形についてはよく分かってますよ!」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「大勢の監視員が必要だから、X xでは常に監視員の募集が行われて補充されるんですよね! 俺もそれで採用を貰ったんです」
大林 御楽 オオバヤシ ゴラク「警部、地下シェルターの貯水庫に大型異形が出現しました。下位異形です」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「夏海を連れて俺が向かう」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「い、いいんですか!?」
大林 御楽 オオバヤシ ゴラク「初仕事だな。頑張れよ」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「はい・・・・・・!」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「行くぞ夏海」
〇地下広場
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「どうして大型異形の姿がないんでしょう。大型だからすぐに見つかると思ったのに・・・・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「伸縮自在異形なのかもしれない。捜索する。お前は聞き込みを頼む」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「聞き込み、鑑識からの結果をまとめよう」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「異形は南入り口付近から突如現れ、管理室を横切り、貯水タンクへまっすぐ向かってきた」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「巨体で貯水タンクに体当たりを繰り返していたことからタンクを壊すのが目的だと分かる」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「な、なるほど」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「運よく死人は出なかったが数名の怪我人が出ている」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「一番重傷だった男に聞けば、まっすぐこちらに向かってきたうえ目が合ったらしいです」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「男の証言だけでは狙われていたとは断定できなかったが、可能性があると見て恨みを持たれそうな相手の名前を上げて貰った」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「名前を上げて貰ったと言うことは、下位異形でなく中位異形の可能性があると言うことですか?」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「そうだ。縮んだのを見た人も数名いたから伸縮自在の異形と見るのも間違いではなかったが・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「巨体から人間に変身できる異形もまた縮む」
まとめているうちに、俺たちは”名前を上げられた者”の元に着いた。
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「被害者の一人と親友だったそうだな。だがある日喧嘩をし、不利な噂を流され集団いじめに発展した」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「相当恨んでいるだろうと言う話だったが・・・」
男性「くくく・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「何を笑っている?」
男性「くははははははは! だってあいつ、俺を見て、腰を抜かしてさ、情けなく走り回ってさ!」
男性「くははははははははははは! 思い出したら笑えてきて・・・・・・! ぶふ、くはははは!」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「こんなに簡単に犯人が見つかるなんて・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「こいつがバカだっただけだ。始末するぞ」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「待ってください、異形が人間に化けて働く理由は何なんですか?」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「本人に聞け」
男性「神のために決まっています」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「神だと?」
男性「我々の神です! おお神よ! 我々をお導きください!」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「な、何なんですか。この理由・・・。異形に神なんているわけ──」
男性「貴様! 神を愚弄する気か・・・!!」
ゴツゴツゴツ・・・
ブクブクブク・・・
ゴツゴツゴツ・・・
管理人の体が遺物な形に歪み、服ごとどんどん膨らんで、濁った緑色の皮膚へと変化していく
〇地下広場
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「夏海・・・!」
変身時は液状なのか、飲み込まれそうになる夏海を突き飛ばして自分も後退する
腰から取った銃を構えれば、相手は怯む
異形「そ、その銃はまさか・・・!」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「俺達を何だと思ってたんだ。Xxだぞ」
異形「ひ、ひいいいいいいいいいいいい!」
仰け反る相手に光の集まる銃口を向けトリガーを引けば、轟音と共に青い光線が放たれる
光線は空気を震わせながら異形の体を貫き、貫いた中心から結晶が溢れるようにして異形を結晶の中に閉じ込めた
結晶と異形は光の粒となり霧散して消えていく
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「今のがXxにのみ使用権がある特殊武器ICE・・・」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「次からはお前もトリガーを引け」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「は、はい・・・!」
〇地下広場
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「・・・・・・それにしても、よりによって貯水庫で暴れるとは・・・」
音梨 夏海 オトナシ ナツウミ「う・・・これは酷いですね」
尾源 雷介 ビゲン ライスケ「当分の間、水不足になって、人々は苦労しそうだな」